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日本にラグジュアリーはあるのか? 「ある研究」から生まれた日本のラグジュアリー=JAXURYアワード 大賞受賞の3ブランドとは?

JAXURYアワードは、いかにして生まれたか?

 日本にラグジュアリーはあるのか? そもそもラグジュアリーとは何なのか? それは「一つの研究」から始まる。日本におけるラグジュアリーの位置づけに、ある種の疑問を持つことからスタートしたのだ。つまり、高級であること、贅を尽くすことを「ラグジュアリー」と訳すのは間違いであると。むしろ「人を心地よくするもの」「愛される本物」こそを、ラグジュアリーと呼び、光を当てるべき……そうしたスタンスから、さらにその意義、その可能性を探るべく生み出されたのが、ジャパン・オーセンティック・ラグジュアリー=JAXURY(ジャクシュアリー)という全く新しい概念だった。具現化の1つとしてJAXURYアワードも設けられ、いまだ日本のラグジュアリーの何たるかを伝えきれていない世界に向け、熱意を持って発信していくツールという役割を持ったのである。

 JAXURYなものとは、1.「日常」を上質にしてくれるもの、2.「いま」の時代にアップデートされているもの、3.「世界」から見ても輝いて見えるもの……さらにはアカデミックな考察により導かれた「JAXURY10の視点」(後述)もあり、世界に類例のない価値。世界基準のラグジュアリーなアワードとは一線を画すものとなり、政府文化庁の協力も得られることとなった。

 研究の母体となったのは、幸福学の第一人者、前野隆司氏(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究所教授)のもと、日本が誇る「もの、こと、サービス」の真の価値を考える“オーセンティック・ラグジュアリーラボ”。研究員でもある隅谷彰宏氏(オーカ・デザイン代表)が立ち上げたのが、JAXURY委員会だった。あくまでも学究的にラグジュアリーを捉え、“日本が育んだ本物とは何か?”を真摯に追い求めるラボの活動、またその理念に賛同するスペシャリストが各界から集まり、委員会を組織していったのである。委員は他に小山薫堂氏、ユナイテッドアローズ名誉会長・重松理氏、裏千家の奈良宗久氏、講談社・吉岡久美子氏、柿山代表・川合寛妥氏、ファッションディレクター森岡弘氏、そして美容ジャーナリスト齋藤薫。

 きしくもそのスタートは、コロナ禍と前後しており、性急な価値観の変化は、地球規模で“人にとって大切なもの”が新たに模索される中、ラグジュアリーの新定義も急務となり、2021年3月25日、東京都港区三田の三井倶楽部で第1回JAXURYアワード受賞式を開催した。まずJAXURYブランド100社が選出され、その中から大賞3大ブランド、部門賞20ブランドが発表された。(なお、飲食店は今回除外されている)。大賞は次の3社。

タイムアンドスタイル(TIME&STYLE):インテリア

 日本の伝統的なものづくりの本質を変えることなく、究極のモダンを追求。現代の暮らしに新しい表情をもたらすインテリアの力を見せつけた。世界でも展開され、アムステルダムに続き、ミラノにも進出。洋館と和の調和はまさに圧巻である。


ホソオ(HOSOO):西陣織

 西陣織1200年の歴史を継承しながらも、革新的なクリエーションで21世紀にしか表現できない無類の美を確立。12代目となる今、世界最高峰のテキスタイルブランドとして、海外プレステージブランドや五つ星ホテル、レクサスの内装までを手がける。


パレスホテル東京:ホテル

 皇居を望む丸の内の奇跡的な立地に甘んじることなく、記憶に残る「最上質の日本」を目指し、設えからサービスまで、有形無形に比類のない上質を見せつける。フォーブストラブルガイドにおいて、日本のホテル初の五つ星を獲得している。


 受賞ブランドに限らず、JAXURY100のブランドのこだわりや挑戦には100のドラマがあり、100の哲学がある。またいずれもが謙虚に献身的にそれぞれの使命を果たしていることは感動的ですらある。それらはまさに日本の誇り。ラグジュアリーの語源はルクス=光だが、日本のラグジュアリーは、行燈のほの明かりのように隠しても覆ってもにじみ出る穏やかな光。「本物ほど慎み深い」ことまで含めて、JAXURYの定義と言えるのだろう。

 JAXURYアワード第2回受賞ブランド発表は3月24日、慶應三田キャンパス西館ホールで開催する。選考基準でもあるJAXURY10の視点は、そのまま10の部門賞のカテゴリーとなった。部門賞は以下の通り。

1、「クラフトマンシップ」部門賞:開化堂/グランドセイコー
2、「感性」部門賞:ACRO/サントリー
3、「信頼」部門賞:一澤信三郎帆布/日本橋 千疋屋総本店
4、「本来感」部門賞:資生堂/スノーピーク
5、「唯一無二」部門賞:ガンツウ/京都宇治茶房 山本甚次郎
6、「美」部門賞:中川木工芸/マメ クロゴウチ
7、「日常的な上質さ」部門賞:朝日焼/ジャクソン
8、「神話・歴史」部門賞:とらや/仁和寺 松林庵
9、「幸運・僥倖」部門賞:ショウナイホテル スイデンテラス/LEXUS
10、「利他」部門賞:小布施堂/勇心酒造

■JAXURYアワード第二回受賞ブランド発表
日時:3月24日 15:00~17:30
場所:慶應三田キャンパス西館ホール ※オンラインでの参加も可能
主催:一般社団法人JAXURY委員会、慶應義塾大学大学院SDM研究所オーセンティックラクシュアリーラボ
協力:文化庁 、講談社 
問い合わせ先:JAXURY委員会事務局 official@jaxury.jp

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