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苦戦の「オールバーズ」、62億円で事業売却 一時は“シリコンバレーの制服”と呼ばれ一世風靡

苦境が続いていたサンフランシスコ発のフットウエアメーカー、オールバーズ(ALLBIRDS)は3月30日、全ての知的財産および一部の資産と負債を、アクセサリーメーカー兼ブランド管理会社のアメリカン・エクスチェンジ・グループ(AMERICAN EXCHANGE GROUP以下、AEG)に3900万ドル(約62億円)で売却することを発表した。清算も視野に入れた今回の取引は株主の承認を経て6月末までに完了する見込みで、金額は調整する可能性があるという。

一世風靡から数年で凋落

オールバーズは、元プロサッカー選手のティム・ブラウン(Tim Brown)共同最高経営責任者(CEO、当時)と、再生可能エネルギーの専門家であるジョーイ・ズウィリンガー(Joey Zwillinger)共同CEO(同)が2015年に創業。自然由来の素材を使用したミニマルなデザインのスニーカーが世界中で人気を博し、17〜18年ごろには“シリコンバレーの制服”と呼ばれるほどIT起業家や投資家たちにヒットした。これを受け、アパレルやアンダーウエア分野にも進出。21年11月には米ナスダック(NASDAQ)に新規上場(IPO)し、時価総額はおよそ40億ドル(約6360億円)だった。今回の取引額を踏まえると、同社の企業価値はおよそ4年で1%未満となった計算だ。

その後、22年12月期をピークに業績が悪化。専門家らによれば、これはシューズの耐久性が低くスポーツやランニングに向かない、アパレルの吸汗性が悪いなどの問題が次第に表面化した結果だという。事業再建を目指し、23年5月にはズウィリンガー共同CEOが単独CEOとなり、ブラウン共同CEOはチーフ・イノベーション・オフィサーに就任。24年3月には、ズウィリンガーCEOが同職を離れて特別顧問となり、ジョー・ヴァーナチオ(Joe Vernachio)最高執行責任者(当時)がCEOに昇格した。相次ぐCEO交代、リストラなどを経て、D2Cモデルから国・地域ごとにパートナー企業と提携する事業モデルに転換を試みていたものの事態は好転せず、26年2月には米国内の全ての直営店(アウトレットを除く)を閉鎖することを発表。25年7~9月期(第3四半期)の売上高は前年同期比23.3%減の3298万ドル(約52億円)と厳しい状況が続いていた。なお、今回の取引に伴い、同社は3月31日に予定していた25年12月期の決算発表と説明会を中止した。

日本ではゴールドウインと独占販売契約を締結し、同社が24年6月から事業を担っている。

オールバーズのCEOのコメント

ヴァーナチオCEOは、「商品開発や認知度の向上に尽力し、消費者を引き付ける顧客体験を提供してくれたチームに深く感謝する。設立から10年で『オールバーズ』はモダンなデザイン、革新的な素材、そして比類のない快適性で知られる、ライフスタイルフットウエアのブランドに進化した。AEGとともにスタートする次章は、今後ブランドがさらに成長するべく、すでに完成しているこうした土台の上に築いていくものだ」と語った。

AEGは、08年の設立。「エアロソールズ(AEROSOLES)」「エド ハーディー(ED HARDY)」「ジェシカ カーライル(JESSICA CARLYLE)」など、アクセサリー、フットウエア、レザーグッズ、ビューティなど多岐にわたる30以上のブランドを保有もしくは運営している。

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