「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」の2026-27年秋冬コレクションは、フランスにもまたがるアルプス山脈を含む山岳地帯の偉大な自然と、長らくそこに住んできた人々の民族衣装にインスピレーションを得た。
シルエットは、まるで山の稜線のようだ。ファーストルックから続くのは、まるで「リック・オウエンス(RICK OWENS)」のようなパワーシルエット。上半身と下半身の大胆なコントラスト、まるで逆三角形のフォルムは、高い頂と深い谷の双方を併せ持つ渓谷のように思える。時折挟むこの独特のシルエットを筆頭に、今季は形がいつものモード以上にエクストリームだ。潔いテントラインのベアトップのワンピース、オーバーサイズを通り越して若干球形に近いブルゾン、水平なショルダーラインのトップス。加えてラッフルやドレープも大げさで、フォルムが1つのハイライトであることを印象付ける。自然の雄大さや厳しさ、一方で大らかさなどを表現したのだろう。
一方で素材では、高地に住むたくましい人々を守る衣服に共通する要素を探し求め、耐久性やプロテクション、一方で自由なムーブメントなどの特性を発信しようと試みた。毛足の長い素材を多用して、放牧や狩猟で手の入れた動物たちからの恩恵を享受しているかのようなムードも醸し出す。もしくはハイテク素材のような、厳しい気候と共生するために開発された先端素材で作ったブルゾンやスカートを合わせた。
アーティスティック・ディレクターのニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquiere)は、「自然こそが最高のデザイナーであることを強調したかった。民話は、自然の力を自分たちの言葉で説明しようとする試み。私たちは、世界中の様々な文化を表現できる建築的な衣服、つまり私たちを結びつける衣服を作りたかった。『ルイ・ヴィトン』がこの旅に出ることは、非常に興味深いこと」と話す。ただの山岳への旅ではなく、自然の力に相対して理解しようとした一連の試みから生まれた文化という、時間的な旅路の出発点と終着点にも思いを馳せている。