ビューティ

コンプレックスから化粧品開発、インスタ活用にも独自性 「ミース」ソンミ代表に聞く

“美肌は最高のジュエリー”をコンセプトに、美肌研究家のソンミが2019年3月に立ち上げたスキンケアブランド「ミース(MEETH)」。第1弾製品の炭酸ガスパック「モアリッチパック」はECのみの販売にもかかわらず発売後すぐに在庫が1分で完売、続くローション、洗顔、クレンジング、オイル、限定品なども品切れを繰り返すほどの人気だ。ブランド誕生わずか1年でリブランディング、秋には表参道に実店舗オープン、「モアリッチパック」が台湾の美容大賞である「女人我最大賞」パック部門において大賞受賞など勢いが収まることはない。自身のコンプレックスから「ミース」は誕生したというソンミ代表に、当時の思いやブランドについて聞いた。

WWD:1周年を迎えた「ミース」だが、ブランド立ち上げのきっかけは?

ソンミ・ミース代表兼美肌研究家(以下、ソンミ):スキンケアに興味を持ち出したのは、自分自身のコンプレックスからでした。芸能活動をしていた頃、周りにかわいい人やスタイルの良い人が多く、「この人みたいに足が長ければ」「もっと顔が小さければいいのに」という悩みを持っていたんです。そんな毎日の中で、「じゃあ自分のチャームポイントはなんだろう」と考えてみることにして……。

WWD:それでチャームポイントはなんだと思ったんですか?

ソンミ:そのとき、肌を褒めていただくことが多かったんですね。だったらここを伸ばしていこうと。そこから、スキンケアに興味を持ち出したと思います。20代前半からいろいろ試して“自分がいいと思ったスキンケア”にたどり着きました。例えば、あらゆる肌悩みを改善するためにはどんな成分が効くんだろう、なりたい肌質になるためには何を使ったら良いんだろう……とか。そういうのを5年前からインスタグラムで発信してみることにしたんです。そしたら「同じものを使って肌がきれいになりました」という声を多くいただくことになりました。

WWD:そこから自身のブランド「ミース」に結びつくのですね。

ソンミ:はい。良いモノを発信していたのですがただ、本気で自信を持って発信できるアイテムは片手に収まる程度だったんです。またサロン専売品など購入場所が限られるものだったことから、「自身がいいと思ったスキンケアを作り、誰でも購入できるECで販売しよう」という思いで化粧品を作ることにしたんです。それでできたのが「ミース」です。

WWD:ブランド立ち上げには不安もありましたか?

ソンミ:不安しかなかったですね。借り入れも出資もなく、貯金300万円を握りしめてのスタートでしたから。失うものが何もなかったというより、失うほど何も築き上げられていなかったのかもしれません。たった1人で在庫だけ抱えて始めたので、どんなに時間が掛かっても売り続けないといけないという覚悟はありました。

「自分がほしいもの」目線で製品開発

WWD:「ミース」のこだわりについて教えてください。

ソンミ:化粧品の主成分である水、なるべく出来立てで届けたいという鮮度、そして成分といった中身はもちろん、「すでに流行っているものは出さない」というこだわりがあります。最初に発売した、保湿効果の高い炭酸ガスパック「モアリッチパック」は、まさに自分が「使い続けたいな」と思ったアイテム。私は32歳になりますが、同年代が欲しいものや共感を得られるもの、自分が購入したいものを作るという思いが念頭にあります。会社としてではなく、個人としてどういうものがほしいかという目線で製品開発していますね。

WWD:「ミース」にとってソンミ代表はどんな存在と思っていますか?

ソンミ:私は、映画「アベンジャーズ」に出てくるヒーローたちをまとめる監督のような感覚です。当社の強みはアイテムごとに工場を選定していて、化粧品OEMメーカーにもそれぞれ得意分野があるので、「自分が作りたいアイテムをどこが一番良く作ってくれるか」を調べ、現在は6社の工場と取り引きをしています。まとめる役割ですね。どんなにがんばっても博士や研究員たちには勝てないんですけど、美容論を持った素敵な人たちが周りにたくさんいるので処方も凝り固まらないですし、「ほしかったもの」を作り、あらゆる角度からバージョンアップさせていけることが当社の強みだと思います。

WWD:ブランドデビューからわずか1年でリブランディングを行った理由は?

ソンミ:ブランドを立ち上げたときはブランディングの意味も分かっていなかったですし、
こんなに使用者も増えるとは思っていなかったんです。製品の中身さえ良ければいい!と思っていましたね。しかし、“日本からアジア女性の肌を美しく整えてアジアを代表するブランド”にしたいという思いを持っています。この思いやブランドのあり方、世界観を知ってもらう必要があると考えるようになりました。そこでリブランディングではブランドロゴや製品パッケージデザインを一新。中身だけでなく環境のことも考え、箱の紙には森林循環紙、印刷インクにはベジタブルインクを採用しました。

WWD:9月には表参道に初の実店舗「ミース タッチアップ ラボ」をオープンしました。

ソンミ:多くのお客さまに、実際にブランドの世界観と製品に触れていただける場を提供したいと考え、ショールームを兼ねた実店舗をオープンしました。表参道はファッションだけでなくビューティも敏感な人が集まる場所。ここに店舗を出したいという憧れはありましたね。化粧品の常識を変えていきたいので、店舗で売り上げをたてる売り方はしたくない。また、店舗スタッフには売り上げに縛られず気持ち良い接客を徹底してほしかったのでラボは“製品を売らない”店舗にしました。お客さまにとっては、ショップに入って「いらっしゃいませ」と言われることに緊張してしまうこともありますよね。ラボでは「こんにちは」と挨拶し、製品を試してもらい、お客さまがほしいと思えばECで購入していただければ。ラボはスタッフもお客も気持ちよくいられる空間を目指しました。

ラボスタッフはインスタで募集

WWD:ラボのスタッフはどうやって集めたのか?

ソンミ:当社のスタッフは全てインスタグラムで募集です。2人の募集に400人の応募があったりしました。まずは写真もなくDMのみで審査をしました。履歴書のように決まったフォーマットがないので、文章だけでも人間性が見えやすい。志望動機もさまざま。スタッフはみんな「ミース」が大好きな愛用者のみなので、ラボのスタッフの接客も個人の感想が入っていたりして。フォロワーのみなさんも「自分たちと同じような人がスタッフにいる」という感覚でブランドをより身近に感じているでしょうね。インスタグラムでは、日々どんなふうに開発しているか、工場での製造過程など全てストーリーズでアップしています。12月にはまつ毛美容液の発売を予定していますが、これはインスタグラムを見ている人たちの「作ってほしい」という声から始まった企画。「じゃあ、どんなものがいい?」と質問を投げかけたりコミュニケーションをとったりしながら作り上げたので、見ている人も一緒に作ったという思いがあると思います。リアルタイムの工程を発信すると、「楽しみです!」など反響も多い。今後も、一緒に製品を作り上げている感覚になるような発信は積極的に続けていきます。

WWD:今後の予定は?

ソンミ:肌が変わると人生も変わると思っています。実際に私も肌がきれいだと自分の振る舞いも変化し、そこからチャンスが生まれて人生が変わりました。そして「ミース」に出合って自分が変わったという声もいただきます。この先も、とことん肌作りを応援するブランドとして頑張っていくために、ただ製品を売るだけでなく正しい美容知識も発信していきたいと考えています。きれいになる喜びや人生が変わる喜びを伝え続けていきたいですね。

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