クワイエット・ラグジュアリーの潮流が続くメンズファッションでは、テーラードジャケットやコート、ミリタリーウエアやジーンズといったメンズワードローブのステイプル(定番)を基底に置いたスタイルが、引き続き提案の主軸となっている。この間に目まぐるしく続いたデザイナー・シャッフルの様相に反して劇的な変化は見られないものの、デザイナーたちの思索の深層では、新たな価値転換が起こり始めている。(この記事は「WWDJAPAN」2026年3月2日号からの抜粋で、無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)
不安定な現実が横たわり、不透明な未来に気後れする昨今。だからこそ、デザイナーたちの思索は、「過去」へと向かった。豊かな学びや経験、温かな思い出に浸ることによる救いや癒やしを、デザイナーたちは洋服を通じて表現する。象徴的な表現の一つが、“愛着”だ。「プラダ(PRADA)」は長く愛することでシミが付着したシャツ、首が伸び切ったニットを提案した。経年によるダメージを所有者の時間の“痕跡”として肯定し、所有者の思い出や経験を重ね、唯一無二の私的なラグジュアリーを表現した。
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