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特集 売り場から始めるサステナ実践例

サステナ先行企業H&Mに聞く、販売スタッフとの情報共有の方法【売り場から始めるサステナ実践例】

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サステナビリティは日進月歩。新しい技術や情報が次々登場している。それらを顧客に伝える要がショップスタッフだ。彼らが日常業務と並行してサステナの知識をアップデートするにはどうしたらいいのか?サステナビリティ先進企業であるH&M ヘネス・アンド・マウリッツ・ジャパンの山浦誉史CSR/サステナビリティ・コーディネーターに話を聞いた。(この特集は「WWDBEAUTY」2023年5月29日号からの抜粋です)

H&Mヘネス・アンド・マウリッツ・ジャパン(以下、H&M)は現在、国内123店舗で、2000人弱の販売員が働いている。全員への等しい情報伝達が容易でないことは想像できるが、そこで活躍するのが2016年から2017年にかけて導入した各店のサステナビリティ・アンバサダー(以下、アンバサダー)制度だ。現在は合計150人以上が販売業務に就きつつ活動している。役割は、店舗でのサステナビリティに関するフォローアップ全般で、山浦コーディネーターとアンバサダーたちは様々なチャンネルを通して日常的にコミュニケーションをとっている。自ら立候補するスタッフが多く、店長とはまた違ったリーダーシップが発揮されているという。「従来、店舗でのリーダーシップといえば店長一人だったが、アンバサダーの存在により、良い意味でその構造が崩れる。本部や店長からのトップダウンだけだと、店のスタッフは情報と指示を待つだけになりがちだ。身近にアンバサダーがいることで、一人一人がアクションを起こしやすくなる」と山浦コーディネーターは言う。

店頭の役割は「伝える」に加えて「顧客の声を聞く」ことにもある。そのために同社が活用しているのが、会員システム“H&Mメンバー”で、毎月行うアンケートの中に必ずサステナビリティに関する質問を入れている。「結果、われわれが伝えたいことがセールスアドバイザーを通じてお客さんに伝わっている実感があり、店頭からのフィードバッグに私自身、やりがいを感じる」。

アンバサダー制度と同時にサステナビリティに関するEラーニングも導入した。これは全社員を対象とした学びの場であり、入社時に必ず受講する。Eラーニングの内容は「なぜサステナビリティに取り組むのか?」といった「基礎」と「素材」の2種類で、本社が定期的に内容をアップデート。特に「素材」は新素材が出る都度更新する。全員が繰り返し見られる環境とのことだが、販売業務の傍らの学びはどうしても後回しになるもの。それは「H&M」でも同じだ。「それはそう。だから新コレクション発表のたびにリマインドし、特にキャンペーン時は2週間前からを“インフォメーションウィーク”とし素材に関するトレーニングを店舗で行うなどしている。とはいえスタッフによって興味関心、知識の凸凹があるのが課題だから、その意味でも他スタッフをフォローするアンバサダーの存在が重要だ」。

コミュニケーションに終わりはないが、中でも山浦コーディネーターは、入社時を意味する“オンボーディング”の教育・共有の重要性を強調する。「まずは、自分達の会社をよく知ってもらうことが大切だと思う。“あなたが働いている会社はこういう会社です。サステナビリティを重視しています”としっかり伝え、ファッションとサステナビリティは両立できることを知ってもらう。スタッフからすれば後から“サステナビリティが大事”と聞かされても戸惑うだけだから最初が重要。実際には元から関心があるスタッフが多いのでむしろ最初に伝えるこがモチベーションにつながっている」。

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