PROFILE: 津久井祐子/ワコール コミュニケーションデザイン部 広報担当

ワコールは2月、企業のアンバサダーに大リーガーの大谷翔平選手を起用した。ワコールといえば、女性下着メーカーのグローバル企業だ。1946年に創業後、下着を通して日本人女性の美をサポートしてきた。64年にはワコール人間科学研究科学センター(以下、ワコール人科研)を設立し、日本人女性の体形のデータを収集、分析して商品に反映し、時代に合った女性美を叶えてきた。だが、消費者の価値観の変化により、下着において“美しさ”よりも“快適”を選ぶ傾向が強まり、「ユニクロ(UNIQLO)」や「無印良品」などによる廉価な商品市場の拡大により苦戦している。
女性下着のイメージが強いワコールだが、「ゆりかごからゆりいすまで」をテーマに、全てのライフステージに寄り添うブランドを展開。大谷が企業同様アンバサダーを務めるコンディショニングウエア「シーダブリュー・エックス(CW-X)」をはじめ、男性向け「ワコールメン(WACOAL MEN)」「ワコール キッズ(WACOAL KIDS)」、パジャマ類の「睡眠科学(SUIMIN KAGAKU)」、老人向けウエア「らくラクパートナー(RAKURAKU PARTNER)」、疲れにくいシューズ「サクセスウォーク(SUCCESS WALK)」など、気付けばワコールによるブランドは年齢・性別問わずたくさんある。
女性美を掲げてきたワコールがなぜ大谷を「CW-X」だけでなく、企業の顔に選んだのか。ワコールコミュニケーションデザイン部の津久井祐子広報担当に話を聞いた。
全ての人にメッセージを届けるには大谷以外の選択肢はなかった
WWD:ワコールといえば女性下着で知られているが、大谷を企業の顔に起用した理由と目的は?
津久井祐子ワコール コミュニケーションデザイン部 広報担当(以下、津久井):昨年発表した中長期戦略において、女性美のワコールから、自分らしさをエンパワーメントするという、企業の提供価値を転換した。ワコールは、時代に合わせて、なりたい自分を作るサポートをしてきた。だが、消費者の価値観が多様化し、社会的にもダイバーシティーが進んでいる。そこで、女性下着だけでなく、さまざまなブランドやサービスを通して、全ての人の体と心に寄り添い、一人一人の自分らしさを応援する企業であることを改めて定義した。それを体現する存在として、一番ふさわしいのが大谷だ。
彼は誰もが認めるスーパースターで、実力も信頼もある。自分が掲げた二刀流というという柱をブレずに持ち続けて、次世代へ希望と勇気を与える存在なのでアンバサダーにふさわしい。誰もが知っている大谷を起用することで、既存顧客からのさらなる支持アップを図ると同時に、性別や年齢に関係なく、今までワコールを知らなかった人にも知ってもらうきっかけになれば。
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