ファッション

ラムダン・トゥアミ、400以上の店舗を手掛けた男の歯に衣着せぬ小売愛

有料会員限定記事

PROFILE: ラムダン・トゥアミ/アーティスティック・ディレクター

ラムダン・トゥアミ/アーティスティック・ディレクター
PROFILE: 1974年、フランス生まれ。2014年には配偶者のヴィクトワール・ドゥ・タイヤック(Victoire de Taillac)と「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー」を創業し、大きな成功をおさめる。20年にはLVMHに売却したが、以降もアーティスティック・ディレクターとして携わる PHOTO : SHINE SHUHEI

17歳でファッションの世界に飛び込んでから33年、ラムダン・トゥアミ(Ramdan Touhami)はデザインも含めると400以上の店舗に携わるなど、小売りに人生をささげている。33年の小売り半生では、フランス生まれの老舗総合美容専門店「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(OFFICINE UNIVERSELLE BULY)」を復活させて、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)に売却。一財産を築くと、昨年はパリにショップをオープン。ECやDXと叫ばれる時代にリアル店舗への愛を貫いている。その愛を、忌憚のない言葉で、豪快に語った。(この記事は「WWDJAPAN」2025年4月14日号からの抜粋です)

WWD:昨年はパリにアウトドアブランドをセレクトした「ア ヤング ハイカー(A YOUNG HIKER)」や、複合ショップ「ワーズ サウンズ カラーズ アンド シェイプス(WORDS SOUNDS COLORS & SHAPES)」をオープンした。小売りへの愛を貫いている。

ラムダン・トゥアミ(以下、ラムダン):最初にオープンした10店舗は、我を貫き通したからひどかった。そこからさまざまを学び、小売りの魅力に気づいて、今ではすっかり“オタク”になった。

WWD:改めて小売りの魅力とは?

ラムダン:街から小売店がなくなる姿を想像してほしい。人と出会うための場所、しかも映画館や美術館とは違って無料の場所が存在しない街は、退屈なものだ。小売店は、社会との接点。毎日を過ごす中では、「今日は、店員さんとしか話をしなかった」なんてときもあるだろう。小売りがなかったら、他人と一切会話しない人が生まれてしまう。もし世界がアマゾン(Amazon)に支配されてしまったら、私はきっと自殺するだろう。アマゾンやYouTube、Instagramは、中世の王と似ている。中世の王は領民に、土地の領有権の代わりに貢納や軍事奉仕を義務付け、時には彼らから搾取をしてきた。アマゾンやYouTube、Instagramは、プラットフォームの代わりに手数料を徴収し、時には出店者から搾取しているように思える。人類は、こんな社会から逃れなくてはならない。小売店は、それに抵抗するシステムだ。搾取する人たちに抵抗するのが私の仕事。「ア ヤング ハイカー」や「ワーズ サウンズ カラーズ アンド シェイプス」ではなく、「レジスタンス(抵抗)」という名前の店舗をオープンしたくらいの感覚だ。

この続きを読むには…
残り1591⽂字, 画像5枚
この記事は、有料会員限定記事です。
紙版を定期購読中の方も閲覧することができます。
定期購読についてはこちらからご確認ください。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

Is AI GOOD?AIがもたらす「ゲームチェンジ」

「WWDJAPAN」12月1日号は、ファッション&ビューティ業界でいよいよ本格化する“AIゲームチェンジ“を総力特集しました。11月19日のグーグル「ジェミニ3.0」発表を契機に、生成AIは「便利なツール」から「産業の前提インフラ」へ変貌しつつあります。ファッション&ビューティ業界で浸透する生成AI及びAIの活用法とゲームチェンジに向けた取り組みを紹介しています。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。