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DX化で変わる? 大手メーカーと化粧品専門店の関係性【今週のビューティ展望】

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ビューティ・インサイトは、「WWDJAPAN」のニュースを起点に識者が業界の展望を語る。今週は、大手化粧品メーカーと化粧品専門店が取り組むDXの話。

【賢者が選んだ注目ニュース】
資生堂が500の化粧品専門店参画のECプラットフォーム開設
仙台で70年間化粧品市場をけん引する「スキヤ」の若き3代目

 資生堂が3月下旬に立ち上げた「オミセプラス」は、全国500店の化粧品専門店と連携したECプラットフォーム。資生堂はすでに全ブランド・全商品を扱うECサイト「ワタシプラス」を展開しているが、「オミセプラス」は各店に顧客登録をしていることが前提となり、購入できる商品も登録店舗の取り扱いブランドに限られる。あくまで専門店の顧客の利便性を高める目的であることが大きな違いだ。独自にECサイトを立ち上げている専門店もあるが、「クレ・ド・ポー ボーテ」など一部のブランドは購入することができない。一方「オミセプラス」では、実店舗で取り扱いがあれば購入が可能になっている。

 資生堂の製品を扱う専門店は都内で約500店ある。そのうち「オミセプラス」に参加しているのは、5月初旬の時点で50店。今後はウェブやチャットを用いたカウンセリングも視野に入れながら、協力店の拡大に取り組んでいくという。

 資生堂の化粧品専門店施策の原点は1923年(大正11年)に構築した「チェインストア制度」にある。同制度では定価販売などの契約を結んだ専門店に商品を卸すとともに、販促物の提供や美容部員の派遣といった幅広いサポートを行う。資生堂はチェーンストアを通じて全国に地域密着型の販売網を築くことで成長を続けたと同時に、美容理論や質の高い接客サービスを広めることにもつながった。カネボウ、コーセー、アルビオンといったブランドも同様の制度を持ち、専門店との関係性を維持している。地域の有力店はメーカーからも一目置かれており、百貨店など商業施設の出店交渉においても無視できない存在となっているため、金額シェア以上にその重要性は高い。駅ビルなど商業施設にとって有力なテナントであるアットコスメストアも、原宿の路面店以外は各地域の専門店を通じて出店している。専門店はすでに各メーカーとチェーンストア契約を結んでいるため、シェアの高い国内ブランドをベースとしたブランドセレクトを行えるのが、アイスタイルグループにとっても大きな利点となる。

 化粧品専門店の多くは資生堂に限らず、カネボウ、アルビオン、コーセーなど複数のブランドを扱う。それぞれのブランドにひもづいた顧客も存在するが、同時に複数ブランドを併用する顧客も多く見られる。一部の専門店はすでに独自のECサイトや電話注文の仕組みを持っており、原則的にECを行わない「アルビオン」や「コスメデコルテ」の商品も、店舗の顧客であれば電話注文・店舗取り置きに対応するケースもある。こうした現状の中で、資生堂のブランドだけを「オミセプラス」で購入する顧客がどの程度あるのかは未知数だ。コーセーなど他メーカーが資生堂の動きに追随する可能性もあるが、一つの店舗に複数メーカーのECプラットフォームを導入することはかなり煩雑で非効率的だ。資生堂は「オミセプラス」を通じて、個店では対応が難しいオンラインカウンセリングの仕組みを提供して販売力を高めるとともに、資生堂への貢献度を高めることも狙いの一つと考えられる。

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