ファッション

大手セレクト3社のGWネット通販で売れたもの

 新型コロナウイルス感染拡大を受けて、今年のゴールデンウイーク(4月25日~5月10日)は外出自粛を余儀なくされた人が多い。大手セレクトショップでは臨時休業する店舗が多いなか、ECにイベントやセールを集中させて集客や売り上げを補った。本来であれば“財布のひもが緩む”時期でもあるが、かつてない過ごし方を強いられたコロナ禍で売れたものは何か。ビームス(BEAMS)、ベイクルーズ グループ(BAYCREW'S GROUP)、エストネーション(ESTNATION)に聞いた。

 なお、ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)は同期間に限定したデータの算出が難しい点などから、トゥモローランド(TOMORROWLAND)は数字を含む情報の開示ができないという理由から、回答不可となった。

ビームスは、売れ筋上位をワンピースが独占

 ビームスでは、自宅や近所で着られるようなリラックスしたワンピース、半袖&ノースリーブのTシャツなどが好調に動いた。売れ筋上位4アイテムをワンピースが占め、全体的にオンよりもオフで着られるカジュアルなアイテムが人気を集めた。

 中でも「デミルクス ビームス(DEMI-LUXE BEAMS)」では、夏の人気ブランド「マリハ(MARIHA)」の“春の月のドレス”(2万7000円)がヒット。ウエストを細身にすることでAラインが美しく広がるワンピースは、1~3月にECで開催した予約会の反応が大きかったこと、サマードレス需要が高まるゴールデンウイーク前に発売できたことなどが売り上げ好調の要因となった。

 “おうち時間”が増える中、動きやすさと“きちんと感”を兼ね備えた「ビームス ボーイ(BEAMS BOY)」と「ラコステ(LACOSTE)」の別注ワンピース(1万8000円)も人気だ。毎年大好評だというアイテムは、メンズライクなポロシャツをIラインのロングワンピースに仕上げた一枚。パンツとのレイヤードも可能で、カジュアル志向の高まりから今季も売れ筋となった。

 お手入れしやすい点やさらりとした着心地から「ビーミング バイ ビームス(B:MING BY BEAMS)」のシルケット天竺フレアワンピース(6500円)も支持された。シンプルながら“あか抜けて見える”アイテムは、二の腕をカバーしてくれる袖のカッティングや程よいAラインのシルエットが特徴。好調の要因について同社は「価格・カラーバリエーション・素材などが、外出自粛中のニーズにマッチしたのでは」と見る。

 また連休中は送料無料キャンペーン、クラブ会員限定の15%オフ&トリプルポイントキャンペーンを実施。お得感のある施策が重なったことも購買の後押しとなった。ブランド別では、もともと根強い顧客がいる「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」や「パタゴニア(PATAGONIA)」「エイトン(ATON)」「マリハ(MARIHA)」などが、売れ筋にランクインした。

ベイクルーズは、アクセサリーやバッグなど雑貨が好調

 ベイクルーズグループでは、4月に低調だった夏物需要が暖かくなったゴールデンウイーク期間中に高まった。カットソーやワンピースを中心に動きがあり、今年は特に雑貨の反応が好調。アクセサリーやバッグ、シューズなどの売り上げが前年同期比を大きく上回った。

 中でも、家でイージーケアできるウエアが人気だ。微ストレッチで手洗いができる「イエナ(IENA)」のリネンライクキャミワンピース(1万8000円)は、毎年大人気の定番として仕様をアップデート。従来よりも肩ひもを少し短くし、よりすっきりと見えるように胸元の位置を上げた。

 気温が不安定な時期に温度調節できる“羽織りアイテム”では、「ドゥーズィエム クラス(DEUXIEME CLASSE)」のVネックロングカーディガン(1万9000円)がヒット。オンオフで使えて着回しが利くことやロングシーズン使用できる点が支持されるポイントとなった。

 同様の理由で好評だったのが「アパルトモン(L'APPARTEMENT)」で扱う「メゾンドバカンス(MAISON DE VACANCES)」のリネンストール(2万5000円)だ。大判のストールは、肩にかけたり首に巻いたりと用途が広い。昨年の人気色に新色を追加し、全4色で販売した。

 同社では5月7日まで、春物商品を含むアイテムを最大50%オフで販売し、11日まで60%オフのセール品を含む対象商品がさらに10%オフになるキャンペーンなどを実施。通常サービスの全国送料無料なども、リピート客や売り上げの獲得につながっているようだ。

エストネーションは画面映えするアイテムが好反応

 エストネーションでは、ECで画面映えするキャッチーなプリントやカラーの商品が動いた。ウエアではコペンハーゲン発の「ガニ―(GANNI)」のワンピース(3万3000円)が好調で、全体的にプリント素材やジャージーなど柔らかな質感のものが人気だった。

 認知度の高いデニムブランドも好調で、「アッパーハイツ(UPPER HIGHTS)」の定番デニム“ザ ステラ”のホワイト(1万9000~2万3000円)がヒット。程よいフィット感と美脚効果の高いパンツは、春夏らしいホワイトを中心に明るいカラーが動いた。

 連休中は夏らしい気温の変化とともに、雑貨では「チャコ(CHACO)」のスポーツサンダル(5000円)、「ヴィオラドーロ(VIOLADORO)」のレザーと天然素材を用いたカゴバッグ(2万4000円)などの需要がアップ。外出自粛の影響からか、足元はエレガントより履き心地がよいカジュアルなタイプの動きが顕著だという。一方バッグは、夏らしさと“きちんと感”を併せ持った2~3万円代の価格帯が人気。高価格帯のバッグは、認知度のあるブランドでも動きが鈍かったという。

 また、特別感のある企画商品として「プラン C(PLAN C)」のチャリティーTシャツ(9350~9900円)が好評だった。新型コロナウイルス感染予防に関するメッセージをプレイフルに伝えるプリントがユニークで、1枚購入ごとに2000円がミラノの聖パオロ&カーロ病院と特定非営利活動法人ジャパンハートに寄付される。

 同社では、ゴールデンウイーク期間中に春物を含む商品が最大30%オフになるキャンペーンを実施していた。

村上杏理:1986年、北海道生まれ。大学で日本美術史を専攻し、2009年にINFASパブリケーションズ入社。「WWDジャパン」記者として、東京のファッション・ウイークやセレクトショップ、販売員取材などを担当。16年からフリーランスで、ファッションやライフスタイル、アートの記事執筆・カタログなどを手掛ける。1女児の母

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