ファッション

日本を代表するスキーブランド「フェニックス」をニコラ・フォルミケッティがよみがえらせる

 日本を代表するスキーブランドとして知られる「フェニックス(PHENIX)」のクリエイティブ・ディレクターに、ニコラ・フォルミケッティ(Nicola Formichetti)が就任する。新たにアウトドアライン「プラスフェニックス」(+PHENIX)」もデビューさせるとともに、企画、MD、PRなどすべてにおいてディレクションを行っていく。本格的にニコラが手がけるウエアが登場するのは、2022年春夏からになるが、撮影やスタイリングなどにはすでに参画している。

 ニコラは現在、ロサンゼルスを拠点にレディー・ガガ(Lady Gaga)のクリエイティブ・ディレクターを務め、彼女の公の場でのスタイリングやMVのディレクションを担当。これまでも「ディーゼル(DIESEL)」や「ミュグレー(MUGLER)」「ユニクロ(UNIQLO)」や自身の「ニコパンダ(NICOPANDA)」などを手がけてきた。
 
 ニコラは26日、電話インタビューで、「歴史あるブランドのクリエティブに参画できて、とても光栄だ。スポーツは自分のパッションの源でもあるので、自分が創り上げるクリエティビティーと、『フェニックス』がこれまで築いてきたDNAを融合することで、ブランドの歴史をモダンに反映した新しいアイテムが生まれることを確信している。スキーだけでなく、街で着られる、家の中でも快適で、散歩もできて、軽いスポーツができるようなものが欲しかったので、『+フェニックス』を新たにデビューさせる。すごくかわいくて、ストリート系で、着やすくて、スキーからインスピレーションを受けた、カジュアルでカラフルで遊び心があるラインになる。日本だけでなく世界でも大きく打ち出していく。僕は半分日本人だから、日本発のブランドを世界で飛躍させるためのサポートをしたいとずっと思ってきたし、それができるのがうれしい」と語った。

 また、「スポーツとファッションが今後さらに身近になれるような広げ方をしていきたい。僕も今やっているけれど、メディテーションをしたり、自然の中を歩いたり、走ったり、ヨガをしたり、ジムに行くなど、日常の中で体を動かすことがもっともっと大事になってくると思う。モノをデザインする際、変にトレンドを追った最先端のファッションではなく、モダンだけれども、何年も長く着られるようなものが求められている。ストリートやスポーツのトレンドはサイクルが長いし、コレクションごとに新しいものを提案するというよりも、少しずつアップデートするようなところも気に入っている」と話す。

 「『フェニックス』でも、デザイン、広告、マーケティング、デジタル活用などを通じてブランドをカッコよく面白くしていく。今はバーチャルとリアルで両方生きているようにしていかなければならない時代。僕はもともとバーチャルとかAI(人工知能)とかアバターなどが大好きで、ガガともいろいろ仕掛けてきたし、映画みたいなシューティングも得意だから、そういった手法も取り入れたい。たとえば、オキュラスみたいなVRで体を動かすこともできるし、プレステや任天堂wiiなどのゲームの服をカッコよくすることもできる。もちろん、テクノロジーを道具として使っていくことはいいと思うし、バーチャルでスキーをするのも楽しいだろうけれど、やっぱり、家にばかり閉じこもらないで、実際に体を動かすことが重要だ。僕も新しくスキーに挑戦するつもりだよ」とバーチャルとリアルを融合しつつも、自身の体験やスポーツの重要性を訴える。

 旧フェニックス社の営業終了に伴い、ブランドを取得した志風音の西村健太社長はニコラを起用した理由や「フェニックス」の可能性について、「以前から知り合いだったニコラ氏から偶然連絡をもらい、話しているうちに、お互いのタイミングと方向性が合致した。『フェニックス』は日本人にとって圧倒的な認知がある。ブランドの歴史、シェア率こそが『フェニックス』が持っているポテンシャルだと思う。phenixテクノロジーの心臓部であるTECHをはじめ、これまで培ってきたことを事業承継することは非常に大きな価値がある。衣食住の『衣』の中でも、業界は細かくセグメントされており、その商流・慣習は各ジャンルによって異なっている。長い歴史を持つ『フェニックス』に、われわれが幅広い事業から得たマーケティングのノウハウをクロスさせることで、従来のルールに捉われず、セグメントされた業界の壁を越え、スキー・アウトドア業界に新しい価値を生み出せると確信している」と意気込む。

 新生・フェニックスの売上高は、初年度(21年秋冬~22年春夏)にスキーウエアで10億円、「+フェニックス」で5億円、営業利益は1億5000万円を予定する。5年後までにブランド全体で30億円規模にまで拡大させたい意向。2021年3月期の志風音の業績は、売上高37億円、経常利益4億2000万円で着地する見込み。5年後には、売上高100億円を目指しており、「フェニックス」はそのけん引役として期待する。

 「+フェニックス」のコンセプトは、「DNAであるスキーのテイストを派生しながら、テクニカルな素材や機能を使い、雪山、登山、キャンプ、都会、ビジネスなど、組み合わせによって、どんなシチュエーションにも対応できる、多様性を持ったアイテムを提案するアーバンアウトドアブランド」。

 街着で着られるアウトドアラインとして、スタイリッシュなデザイン性・機能素材・安価なプライスを実現し、パフォーマンス度が高いミドルラインとサステナブル&機能性を用いた素材を軸とし、スキーウエア「フェニックス」のデザインをハイブリットさせ、様々なシチュエーションに適応するハイラインの2ラインでメンズ、ウィメンズを展開する。

 ファーストシーズンでは、多機能素材を用いたテックジャケット・パンツのほか、軽量素材と撥水機能を持ち合わせたダウンジャケット、マウンテンパーカ―、小物類など、多種多様なアイテム約60型を展開予定。ハイラインとミドルラインで構成し、ハイラインはダウンジャケットで2万1890~2万7940円、機能素材ジャケットで1万9800~2万9920円、機能素材パンツ1万9800円、ポンチパーカー1万5950~1万7930円、パンツ1万4960~1万5950円。ミドルラインはTシャツ5,940円~、パーカ1万1990円、スウェット1万2980円、パンツ1万1990~1万4960円、雑貨類2970~4950円など(すべて税込み)。1月27日から志風音のショールーム(日本橋馬喰町)で行う展示会でお披露目する予定だ。

松下久美:ファッション週刊紙「WWDジャパン」のデスク、シニアエディター、「日本繊維新聞」の小売り・流通記者として、20年以上にわたり、ファッション企業の経営や戦略などを取材・執筆。著書に「ユニクロ進化論」(ビジネス社)

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