ファッション

経営難の英「トップショップ」親会社が破産申請 コロナ禍が追い打ち

 経営難の「トップショップ(TOPSHOP)」「トップマン(TOPMAN)」などを擁する英アルカディア・グループ(ARCADIA GROUP以下、アルカディア)は11月30日、破産を申請した。

 イアン・グラビナー(Ian Grabiner)=アルカディア最高経営責任者は、「コロナ禍を乗り切るべく尽力したが、これまで経験したことのない、あまりにも厳しい状況だった。管財人と協力し合い、懸命に働いてくれた従業員を含む全てのステークホルダーにとって最善の道を探りたい。破産申請の手続き中も事業を継続し、取引先への納入も通常通りに行う」と語った。

 管財人に任命された会計事務所デロイト(DELOITTE)は、「アルカディアは繁華街の中心的な存在となる小売店を運営しているが、小売り環境の変化やコロナ禍による休業措置などによる資金難に陥っていた。経営陣やステークホルダーと協力しながら全ての選択肢を検討し、今後も事業を継続できるようにしたいと考えている。そのためにも適切な買い手を早急に探したいと思う」とコメントした。

 アルカディアは英国内で400以上、海外で20以上の売り場を展開。従業員は全体で1万3000人程度で、コロナ禍の影響によりそのうち約9300人が一時帰休となっている。また年金も赤字となっており、およそ3億5000万ポンド(約483億円)の不足があると見られている。

 英国は3~6月に行われた1回目に続き、11月5日から2回目のロックダウンを行っているが、それが解除される予定の12月2日以降、同社が運営する店舗も営業を再開する。また同社は11月27日の「ブラックフライデー(Black Friday)」およびその週末にECで大規模なセールを実施しているが、受注した商品は全て届けるという。

 アルカディアは以前から経営破綻の危機に陥っており、2019年6月には同社を所有する大富豪のフィリップ・グリーン(Philip Green)卿の妻で同社の主要株主であるグリーン卿夫人が私財を投じて救済した。これを受け、債権団は店舗の閉店、従業員の解雇、建物賃料の値下げ交渉、経費削減などが盛り込まれた再建策に合意している。

 なお同社が19年9月にイギリスの会社登記所であるカンパニーズ・ハウス(COMPANIES HOUSE)に提出した18年8月期決算によれば、同社の売上高は前期比4.5%減の18億1881万ポンド(約2509億円)、純損益は前期の1億4476万ポンド(約199億円)の黒字から1億1438万ポンド(約157億円)の赤字となっている。

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