ビューティ

創設者の自宅の一室でのブランド立ち上げを経て、新宿に路面店をオープン 世界を目指すビューティブランド「ユブネ」とは?

 “日本初のメディテーションブランド”をうたう新ビューティブランド「ユブネ(YUBUNE)」がデビューし、10月8日に体験型ショップを東京・新宿にオープンした。スキンケアからヘアケア、フレグランスまで約60SKUでスタートした同ブランドは、100%天然の動物性油脂を使った原液美容液“ロー エミュー オイル”や、酸素が溶け込んだ水を主原料とする“オキシジョン スキン ミスト”などユニークなアイテムがそろう。ブランド創設者の渡邊寛氏は10年以上前に通販のヘアケアブランド「クイーンズバスルーム(QUEEN’S BATHROOM)」を立ち上げ現在まで着実に成長させてきた人物だ。新ブランド「ユブネ」は「日本から世界を目指すブランドを」という、渡邊代表の思いを聞いた。

WWD:化粧品業界にはどのように入ったんですか?

渡邊寛YUBUNE代表取締役(以下、渡邊):ビジネス系の専門学校を出た後、香水に興味があり香水の販売会社に就職しました。販売員をしたりメーカーの人と商談をしたりしていたのですが、彼らの話を聞くうちに自分で商品を作ったら楽しそうだなと思い、ブランドを作ることにしたんです。当時はようやくインターネットが普及したぐらいの時代だったんですが、インターネット通販であれば販路を持たない状態でもやっていけるのではと考えました。

WWD:2007年に立ち上げたヘアケアブランド「クイーンズバスルーム」のアイデアはどこから?

渡邊:何か化粧品を作ろうと思っていたんですが、悩みに訴求する商品が最も世の中に求められていると感じ、自分がくせ毛に悩んでいたので、髪の毛のくせを扱いやすくするヘアケア商品は需要があると発想しました。「クイーンズバスルーム」では薬用シャンプーや2剤式のシステムトリートメントなど、しなやかでまとまりのある髪に導くヘアケア商品や、皮脂を再現したオイルクリームをはじめスキンケアアイテムもそろえています。OEM会社を探すところからだったんですが、個人だとなかなか相手にしてくれなくて、資金を用意して会社を作って掛け合っていくうちに一社、サロン専売のヘアケア商材を扱う会社から「そんなに言うんだったら協力しますよ」という返事があったんですね。

WWD:そこからビジネスは順調に進みましたか?

渡邊:最初は倉庫を借りるお金もないですから、自宅の一室に何千本という在庫を置いてそこから発送していました。初月の売り上げは7万円だったのですが、それでも海の物とも山の物とも分からない状態でも売れるんだということで成功体験になり、売り上げを上げていく自信がつきました。少しずつインターネット広告を出したり、商品の訴求方法を変えてみたり試行錯誤を重ねて、7月にオンラインショップをオープンしたのですが、その年の12月には月商100万ぐらいにはなりました。

WWD:現在の販路は?

渡邊:自社ECのほかに楽天などにも直営ショップを出店しています。ほとんどがネットショップを通じてお客さまに直接販売していますが、一部ヘアサロンなどに卸しているものもあります。

海外市場を見据え、香りや日本らしさにこだわり開発

WWD:10月にデビューしたメディテーションブランド「ユブネ」を立ち上げた理由を教えてください。

渡邊:日本は超高齢化社会を迎えて、市場が縮小傾向にあるわけですが、一方で海外に目を向けると人口は増えています。これからは日本村にとどまるのではなく、世界市という思考で販路を広げていかないといけないと考えました。はじめは「クイーンズバスルーム」で海外市場を目指そうと思ったのですが、日本人とは異なる毛質や、言葉の壁により商品の微妙なニュアンスを伝えるのが難しいと感じ、別のブランドを作って、海外の人にも分かりやく、日本人である自分にしか作れない商品をラインアップしようとスタートしました。

WWD:ブランドコンセプトやアイテム構成は?

