「無印良品」の良品計画は、2025年9月〜26年2月期連結決算で営業収益、各段階利益ともに2ケタの大幅増収増益となり過去最高益を更新した。営業利益率は10.3%に達し、3カ年計画を前倒しで達成した。好業績を受けて通期(26年8月期)業績予想を上方修正した。営業収益は期初計画から270億円増額の8870億円(前期比13.0%増)、営業利益は期初計画から100億円増額の890億円(同20.5%増)、営業利益率は10.0%を見込む。
海外事業の売上高が24%増
2025年9月〜26年2月期連結決算は、売上高に相当する営業収益が4385億円(前年同期比14.8%増)、営業利益が450億円(同24.8%増)だった。営業収益は、国内外の店舗数の増加に加え、海外事業の既存店売上高の大幅伸長が寄与した。国内事業は、委託先のサイバー攻撃により、ECが1カ月半にわたって受注・出荷停止するトラブルに見舞われながらも、「無印良品週間」や生活必需品に特化した「良いね祭り」といった季節プロモーションもあり、上期の既存店とECの売上高は、前年同期比100%をキープした(既存店売上高は約4%増、EC売上高は約40%減)。営業総利益率は、生産の内製化による原価低減効果や値下げ率の改善により、1.3ポイント改善し52.4%だった。販管費率は、人件費の増加および国内のEC販売停止の影響などで、0.5ポイント悪化し42.1%となった。
東アジア事業は、営業収益1360億円(前年同期比23.3%増)、営業利益275億円(同29.0%増)。東南アジア・オセアニア事業はマネジメント体制強化に伴い既存店売上高が伸長した。出店効果もあり、営業収益331億円(同35.4%増)、営業利益48億円(同47.0%増)。欧米事業は欧州、北米ともに既存店売上高が2ケタ伸長し、営業収益250億円(同17.9%増)、営業利益39億円(同9.7%増)と大幅な増収増益だった。
期末店舗数は1460店舗(国内700店舗、海外760店舗)。国内では郊外を中心に収益性の高い店舗の出店を進め、17店舗増加した。海外事業は31店舗増の760店舗となった。純増数が計画より下振れしているのは、1店舗1店舗の収益性を重視したためだ。
海外事業の成長が顕著だった。国内事業の営業収益が2443億円(前年同期比8.1%増)に対して、海外事業が1942億円(同24.5%増)、営業利益では国内事業の274億円(同14.2%増)に対して、海外事業が382億円(同28.6%増)と20%以上の増収増益になった。円安の影響、出店の拡大やオペレーションの実行力の向上に加え、「無印良品」のブランドの思想やコンセプトの浸透も進んだ。
日本流を海外に持ち込む「輸出モデル」から、「生産の内製化」を武器に、グローバルで展開するコア商品・グローバルMDと、世界各地のニーズに応じて現地で企画・開発した商品を融合させて販売するローカルMD、さらに、それらを持ち寄って各国で最適かつ魅力的な品ぞろえを行う、グローカル(グローバル化とローカル化をハイブリッドで行う)MD展開という独自性の高いビジネスモデルの磨き上げが進んだ。
カギを握る「8つの成長ドライバー」
2030年を見据えた「8つの成長ドライバー」は以下の通りだ。
①世界主要都市での旗艦店と、地方自治体と連携した国内ドミナント出店の両輪で「出店拡大の加速」を行うこと。②在庫精度と接客品質を世界標準へ引き上げる「日本式オペレーションのグローバル波及」。③スキンケア、衣服、食品の3本柱を海外でも主軸に据える「グローバル・コア商品の確立」。④生産の内製化率をさらに高め、究極の「安くて良い品」を追求する「生産性改善・SCM改革」。⑤世界中で会員基盤を統合し、顧客一人ひとりにパーソナライズされた提案を行う「OMO戦略の再定義」。⑥「無印良品マイル」を核にLTV(顧客生涯価値)の向上を図る「マーケティング・CRM」の推進。⑦現場の負担を減らし、創造的な業務にシフトするためのIT投資を行う「IT・テクノロジーの全面刷新」。⑧リサイクル、地産地消、地域貢献を「ビジネスそのもの」に組み込む「本業としてのESG」。
27年度にパリ旗艦店、北米で捲土重来、韓国も出店加速
10日の決算説明会(オンライン)に登壇した清水智社長は、「特に進捗しているのが『出店拡大』と『生産性の改善・SCM改革』だ」と述べた。出店では「27年8月期にパリに旗艦店を出店する。北米事業でも中大型店タイプで4店舗の出店を承認した。韓国事業は何度かの停滞期を超え、27年度から加速し2ケタの数を出店する計画だ」。
一方、「生産性改善・SCM改革」では「昨年9月に立ち上げた生産性向上委員会が実稼働してきた。主に日本の本部業務にフォーカスしている。2年ごとにPDCAサイクルを回し、短期的ではなく再現性のあるものとして改善を実行していく」という。今サイクルの重点テーマは、IT投資、人時生産性、商品原価、一般費で、最終的な効果は都度3カ年ローリング計画に反映し、早期の営業利益率12%以上を目指す。
「商品開発体制の強化」では、ヘルス&ビューティー(H&B)をはじめとした商品の拡充を推進。商品施策の一つとして、海外における生活雑貨の品ぞろえの充足率を、26年春夏に70%、26年秋冬には目標とする80%に引き上げる。リピート性の高い商材が多く、客数の安定化にもつながるものだ。北米でも1年前には50%だった充足率が、現在68%近くまで増加。26年秋冬には80%に達する予定だ。
清水社長は、「現地ニーズを踏まえたえ開発を促すために仕組み作りや組織づくりも進んでいる。現地主導であり、オリジナルを開発している商品やカテゴリー、取り組み方はバラバラだ。ASEANではアパレルと食品で、アパレルはサイズやカラーバリエーション、食品では現地の嗜好があるので完全なオリジナルが多い。中国が一番進んでいるが、(現地向けアジャストと、オリジナルが)ミックスされているような状態。現地企画では主に生活雑貨商品を開発している。たとえば米ぬか発酵のヘアケアシリーズが爆発的にヒットしている。日本ではスキンケアだが、中国ではヘアケアに特化。コンセプトや原材料の特徴は一緒だが、アウトプットが国によって違ってくるという例だ」と説明する。
世界に広がる調達網も強みだ。三菱商事ファッション(当時)の無印良品向け商品担当部門を2024年5月1日付で吸収分割で承継した。原材料調達や工場との直接取引、生産管理などの商社機能を取り込むことで、本格的なSCM・商品開発体制を構築。利益率大きく改善してきた。「ここの調達機能をどの国でも利用できるというメリットがある」。さらに、「年に数回、全世界の商品開発のメンバーが集まり、検討し、中国で作ったものをASEANで、ASEANで作ったものを台湾で、全世界で開発したものを全世界でベストな品ぞろえを徹底していける。これはあまり他社ではないところだと思っている」と清水社長は話す。