ビューティ
連載 ビューティ企業TOP100・2020年版 

コロナがもたらしたビューティ業界の10の変化【世界のビューティ企業TOP100】

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 「WWDJAPAN」7月12日号は、2020年12月期の売り上げに基づく「世界のビューティ企業TOP100」特集。20年は新型コロナウイルスが猛威をふるい、ビューティ業界に大きな影響を与えた。毎年恒例の「TOP100」特集だが、今回は初めて、過半数の企業が売り上げを落とす結果となった。100社の売上高の総額は2120億ドル(約22兆円)になり、19年に比べて6.6%減った。これまで絶好調だったビューティ業界だけあってコロナは大きな爪痕を残したが、未曾有の状況下でもV字回復を成し遂げた企業があったり、新たなビューティトレンドを招いたり、明るいニュースもあった。そんなビューティ企業の20年の決算から、最新の市場動向を読み解く。

1 中国市場がいち早く復調

 コロナ前から中国市場は右肩上がりに成長していたが、コロナ禍でいち早く回復した同市場は、多くの企業の成長の要となった。また中国発のブランドが海外進出したり、「TOP100」のランキングにも初登場したり、Cビューティの勢いも続いている。動物実験にまつわる法律が緩和されるなど、ナチュラル系のブランドも進出しやすくなった同市場を掴んでおくことは大きな成長ドライバーとなるだろう。

2 スキンケアが全世界を席巻

 これまでアジアを中心に大きかったスキンケアニーズが、一気に全世界に広まった。中でも皮膚科医が推奨するようなダーマコスメブランドが支持され、SNSでの拡散も手伝いで若年層の間でもトレンドに。メイクアップがメインだった市場でもスキンケアが伸び、業界全体における”スキンケアシフト”は顕著だった。トップのロレアル(L'OREAL)はダーマコスメブランドを扱う事業部が前年比20%近く伸び、エスティ ローダー(ESTEE LAUDER)は売り上げの60%をスキンケアが占める結果となった。

3 変化する消費者ニーズへの対応力がカギ

 店舗の休業やテスターの廃止など、これまでのように化粧品を売ることが難しくなった中で、迅速にデジタルにシフトした企業はダメージを最小限に抑えた。さらにマスクの着用などで変化する消費者のニーズに柔軟に対応できるかも問われる一年となった。

4 プレステージビューティが大打撃

 トラベルリテールや百貨店が休業したことにより、プレステージビューティブランドが最も大きな打撃を受けた。外出が減り、中でもメイクアップとフレグランスのダメージが目立った。

5 おうち時間でパーソナルケアが急伸

 プレステージが苦戦した一方で、パーソナルケア市場は飛躍した。健康や衛生面に気を遣う人が増え、加えておうち時間が長くなったことをきっかけに、セルフケアが大きなトレンドとして浮上。「ウエルネス」「ヘルス」「ケア」などのアプローチをとったブランドや製品のニーズが伸びた。

6 プレステージヘアケアが次なるブーム?

 プレステージヘアケアがじわじわとブームになりつつある。サロンに行けない中で家でプロフェッショナル級のヘアケアを求めるニーズが高まった。スキンケア同様に、「ウエルネス」や「ヘルス」の要素を盛り込んだ製品が人気だった。今後も拡大し続けるか、要注目だ。

7 Jビューティ&Kビューティーが苦戦

 日本と韓国はともにここ数年中国人観光客によるインバウンドの恩恵を受けてきたが、渡航制限により売り上げが激減。日本の大手プレイヤーも大きな打撃を受けたが、オンラインカウンセリングやバーチャルショップ、ソーシャルコマースなど新たな手法を試みる企業も多く、ビューティ業界のDXを促した。

8 トップ10に新たなプレイヤーが出現

 欧米・日本の企業が上位を占めるトップ10のランキングに、ブラジルのナチュラ&コー(NATURA&CO.)が初めてランクイン。南米の注目株でもある同社は昨年エイボン・プロダクツを買収し、昨年の16位から、一気に7位に上りつめた。「イソップ(AESOP)」や「ザボディショップ(THE BODY SHOP)」なども擁する同社はサステナビリティのリーディングカンパニーでもあり、今後環境保全や社会課題においてもマーケットをけん引するだろう。

9 サステナ活動が評価基準に

 消費者はこれまで以上に製品の環境・社会への影響を気にするようになっており、企業がサステナビリティに取り組むことはもはや必須となった。そんな中、明確で分かりやすいサステナ目標を掲げるか否かが購買を左右するようになり、企業の一つの評価基準に。その証に、パーパスドリブンな企業は(そうでない企業に比べ)成長が著しく評価も高い。

10 盛り上がるD2C市場

 これまでも注目されてきたD2C市場がさらに盛り上がった。D2Cブランドだけでなく、訪問販売の大手企業もECや消費者とのデジタルのコミュニケーションを強化し、D2Cマーケティングを取り入れた。

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