渡邊:ブランドコンセプトはことわざからお借りした“命の洗濯”を掲げています。ニューヨークなど世界中の人が集まる場所を視察する中で、長野の白骨温泉に日本らしい美しさの真髄を感じ、多くのインスピレーションを得ました。その雰囲気を分かりやすく化粧品に落とし込めないかと考え商品開発にあたりました。商品構成はスキンケア、ボディーケア、ヘアケア、フレグランス、マインドフルネスツール(お香や和ろうそくなど)など5カテゴリーを設け、SKUとしては約60あります。スキンケアが最も多くて約4割、残りはほかのカテゴリーで等分という構成です。ブランドを象徴するアイテムが、髪を洗う“シャワージェル”です。珪酸母岩が主原料の鉱石粉末や、ケラチン由来の低刺激で高価な洗浄成分を高濃度で配合し、髪に潤いとハリ、コシを与えます。ニューヨークやバリ島など、世界の場所から着想した8種の香りを用意しています。

WWD:ユニークなアイテムがそろっていますが商品開発はどのように行っていますか?

渡邊:最新の処方やはやりの成分や色、ということではなく、もう少し感覚的にいいものだなというのが伝わる商品にしようと思いました。世界中の人が分かりやすい香りであったり、シンプルな原料、ブランドアイデンティティーを強く伝えるパッケージなどであったりを重視しています。いい原料と出合ってどんな商品を作れるか考える場合もありますし、作りたい商品があってそれを構築できる原料や処方を追求する場合もあります。原料の展示会に行ったり、原料リストを眺めたり、後は自分の体を観察して汗や皮脂が出るメカニズムを調べたり、肌の不調はどの機能が弱まって起きるのかを調べたり。そうしてできあがります。

ショールームを兼ねた足湯併設のショップをオープン

WWD:ブランド立ち上げと同時に新宿に路面店をオープンした理由は?

渡邊:伝わりやすい商品を作ると言ったのですが、僕の性格上、どうしても難しい商品が多くなってしまう(笑)。ブランドの世界観を伝え、商品についてしっかり説明するには実店舗がないと無理だなと思ったんです。今は実店舗をなくしてオンラインで売るという流れがありますが、実店舗があることで信頼性が増し、海外展開を目指すにあたり有利に働くと考えました。海外からの観光客が多く集まる立地ということで新宿を選びました。日本に視察に来たときに、実際にお客さまの様子も見てもらえると、自国で展開した場合の想像がしやすくなるので、ショールームとしての役割もあります。店舗のデザインは、異世界に入っていくような世界観にしたかったのと、地下に足湯を作ったのは“命の洗濯”というブランドコンセプトもありますし、都会の真ん中でふらっと立ち寄ってリフレッシュしてもらえたらという思いからです。

WWD:卸販売は考えていますか?

渡邊:かなり原価率が高い商品ばかりなので、卸では利益がほとんど出ません。なのでその小売店に置いてあることでブランドイメージがよくなったり、ブランド認知の拡大に寄与したりしそうであれば、利益度外視で置いていただくという考えはあります。ですが、販売としての卸は基本的に考えていません。

WWD:今後の商品展開の構想と初年度の売り上げ目標を教えてください。

渡邊:今企画が進んでいるのがメイクアップカテゴリーです。ファンデーションが先行して進んでいて、顔料を使わず色のついた泥をミックスして色を作る、という商品を開発中です。いろいろなOEMからできないといわれたのですが、ようやく一社で形になりそうです。クレイは鉱石の粉末なので、皮脂を抑えたり遠赤外線を発したりそれぞれに生理活性作用があります。それらの組み合わせによって肌に与える効果が変わるという面白い商品です。とはいえまだブランド認知が低いので、SNSを中心にプロモーションに力を入れ、もう少し認知度が上がったいいタイミングで発売しようと思っています。初年度の売り上げは正直あまり多くを見込んでいなくて、3000万円行けばいいかなと思っています。

最新号紹介

WWD JAPAN

CEO特集2021 ファッション&ビューティ47社に聞く「2040年のビジョン」

1月25日号は「CEO特集2021」を大ボリュームの108ページでお届けします。毎年恒例の特集ですが、今回はファッション企業19社、ビューティ企業28社の経営トップが登場し、「2040年のビジョン」を語ります。リーダーたちは目の前のコロナ危機に対応しつつ、その先にある長期的な企業像をどう描くのか。ビジネス戦略はもちろん、日本を代表する有力企業のカルチャーや経営トップのキャラクターが垣間見ることがで…

詳細/購入はこちら