PROFILE: ウトン光恵さん/@cosme美容部員スタッフエキスパート

“コスメの聖地”としてにぎわいを見せる原宿駅前の「アットコスメトーキョー」は、約700ブランド、2万5000点を取り扱う。コスメ好きも多く訪れる同店に立つ美容部員は幅広い知識とスキルが求められるが、その中でもウトン光恵さんを目当てに訪ねてくる客が後を絶たない。店頭に立つのは週2回で、それ以外は広報活動をはじめ、自身も出演するライブ配信やティックトック、ユーチューブの運営に携わるなど活動の幅を広げ、ファンを着実に増やしている。店舗とオンラインの双方を活用しながら顧客との関係を築いているのがウトンさんの強みでもある。(この記事は「WWDJAPAN」2023年11月6日号から抜粋・加筆しています)
ウトンさんは、幼少期から憧れだった美容に関する仕事に就きたいという思いから、渋谷の「アットコスメストア」にアルバイトで入社。好きなコスメブランドの販売員を目指していたが、同店のブランドを横断する接客に魅力を感じ、2016年に美容部員のキャリアを本格的にスタートした。異動が珍しかった当時、ウトンさんは新店やリニューアルオープンのスタートメンバーに抜擢され、都内の主要店舗を渡り歩いてきた。20年に「アットコスメトーキョー」に異動し、スタッフエキスパートとして店頭に立つ。
「心から信頼できる接客」のために接客スキルを磨く
接客は、アットコスメの理念である「いつでもどこでも全ての生活者の味方に」を念頭に置きながらコミュニケーションすることを心がけている。「これだけの品数があるとお客さまも迷ってしまいがち。だからこそ会話の中からお客さまの悩みをいち早く引き出し、最適な解決法を一緒に探しながら、新たな商品との出合いを提供できるように意識しています」。
男性客も多い同店では、個に合わせた提案を前提にしながらも、男女でアプローチを使い分けることもある。「例えば女性は感覚的に選ぶ傾向がある。その感情に共感しながら好みを理解して商品を提案します。一方で男性は自分のニーズを理解していることが多い。その場合はロジカルに悩みに対応できる商品を紹介します」と柔軟に対応する。しかし、今は情報のスピードが早く、客の方が新商品について詳しいことも少なくない。「心から信頼できる接客」のために情報収集はもちろんのこと、ブランド研修にも積極的に参加しながら自身の接客スタイルを常に磨いている。
リアルとデジタルの双方向で活躍の場を広げる
今も店頭に立つことに変わりはないが、昨年に美容部員が所属する部署から離れ、デジタルを通じて美容部員の価値を広げることを目的にしたコンテンツチームに所属した。ウトンさんは企画もしながら、毎週金曜に店頭でライブ配信する「教えて!美容部員さん」の出演を続け、名物販売員として人気を集めている。「視聴者数やコメント数が伸びたり、ライブに関するお便りが届くたびにやりがいを感じます。なによりも応援していただけることがすごく嬉しい」。
将来的に、アットコスメストアの美容部員はリアルな接客だけでなく、オンラインでも活躍できる場を広げるとともに、新しい世代に美容部員への興味を喚起したいという。「私のように両方のプラットフォームで活動するスタッフはまだ少ないのでもっと増やしていけるよう、美容部員の魅力を引き出せる環境を構築しながら、個性を発揮できる道筋を作り上げていきたいです」。
ウトン光恵さんの「接客POINT」
個に寄り添った提案を心掛けているが、男女別でコミュニケーションを使い分けることもある。女性客へは感性や感情に歩み寄って共感しながら、男性客へは商品の特性を強調しながら紹介する。