ファッション

日本が世界に誇れるラグジュアリーブランド JAXURY2022 第2回アワード発表! 部門賞獲得した10ブランドとは? 

JAXURYとは? さまざまな角度からその定義に迫ったシンポジウム

 虫の音にさえ風情を感じ、わびさびという引きの美学を持つ日本には、独自のラグジュアリーがあっていい。自然物に神が宿ると信じ、道具に魂を込めることができる日本人だから構築できるラグジュアリーがあってしかるべきではないか? そうした研究から始まったのが、ジャパン オーセンティック ジャグシュアリー=JAXURY。まさに日本を象徴するJAXURYブランドを選ぶアワードの第2回授賞式、及びシンポジウムが、3月24日慶応三田キャンパスの大ホールで開催された。

 まずは上記のような背景をもとに、研究母体である慶應義塾大学大学院SDMラボの研究員で、発起人の隅谷彰宏氏(オーカ・デザイン代表)が、JAXURYの定義を説くことからスタート。日本語訳だと「高価なもの、贅沢で華美なもの」となってしまうラグジュアリーの意味を、本来の「心地が良く、上質、めったに得られない喜び」と捉え直し、日本独自のJAXURYという概念を組み立てていった過程をさまざまな角度から訴えた。

 続いて、JAXURY受賞全ブランド・の魅力を綴った1冊、講談社「FRaU・JAXURY特集号」の編集責任である吉岡久美子氏が、巻頭特集「日本人の身体」に紐づく日本の美の奥義を情感豊かに講演した。能楽師の安田登氏が説く、間(間隔)に潜む「あわいの力」をJAXURYの精神性につながるものとして語り、自然と人、意識と無意識などの境界が溶けゆく「あわい」の移ろいにこそ、日本独自の調和の美があると唱えた。とりわけ人と人との“対話”も、日本の場合“共話”となり、お互い主張しあわず、例えば昨夜の地震の不安を共有し合うことに、対人関係の「あわい」があると説いている。そこに日本古来の”心地よさ=ラグジュアリー“の本質があることを示唆。このアワードが単なる“一流”を選ぶものではないことを印象付けた。

 第1回のアワード結果は先月配信のWWDウェブ記事でもすでに報告済みだが、今回新たに選出されたブランドも含め、JAXURY120全ブランドが紹介され、小山薫堂氏、重松理氏を始めとする審査員が講評を添えた。

JAXURY10の視点に基づく[10の部門賞]第二回アワードで新受賞された10ブランド

【クラフトマンシップ】部門賞  東屋(AZUMAYA):器、道具
手工業により、「心から良いと思える嘘偽りない本物」にこだわった生活の道具

【感性】部門賞  シーエフシーエル(CFCL):ファッション
3Dコンピューター・ニッティングで世界的に評価される構築的デザインは「着る人の器」

【信頼】部門賞 日本橋 木屋(KIYA):刃物
作り手と使い手の間に息づく比類のない信頼関係こそ、刃物を作ってきた230年の誇り

【本来感】部門賞 ヤンマーX47(YANMAR):クルーザー
世界最高峰のエンジンを作るブランドが創造した、この上なく美しいレジャーボート

【唯一無二】部門賞 ポーラ(POLA):化粧品ほか
圧倒的な研究開発力を背景に、勇敢とも言える新領域のへの挑戦はまさに唯一無二

【美】部門賞 俄(NIWAKA):ジュエリー
オスカーでセレブがまとった独創性、日本古来の意匠がハイジュエリーとなった奇跡の美

【日常的な上質さ】部門賞  アリタポーセリンラボ(ARITA PORCELAIN LAB):有田焼
世界から尊敬を集める麗しき有田焼に、現代的解釈を加えモダンによみがえらせた器の未来

【神話・歴史】部門賞 美山荘(MIYAMASOU):旅館
まさに時間軸を超え、ぜいたくの先にある神話や夢に誘い、本質に触れさせてくれる旅

【幸運・僥倖】部門賞 嬉野ティーツーリズム(URESHINO TEA TOURJISM):茶事
生産者がお茶を立て、茶畑を背景にサーブする、未体験のパフォーマンスこそ日本の僥倖(ぎょうこう)

【利他】部門賞 メゾンカカオ(MAISON CACAO):チョコレート
唾液量に合わせ、水分量の限界に挑む食の科学と、息を飲む美しさの融合に、心震える

 また、今回新たにJAXURYブランドとして選出されたブランドは、
アヤメ(AYAME):アイウエア
リファ(REFA):美容ローラー
イワタ(IWATA):寝具
ヤマギワ レビオ(YAMAGIWA REBIO):照明
バルミューダ(BALMUDA):トースター
シャクダ(SHAQUDA):ボディーブラシ
ムニキョウト(MUNI KYOTO):以下、全て宿泊
ザ・ホテル青龍 京都 清水(THE HOTEL SEIRYU KYOTO KIYOMIZU)
ホテル ザ 三井京都(HOTEL THE MITSUI KYOTO)
眞松庵(SHINSHOAN)
湯の山 素粋居(SOSUIKYO)
エントウ(ENTO)
アズミセトダ(AZUMI SETODA)
御宿 竹林亭(CHIKURINTEI)
坐忘林(ZABORIN)

 大賞の新規ブランドの選出はなく、改めて2期連続大賞が表彰された
パレスホテル東京(PALACE HOTEL TOKYO)
タイム アンド スタイル(TIME&STYLE)
ホソオ(HOSOO)

(大賞の詳細及び既に“部門賞を受賞されている20ブランド”は、https://www.wwdjapan.com/articles/1339759)

 授賞式後、SDM研究科の白坂成功教授が「人間は見たいものしか見ない」という視覚のバイアスを踏まえたユニークな講義を。また、大賞受賞のホソオ代表・細尾真孝氏が「西陣織が生き延びたのは、経済以上に美を追求し続けたことに起因する」と講演した。最後にs代表理事でもある幸福学の第一人者、前野隆司教授が「使い手も含め同じ志を持つ人たちの出会いが化学反応を起こして、世界に打って出るプラットホームたりうること、それがJAXURYがもたらす幸福である」と、この会を締めくくった。

JAXURY SPACE @ Isetan men's 8F salon 4/29スタート

 伊勢丹新宿店にJAXURYの特別スペースが設置される。まず部門賞受賞3ブランド=「朝日焼」×「山本甚次郎」×「メゾンカカオ」によるポップアップからスタート。スペース内の家具に「タイム アンド スタイル」を使用するなど、JAXURYブランドの様々なアイテムが毎月空間を飾る。また、定期的な勉強会を計画(有料)お茶の作法や食べ方の作法など、世界に伝える日本を再定義し、購入、体験、学びの場として展開予定。

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