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顔認証とAIを駆使した無人店舗で化粧品を購入してみた

 以前から注目されていたものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり期待感が増している無人店舗。「アットコスメ」と協業し東京・新宿住友ビル地下にオープンした「セキュア AI ストア ラボ(SECURE AI STORE LAB)」もそのひとつだ。会員情報と顔認識システムを紐付け、入店から購入、退店までをデータで管理する同店。そのシステムを探りに店舗を訪れてみた。

◾︎顔認識の技術は
どこまで進んでいるの?

 この店舗を運営するセキュアは、オフィスや店舗のセキュリティーシステムやAI、クラウドサービスの企画や開発、販売、運営を手がける会社で、一般消費者向けのストア運営は初めてだ。自社で扱う最先端のAI技術、セキュリティー技術を店舗運営に生かすための実証実験の場が欲しくて、自分たちで運営しようと決めたんだそう。「失敗してもいいと思っているし、実際にトラブルはあるかもしれない。それでも自分たちで運営して何かあったらスピード感を持って対応し、作り上げたものを小売店に見ていただいた方が良いと思った」と平本洋輔セキュア取締役。

 店舗の特徴は、オフィスのセキュリティーでおなじみの⼊退室管理のデータに顔認識システム、ディープランニングによるAI技術を用いている点。会員カードやQRコードをかざすなどの必要はなく、モニターに顔を向けるだけで個人を認識する。ちなみに、顔認証システムは以前からあったが、2001年の米国同時多発テロを契機に注目度が加速。「顔認証システムは目鼻の位置を読み取る技術のほかに、顔の凹凸まで読み取る3次元の顔認識システムが生まれて精度が飛躍的に向上した」(平本取締役)そうで、技術も大幅に進化している。

◾︎会員登録と顔認証登録を済ませ
いざ店舗へ!

 店舗に入るには事前に会員登録をする必要がある。そこで名前や年齢のほか、クレジットカードの登録をしていざ店舗へ。店舗横には顔登録端末があり、そこに会員情報のQRコードをかざし、あらかじめ登録していた会員情報に顔のデータを追加する。それが完了したら入店ゲートへ……。入り口横にあるモニターに顔を向けてマスクを外したら顔の読み取りが完了し、ゲートが開いた。なお、現在の顔認証システムはマスクをしたままでも顔を読み取れる設定にもできるとのこと。

 ゲートの先にあるこぢんまりとした店内には、「アットコスメ ニッポン(@COSME NIPPON)」の製品がずらりと並び並び、ポップアップストアのような印象だ。「『アットコスメ』の製品や口コミ情報は貴重で、ぜひやらせていただきたいと声をかけた」(平松取締役)そうで、無人店舗を支えるものはデータと技術であることを改めて思い知る。

 天井にはセンサーとカメラが備え付けられていて、これにより来店客の動線を可視化しているという。棚の前に立ち商品を手に取ると、棚上部にあるモニターに製品説明が表示され、「アットコスメ」の製品紹介文や口コミ情報がモニターに表示される。購入を決めた製品があればそのままバッグに入れてOK。なんだか万引きをしているような気分になるが、製品が今どこにあるのか?はセンサーにより管理されていて、退店時の顔認証でクレジットカードから自動的に決済される。決済できなければ店から出ることができない(製品を棚に戻すしかない)ため、無人店舗でも万引きができないという仕組みだ。

 このシステムの便利なところは、什器に触れたりカードをかざしたりしなくても、顔を向けるだけで認証されるためタッチパネルなどに触れる回数を大幅に減らせるほか、会員情報を元に入店・退店の管理が行えるため、店内の人数制限が容易に行える点だろう。来店客の動線や製品を手に取る回数なども可視化でき、取り扱い製品の構成や陳列の変更などもデータを見ながら行える。そのほか、技術的には顔を認証する際に体温測定も可能とのことなので、ウィズ・コロナの時代に重宝されそうだ。同店は2021年3月末までオープンしている。