ファッション

サザビーリーグが輸入するティアードドレスの「マーレット」 日本でのビジネスは「驚くほど好調」

 サザビーリーグが日本における独占輸入販売権を持つウィメンズブランド「マーレット(MERLETTE)」が、順調に売り上げを伸ばしている。同社が取り扱うようになった2020年春夏から「毎シーズン、卸と公式ECの売り上げは前年同期に対し10〜50%増といった水準で推移している」と、原瑛一サザビーリーグリトルリーグカンパニー新規事業本部代理店ブランド営業部/商品部部長。2022年春夏はブランド設立5周年を迎え、4月に有力セレクト店、百貨店の4店で旅をキーワードにしたポップアップストアも行った。

 同ブランドはデザイナーのマリーナ・コートバゥイ(Marina Cortbawi)が、ニューヨークを拠点に16年にスタート。ティアードのコットンドレス(5万5000円前後中心)がアイコン商品で、国内の卸先は大手チェーンセレクトや地方の有力個店など、約30口座という。「コロナ禍で取り引きが終了した店舗もなくはないが、毎シーズン消化率が高いことから1店あたりのオーダー金額が徐々に大きくなっている」(辻慶子サザビーリーグリトルリーグカンパニー新規事業本部マーレット担当)ことが好調の背景にある。

 コロナ禍でも萎縮せず、本国サイドが臨機応変にMD面で仕掛けを行っていることも成長理由という。同ブランドは過剰供給を防ぐ意味も込めて、通常は1シーズンに1コレクションのみ投入している。しかし、例えば21年春夏は、“エッセンシャル”と名付けたカプセルコレクションで、定番色のティアードドレスやティアードブラウスなどのブランドの顔のアイテムを投入。コロナ禍で「本当にほしいものを少しだけ買う」といった意識が広がったことから、卸先がプレシーズンでもメインシーズンでも店頭展開でき、値引きもすることなく売れるように、と考えた企画だった。

 また、ティアードドレスやブラウスのみに依存するのではなく、バッグやニットなどアイテムの幅も少しずつ拡大しており、ブランドの世界観を広げている。サザビーリーグとしても、ブランドの全体的なイメージが伝わるような買い付けを卸先に働き掛けている。

 人気ブランドであるがゆえ、特にティアードドレスは他ブランドによる類似商品も多い。「幸いファンのお客さまからは、『やはり本物は着たときのシルエットや高揚感が違う』と言っていただけている。媒体への露出や有力立地でのポップアップショップ開催などでブランドやデザイナーのマリーナ自身のことをもっと多くの人に知ってもらうことが、何よりも差別化につながるはず」と辻担当は話す。

 今春夏はブランド設立5周年を記念し、カプセルコレクションを企画した。公式ECで予約販売を行い、一部商品は現在も販売しているほか、4月9〜17日にはサザビーリーグが運営する「ロンハーマン(RON HERMAN)」六本木店と「RHCロンハーマン」みなとみらい店でイベントを実施。伊勢丹新宿本店(同13〜26日)、阪急うめだ本店(同13〜19日)でもポップアップストアを実施した。これらの売り上げも、25日時点で予算の1.5倍以上の進捗という。


「作り過ぎず、でもワクワクも提供」

【デザイナー、マリーナ・コートバゥイから】

 日本市場でのビジネスは、サザビーリーグと2019年に代理店契約を結び、また21年に日本で公式ECを開始して以来、驚くほど好調に推移しています。われわれの目標は、美しい服やバッグを作り続け、品質を損なうことなく、お客さまに幸せなライフスタイルを提供するブランドに成長すること。そのためには、時にスピードを落とし、商品を作り過ぎないことも重要です。でも、新しいカプセルコレクションやコラボレーションなど、ワクワクすることもしっかり考えています。

 生地生産から縫製、出荷に至るまで、全ての場面でサステナビリティに配慮しています。例えば(アイコンアイテムのティアードドレスやブラウスの素材であり、同時に環境への負荷の大きさが知られている)コットンは、追跡可能な米国産のピマコットンや、「エコテックス」スタンダード100認証を取った生地に早い段階で切り替えました。また、同じ生地をシーズンを超えて使用しているので、生地を余らせることもありません。パターンメーキングも生地の廃棄が最小になるように計算しています。「マーレット」はトレンドに左右されず、いつの時代も着られるデザインを目指しています。それも無駄を減らす点で非常に大切なことです。

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