ファッション
連載 齊藤孝浩の業界のミカタ

強い企業の秘密はBSにあり(上) PLを回すエンジンとしてのBSの見方【齊藤孝浩のファッション業界のミカタVol.40】

有料会員限定記事

 企業が期ごとに発表する決算書には、その企業を知る上で重要な数字やメッセージが記されている。企業分析を続けるプロは、どこに目を付け、そこから何を読み取るのか。この連載では「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」(共に日本経済新聞出版社)の著者でもある齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、企業の決算書やリポートなどを読む際にどこに注目し、どう解釈するかを明かしていく。今回はBSの重要性について、3回連続で改めて整理する。(この記事はWWDジャパン2022年8月8・15日合併号からの抜粋です)

 この連載を3年以上続ける中で、私自身、貸借対照表(BS)をよく見るようになりました。決算書というと、大概損益計算書(PL)を見ると思いますが、やはり強い会社というのは、「BSもすごい」と感じられることが多いのです。BSが営業利益を確保するための構造になっているんです。今回はこれまでの復習も兼ねて、改めてBSの重要性とPLとの関連性について整理します。

 まず、とっつきにくい財務諸表を分かりやすく図解(パズル化)することから始めましょう。この連載でも毎回のようにPLとBSを図にしていますが、数字の羅列ではなく、ビジュアルとして視覚的に分かりやすくすると、全体の把握がしやすくなります。財務諸表を見るといろいろと細かい項目がありますが、営業に関わる人は基本的に、PLの場合は、「売上高」「売上原価」「売上総利益(粗利)」「販管費」「営業利益」が重要です。「販管費」でメジャーなのは「人件費」と「地代家賃」「広告宣伝」。減価償却などの細かい管理種目は、思い切って「その他」にまとめてしまっていいと考えます。

 そして、BSも細かい項目を全部網羅するのではなく、「現預金」や「在庫」や店舗など営業に必要な投資などの重要なものだけ載せて、あとはもう「その他」にまとめてしまった方が分かりやすいです。

 BSは左側に「資産」、右側に「負債」で分かれていますが、「資産」は営業するため、つまりPLを回すために必要な「資金」を何に使っているか、「お金の使い道」です。そして、その資金を、どうやって調達したかを表しているのが「負債」です。つまりその「お金の出どころ」です。

この続きを読むには…
残り2386⽂字, 画像2枚
この記事は、有料会員限定記事です。
紙版を定期購読中の方も閲覧することができます。
定期購読についてはこちらからご確認ください。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

Timeless, Yet New 変わらない吉田、世界を変える【WWDBEAUTY付録:今こそ立ち上がれ、日本化粧品】

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。