ファッション

「マイケル・コース」の時代を超越するコレクション 混沌とした時代だからこそ強く自信を持てる服を

朝からしんしんと雪が降り積もり、ニューヨークらしい冬日を迎えた2月13日(現地時間)に「マイケル・コース コレクション(MICHAEL KORS COLLECTION) 」が2024-25年秋冬コレクションを発表した。会場となったのはチェルシーにある「バーニーズ ニューヨーク」の旗艦店の跡地。ここは1985年に初めて「マイケル・コース コレクション」が取り扱われた思い出の場所でもある。ショーにはケイティ・ホームズ(Katie Holmes)やブレイク・ライブリー(Blake Lively)、ブランド・アンバサダーを務めるTWICEのダヒョンらも駆けつけた。

今シーズンのテーマは「タイムレス」。マイケル・コースはプレビューで「混沌としている時代だからこそ、人々が強く、自信を持てるタイムレスな服を作りたかった。私の仕事は、サイズ、年齢、国籍に関係なく、すべての人に服を届けることだ」と語った。

出発点は祖母のウエディングドレス

アトリエに置かれたムードボードには、さまざまな写真が貼られていた。その中心にあるのは、彼の祖父母の結婚式の写真。昨年母を亡くしたコースは遺品の整理をしていた際にクローゼットから祖母が結婚式で着用したドレスを見つけた。それはバイアスカットのモダンでセクシーな一着だったという。「ウェディングドレスは30年代のもので、当時も世界は混沌としていた。このドレスを見た時に今も変わらずシックで、この一着こそ『眠れる森の美女』だと思った。それがタイムレスについて考えるきっかけになった」。

ムードボードの中にはほかにもアリシア・キーズ(Alicia Keys)や90年代の流線的なドレスを着たケイト・モス(Kate Moss)、ナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)、「スウィニー・トッド」などブロードウェイで人気を誇る作詞家、故スティーヴン・ソンドハイム(Stephen Sondheim)といった、彼が思うタイムレスなアイコンたちの写真が所狭しと貼られている。グッゲンハイム美術館やカーライルホテルなど、ニューヨークのタイムレスな場所の写真もあった。

長く愛されるモノ作りが信念

ファーストルックはウェストがくびれた構築的なジャケットに、バイアスカットのスカートを合わせた上品な淑女スタイル。サウンドトラックは、コースのお気に入りのアリシア・キーズやボビー・ショートら、ニューヨーク育ちのアーティストが中心だ。黒やグレーを中心に、コースが好む曲線的なテーラリングのジャケットコートやオーバーサイズのトレンチコートなど、普遍的なルックが続く。コートの下にはレースのスリップドレスを合わせ、ボリュームのあるモンゴリアンラムを使ったアウターにも軽快なドレスやノースリーブのニット、構築的なジャケットには柔らかなスパンコールのドレスやバイアスカットのドレスをスタイリング。新作のチェーンバッグ“マンハッタン”も登場した。終盤は祖父母の結婚式から着想を得て、長いトレーンを引いたバイアスカットのドレスやタキシード風のコートが続いた。

フィナーレはモデルたちが象徴的な螺旋階段をゆっくりと降りてくる演出。ニューヨークで活動するデザイナーとしての誇りと、この街への敬意が詰まったコレクションにはタイムレスな要素が詰め込まれ、この先も長きにわたって愛されるモノ作りをしていく「マイケル・コース コレクション」のクリエーションの信念を再確認した。

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