「バーバリー(BURBERRY)」は、イギリス現地時間の2月24日に2025-26年秋冬コレクションを発表した。ダニエル・リー(Daniel Lee)=チーフ・クリエイティブ・オフィサーの退任の噂が注目を集めるなか、リーはアウターを表現の核としながら「英国らしさとは何か」というブランドの根源的な問いと向き合った。
コレクションの出発点となったのは、イギリスの階級社会を描いた映画「ソルトバーン」だと言う。「登場人物たちは昔ながらの信じられないような豪邸に住み、夕食時には奇抜な服をまとい、クレイジーなパーティーを開く。その自由奔放なボヘミアン・スピリットを表現したかった」とリーは語る。
ランウエイには「ソルトバーン」に出演するリチャード・E・グラント(Richard E. Grant)をはじめ、ジェイソン・アイザックス(Jason Isaacs)、レスリー・マンヴィル(Lesley Manville)といった、英国社会を表現し続けてきた俳優陣も登場した。
英国の街角を映し出すショー
会場は国立美術館「テート・ブリテン」。ファーストルックは、ショート丈のボマージャケットに同素材のマフラーを巻き、ウールのパンツにロングブーツを合わせた。続くルックでは、エレガントなシルエットのチェック柄ラップコートや、ゆったりとしたドロップショルダーのオーバーコートなど、暖かく着心地の良さそうなアウターを主役にした。
そこに、袖や襟元にフリルをあしらったブラックのシアーブラウスにゴールドのジャカードスーツを合わせたルックなど、華やかなスタイルも加わる。ナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)は、トレンチコートのシルエットをベースにしたフリンジが豪華なドレスコートなど。洗練された英国スタイルが行き交うその光景は、ロンドンの街角のワンシーンのようだ。
また、前シーズンから継続するショルダー部分にファーのディテールを施した超オーバーサイズコートなど、リーらしいデザイン性の高いアイテムも登場した。しかし、今季は深みのあるブラウンやグレーなどのアースカラーで、より洗練された印象に仕上げている。「クリスマスや年末年始のホリデーシーズンには、自然の中を散歩したり、美術館を訪れたりした。今季のカラーパレットは、そこで触れた色彩から大きな影響を受けたと思う」とリーは振り返る。
前回までのコレクションでは、「バーバリー」にラグジュアリー・メゾンとしての側面を強く打ち出そうとするあまり、ブランドのヘリテージの表現にやや唐突な印象を受けることもあった。しかし、今季のように日常に根差した「バーバリー」の姿こそ、長い歴史を持つブランドの唯一無二の価値を最大化するのではないだろうか。
なお、リーは今後については明言を避けたものの、「ジョシュア(・シュルマンCEO)が就任して半年が経ったが、物事はすべて順調だ。非常にポジティブな局面を迎えていると思う」とコメントした。