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ダイソン対パナソニックの広告表示訴訟はパナソニックが勝訴 ダイソン提出の実験方法は不適切

 ダイソン(DYSON)が2022年6月にパナソニックのヘアドライヤー「ナノケア」の“EH-NA0G”の広告が不正競争防止法に違反するとして、広告の差し止めや抹消を求めて東京地方裁判所に提訴した件について、同裁判所は4月27日、ダイソンが証拠として提出した実験は、いずれもその実験方法が不適切であり、実験結果についてもそれぞれ疑義があるため、「ナノケア」の広告が品質について消費者を誤認させると裏付けるには不十分であり、ダイソンの請求はいずれも認められないとして、訴えを退けた。

 パナソニックは判決を受けて「当社が一貫して指摘してきた、ダイソンが証拠として提出した実験は不適切であるとの主張が認められた。当社は、長年の研究開発を通じてヘアドライヤーに関する知見を深めるとともに、評価技術を確立して、技術に裏付けされた高機能な製品を開発してきたと自負している」とコメント。ダイソンは、「今回の裁判所の決定は大変遺憾であり、パナソニックのナノイー技術に関する一部の広告表示が消費者に誤解を与えるものであることを引き続き懸念している」とコメント。控訴する予定だという。

 ダイソンは、「ナノケア」“EH-NA0G”のナノイー技術が髪への影響や髪の潤い、髪の保護に与える影響に関する複数の広告表示は不正確であり、公正な競争を阻害するものであると主張。具体的には、「EH-NA0Gで使用されている高浸透技術により『水分発生量が従来の18倍』になる」「EH-NA0Gは『髪へのうるおい、1.9倍』を与える」など、「ナノケア」に関するいくつかの広告表現を挙げている。その裏付けとして、独立した第三者機関による実験結果を証拠として提出した。

 また、22年6月当初にダイソンは、「消費者が購入する商品は広告に表示されたとおりの性能を有しているべき。これまでも消費者に対する虚偽表示や誤解を招く表示に対して異議を申し立ててきた歴史がある」「これまでパナソニックの代表者に直接懸念を伝えてきたが解決に至らなかったため、法的措置を選択した」とプレスリリースの中で述べている。これに対してパナソニックは、「訴訟前のやりとりについては、ダイソン社からは一度書面の連絡があっただけであり、当社から書面回答を行ったにもかかわらず、返答はなく、約1年後に訴訟を提起された」とコメントしている。

 パナソニックは裁判において、一貫してダイソンが提出した実験は不適切であると主張。裁判所はパナソニックの主張を全面的に認め、ダイソンが提出した実験の試験方法は不適切であり、その結果にはそれぞれ疑義があるため、品質について誤認させると裏付けるには不十分である判断し、ダイソンの訴えをいずれも棄却した。

 なお、髪質に与える影響を測定する統一的な基準や規格は業界に存在せず、企業において適切な方法で実験を行うことが必要になるという。

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