資生堂は、横浜・みなとみらい21地区の研究開発拠点「資生堂グローバルイノベーションセンター(以下、GIC)」の1~2階を大幅にリニューアルし、「資生堂ビューティーパーク(Shiseido Beauty Park)」として1月22日にオープンする。研究員らによる“美の検診”サービス(3万円)をはじめ、オープンイノベーションプログラム「フィボナ(fibona)」で商品化したアイテムの販売、アート展示、薬膳に着目したカフェキッチン、映像体験などのコンテンツを用意。生活者と研究員の交流を深化させる狙いがあり、来館者数をリニューアル前の2倍以上に増やす計画だ。
同施設は、2019年に開設した「エスパーク(S/Park)」を前身に持つ。研究員と生活者が直接つながる場として展開されていたが、今回のリニューアルで、より「体験型テーマパーク」としての要素を強めた。資生堂の岡部義昭・執行役エグゼクティブオフィサー チーフマーケティング&イノベーションオフィサーは、「今回の施設は、来館者に楽しんでもらえる体験を重視し、完成度は120点満点」と述べ、自信をのぞかせた。
リニューアルの背景には、コロナの影響で変化した生活者の価値観やニーズを踏まえた肌測定ビジネスの成果をアピールする目的がある。岡部氏は、「研究員が研究だけで終わるのではなく、生活者の求める価値やインサイトをビジネスへ実装する必要がある」と語る。研究所としてのROI(投資利益率)を高めるために、生活者ニーズを迅速に反映するアジャイルな研究体制を強化する方針だ。
さらに、こうした取り組みを通じて、研究とビジネスの距離を縮め、イノベーションを推進する。得られた知見は約2年後を目処に、資生堂の注力ブランドに活用する。
当面は横浜周辺の住民やワーカー、学生をターゲットに集客を図り、将来的には訪日客へのアプローチも視野に入れる。
資生堂ビューティーパークの目玉は“美の検診”
同施設は、アート&サイエンスを体現する研究所でしか体験できない“美の検診”サービスを提供する。同サービスは、角層タンパクをはじめ、肌悩みと関係のある鼻の骨格や歩き姿、五感までを含む13種類の項目を測定。アドバイザーと共に、研究員が一人一人を測定し、科学的根拠に基づいて客観的に美容習慣や生活習慣のアドバイスを提供する。測定結果をもとに、顔やデコルテの肌のトリートメント(約20分)、スイーツと薬膳茶、“見るだけで美しくなれる”映像体験を提供する。1回3時間で、費用は3万円。ウェブ予約制で、1月22日から予約を受け付け、3月1日から開始する。
入り口入ってすぐのコーナーでは、オープンイノベーションプログラム「フィボナ(fibona)」で商品化したアイテムを販売する。クラウドファンディングのマクアケで販売した“スキンアクセサリーTM”(3種、各5000円)の再販や、新商品のパウダー状の香りアイテム“香肌晶(かはだしょう)”(2種、各3000円)を1月22日に発売する。同コーナーではアート企画も行い、3カ月ごとにテーマを変えてアートピースを展示する。
1階の一角にあるキッチンラボは、薬膳に着目し、薬膳研究を専門とする研究員がメニューを監修した。薬膳カレー(1540円)や参鶏湯(1430円)などの通年メニューをはじめ、季節ごとの美容悩みにアプローチする季節限定プレート(キッズ向けあり)、季節のパフェ(2530円)やプリン(550円)などのスイーツ、薬膳茶(4種、各770円)などを提供する。
同施設の象徴でもある世界最大級の16K大画面を有するシアターでは、壮大な風景などを前に自分の存在の小ささを知る“AWE(オウ)”体験ができる映像を上映。サイエンスとアートを融合させた内容で、季節に合わせた映像を上映する。
2階部分を占有するミュージアムでは、資生堂の100 年を超える研究の歴史をベースにしたビューティーやイノベーションにまつわるユニークな展示を行う。
スタッフのユニホームは「CFCL」が制作
スタッフが着用するユニホームは「シーエフシーエル(CFCL)」が制作した。研究員が普段着用する白衣の要素を残しつつ、よりカジュアルにアクティブな活動につなげられ、性別を問わず着用できるデザインが特徴だ。資生堂ブランド価値研究所の中西裕子グループマネージャーは「『CFCL』はサステナビリティを前提としたクリエイションを追求しており、アート&サイエンスのDNAを持つ資生堂と親和性があると考え、依頼した」と前置きしつつ、「なによりも自分が着たいと思っていたからうれしい」と笑顔を見せた。
◾️資生堂ビューティーパーク
場所:資生堂グローバルイノベーションセンター内
住所:神奈川県横浜市西区高島1-2-11