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香港のI.Tグループが株式非公開化へ 買い取り総額は174億円

 香港のアパレル企業I.Tグループ(I.T GROUP)は11月6日、英投資会社CVCキャピタル・パートナーズ(CVC CAPITAL PARTNERS)と手を組み、株式を非公開化する計画を発表した。

 これはI.Tグループの創業者であるシャム・カー・ワイ(Sham Kar Wai)会長兼最高経営責任者(CEO)やその一族に属さない発行済み株式を、1株当たり3香港ドル(約39円)と同銘柄の11月30日の終値に対して約55%のプレミアムが上乗せされた価格で買い取るもので、取引総額は1億6800万ドル(約174億円)程度になると見られている。非公開とした後は、シャム会長兼CEOらの創業者一族が50.65%を、CVCキャピタル・パートナーズが49.35%を保有する。

 1988年に香港でオープンしたリセールショップを前身とするI.Tグループは、好景気の波に乗って事業を拡大し、複数のセレクトショップを運営。「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」、ギャラリーラファイエット(GALERIES LAFAYETTE)、ドーバー ストリート マーケット(DOVER STREET MARKET)などがアジアに進出する際に提携している。また2011年に「ア ベイシング エイプ(R)(A BATHING APE(R))」を手掛けるノーウェア(NOWHERE)を買収したほか、18年には「アクネ ストゥディオズ(ACNE STUDIOS)」の株式10.9%を取得した。

 近年の小売業では急速にデジタル化が進んでいるが、中でも中国市場は同国の最大手EC企業アリババ(ALIBABA)と第2位のJDドットコム(JD.COM)が独占しており、香港の高級専門店レーン・クロフォード(LANE CRAWFORD)やセレクトショップのジョイス(JOYCE)なども苦戦を強いられている。

 I.Tグループも同じくECの遅れなどによって業績に陰りが見えていたところに、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業措置や、香港で長期化している民主化運動の影響によって売り上げが大幅に減少した。20年3~8月期決算の売上高は前年同期比31.8%減の27億3469万香港ドル(約355億円)、純損失は前年同期の7117万香港ドル(約9億2521万円)から3億3707万香港ドル(約43億8191万円)の赤字と損失が膨らんでいた。同社は株式の非公開化について、「これまでもオンラインを強化する戦略を進めてきたが、店舗の売り上げ減少を補うには至っていない。長期的かつ持続可能な成長のため、戦略の見直しや、事業の改革および再構築を進めるために行う」と説明している。

 同社は05年3月に香港証券取引所に上場しており、今回の取引が完了すれば上場廃止となるが、手続きを開始するには株主の承認が必要となる。

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