ファッション

山梨・甲府の職人と二人三脚でつくりあげる“お菓子のおまけ”のような魅力があるジュエリーブランド「マユラノアール」代表に聞く

ジュエリーブランド「マユラノアール(MAYURANOIR)」が、東京・銀座に直営店をオープンした。同ブランドは、フランスのアンティークジュエリーに魅了された代表を務める吉田麻由良が2020年6月に設立。“アンティークジュエリーは素材が劣化していたり作りが脆く長く付けられないものが多い。100年後も使えるものをつくりたい”という思いからスタートした。

ブランドのコンセプトは、“物語に寄り添うお守りのようなジュエリー”。アール・ヌーヴォーやアール・デコのジュエリーがインスピレーション源で、枠や爪留めなど細部のパーツごとに地金の種類を変えた繊細なデザインが特徴だ。吉田代表に、クリエイションや直営店出店までの歩みについて聞いた。

工場との縁を運んだコロナ

20年というとコロナ禍が始まったばかり。ブランド立ち上げを決意した吉田代表は、メード・イン・ジャパンのジュエリーをつくりたいとさまざまなメーカーへ問い合わせたそうだ。彼女は、「一点ものが多く小ロットであることと、技術が必要なデザインのため断られ続けた。幸運なことに、大手ジュエリーブランドの下請け工場の協力があり、ここまで来ることができた」と語る。大手ブランドの下請け工場ということもあり、品質は確か、通常はなかなか取り引きができないが、コロナが追い風になった。「コロナでオーダーが減ったため、取り引きしてくれることになった」。吉田代表が思い描くジュエリーは、日本の工場が持つ技術だから可能な細かい細工が必要だ。

SNSがきっかけでポップアップを開催

ブランドを立ち上げてからは、インスタグラムなどSNSで発信を行った。それを見た松屋銀座のジュエリー担当からから声がかかり、20年9月には同百貨店でポップアップを開催した。吉田代表は、「ブランドを立ち上げたばかりで、定番が10点程度しかなく、ルースなどをかき集めて販売した」と話す。正に嬉しい悲鳴と言ったところだろう。「予想以上に反響があり、売れた」と吉田代表。その後も松屋銀座から声がかかり、5回ポップアップを行った。昨年行ったイベントでは1週間で約1000万円を売り上げ、確実に手応えを感じているという。

“大人のセボンスター”のようなジュエリー

デザインは吉田代表が手掛け、宝石はインドの最大手ディーラーから調達する。地金の種類は6種類、石の種類も多く、型数は70種類以上で、ほとんどが一点モノだ。ネックレス、ピアスなどもあるが、リングが多く、定番コレクションが4割、高額の特別コレクションが4割、カスタムオーダーが2割程度。中心価格帯は30万円台だ。吉田代表は、「乙女心をくすぐるようなジュエリーで、まるで、集めたくなるおまけ付きのお菓子“セボンスター”と言われる」と話す。色とりどりのキャンディのような宝石に、サイドや裏側まで細かい細工が施されたジュエリーは、集めたくなるかわいらしさに溢れている。

「ジュエリーの品質や細やかさを見て、『高いけど安い』と言われる」と吉田代表。特別コレクションの中には、希少性の高いピジョンブラッドカラーのルビーを使用したリングもある。また、特別コレクションは鑑定書がつき、枠を石に合わせて一つ一つ作る。そのために敏腕の原形師をスタッフに迎えた。ブランド名の「マユラノアール」について、同代表は、「ノアール=黒は、全てを引き立てる色。マユラは私の名前で、黒子のようなもの。人々を引き立てるジュエリーを提供していきたい」と語った。

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