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“デニム不況”なんのその! 伊「リプレイ」好調続く

 ジーンズブランド「リプレイ(REPLAY)」を運営するイタリアのファッションボックス(FASHION BOX)の2019年度の売上高は、前年比10.3%増の2億6230万ユーロ(約312億1370万円)だった。特にEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)は同30%増の2800万ユーロ(約33億3200万円)で、売上高の11%を占める。

 ファッションボックスは1981年の創業。2011年に日本法人を設立して百貨店約25、専門店やセレクトショップ約100、直営店8の計約130店舗で展開している。主要アイテムであるジーンズが売り上げの半分を占め、日本での平均単価は3万5000円ほど。エントリーモデルは2万円から用意し、一方でイタリア製やハンドメードによる8万円の限定モデルも扱う。

 デニムは久しく“冬の時代”が続いているが、勝てる秘訣はどこにあるのか?マテオ・シニガリア(Matteo Sinigaglia)=ファッションボックス最高経営責任者(CEO)に話を聞いた。

WWD:ここ数年、“ジーンズ不況”を伝えてきた。その中にあって「リプレイ」は好調だ。その最大の要因は?

マテオ・シニガリア=ファッションボックスCEO(以下、シニガリア):19年度は全ての指標において前年度を大幅に上回ることができた。これまで「リプレイ」が取り組んできた長年の努力が結実した形だ。10年以降、われわれは“健康”“サステナブル”“クラフツマンシップ”を意識したジーンズ開発を行ってきた。ここにマーケットリサーチなどの販売戦略を結び付け、エンドユーザーと密につながることを目指した。ファッションボックスは世界50カ国以上で店舗を展開しており、売上高の89%を輸出が占める。19年度は全ての市場が成長したが、特に中東(49%増)、東ヨーロッパ(36%増)、アジア(10.6%増)、南ヨーロッパ(8.1%増)がけん引した。流通経路別では卸が14.1%増、小売店(既存店ベース)が6.4%増、ECが8%増だった。コロナショックにより20年は非常に厳しい年になると予想されるが、製品イノベーション路線を継続し、十分な投資をしながらブランド価値を顧客に伝えることに注力する。市場の回復に備え、事業を強化していく。

WWD:「リプレイ」の顧客層とは?

シニガリア:男女比は6:4。年齢層は25~40歳が中心だが、日本では45歳以上からも支持されている。

WWD:特に何が売れている?

シニガリア:機能とファッションを融合して、15年に発売した“ハイパーフレックス(HYPERFLEX)”が広く受け入れられている。また17年にスタートした経年変化感を選べる“エイジド(AGED)”もジーンズ愛好者に人気で、バラの刺しゅうがアイコンのセルフリバイバルライン“ローズレーベル(ROSE LABEL)”も女性客の注目を集め始めている。

WWD:EC化率は?

シニガリア:12%だ。日本も、ほぼ同等の約11%になっている。

WWD:日本では、「ブランドやシリーズごとに個体差があり、“フィッティングこそ命”のジーンズをECで販売するのは難しい」との声も根強い。

シニガリア:“ハイパーフレックス”が象徴的だが、「リプレイ」はどんな体形の人にもフィットしやすい伸縮性に富んだ“インテリジェント(知的)”なジーンズを開発することで解決策を示した。

WWD:コロナショックによる「リプレイ」への影響は?またイタリアの現在の状況は?

シニガリア:新型コロナは世界経済を減速させた。当然、「リプレイ」も例外ではない。影響は来年にまで及ぶだろう。とはいえ、イタリアは確実に回復に向かっている。しかし、夏季の収益の核となる観光業(ホテル、レストラン、美術館など)は引き続き多大な影響を受けるはずだ。

WWD:日本人ユーザーはデニムについての知識レベルが高い。また多くのブランドやビンテージについても熟知している。“プロ・コンシューマー”に対して、「リプレイ」はどうアプローチする?

シニガリア:確かに日本のユーザーはデニムについて独特な審美眼と文化を持っている。そんな彼らに“エイジド”やセルビッジモデルが人気だ。また日本向けに特別な商品も作っている。

WWD:「WWDジャパン」は、18年に「デニムだってサステナブル」という特集を組んだ。その後、サステナブルであることはデニム業界で当たり前になった。デニム担当としては“サステナブルの次”が気になっている。

シニガリア:「リプレイ」は10年から本格的にサステナブルに取り組む先駆的な1社であり、レーザー加工技術(“リプレイ レーザー ブラスト”)や天然顔料染め(“リプレイ ライフ”)、水使用量削減プロジェクト(“リプレイ ウオーター ゼロ”)を開発・推進してきた。サステナブルな試みは当初“対処型”だったが、これを“能動型”にシフトしている。つまり環境配慮型資源の優先使用だ。具体的には、リサイクルコットンとリサイクルポリエステルの混紡生地を採用した“ハイパーフレックス・リユース”を20-19年秋冬に発売する。現在、ジーンズの生産過程において廃棄物が出ることは避けられないが、われわれは資源およびエネルギーの回収、再利用に努めている。綿を糸に紡ぐ際には一般的に1割が失われるが、これも再利用する。また、リサイクルポリエステルはポリエステルを新規生産するのに比べてエネルギー使用量が少なく、結果として石油の使用や二酸化炭素の排出量を軽減できる。併せて、次のプロジェクトも始動させる予定だ。現時点では詳しく話せないが、高レベルの健康と主体的サステナビリティに引き続き取り組んでいく。

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