PROFILE: 左:Rika/フリーランスPR 右:Yuka/グラフィックデザイナー
ファッション&ビューティの現場で活躍する注目の“あの人”に、2025年をリアルに支えた使い倒したアイテムベスト3を聞く年末の特別連載。その選択には、今の価値観とムードがはっきりと表れる。
第2回に登場するのは、ファッションスナップの常連としても知られる姉妹、ファッション&ビューティPRのRikaと、グラフィックデザイナーのYukaだ。自由でプレイフルなスタイリングが印象的な2人だが、その装いの裏には、流行との距離感や「自分にとって心地いいもの」を見極める確かな視点がある。25年に本当に使い続けた私物ベスト3を紹介してもらった。
姉のRikaが選んだベスト3
BEST1:
メルカリで出合った“デコ済み”のコンデジ
——Rikaさんが今年1番使い倒したアイテムは?
Rika:「パナソニック(PANASONIC)」の中古のコンパクトデジタルカメラ“LUMIX DMC-FX60”です。メルカリで購入した09年のモデルで、毎日持ち歩くほど愛用しています。
——ラインストーンのデコレーションがとってもかわいいですね。
Rika:実はこれ、デコられた状態で出品されていたんです。それが逆に良くて、即ポチしました。前の持ち主の“好き”をそのまま受け継ぐ感じがすてきだなと。
——Rikaさんのイメージにピッタリです。ちなみに、このストラップも付いていた?
Rika:これは、落下防止として、横浜ワールドポーターズの中にあるアクセサリーショップでオリジナルストラップを作ったんです。ラインストーンのデコレーションに合わせて、ピンク×ハートのデザインに。確か3000円くらいだったかな。

——どんな写真を撮ることが多い?
Rika:SNS用のコーディネート写真が多いです。友だちと撮り合ったり、自撮りもします。風景や物はちょっとボケやすいので不向きかも。でも、そのざらっとした質感こそ今っぽくて、フラッシュを焚くと奥行きが出てかっこいい写真に仕上がるんです。
——確かに、最近はやっているエモーショナルな写真が撮れそう。iPhoneのカメラとの使い分けは?
Rika:普段はiPhoneでサクッと日常の風景を撮ることが多いですが、このコンデジを買ってからは、スタイリングの撮影や物撮りが一層楽しくなりました。動画も独特の味が出ていい感じに仕上がるんです。専用機器があればデータ転送もすぐできるので不便なし。最近のカメラは、“高画質派”と“エモい旧機種派”の二極化を感じますが、私は断然後者です。
BEST2:
アプデし続けるじゃら付けチャーム

——25年はじゃら付けチャームがはやりましたね。フェスでもスタイリングの一部として取り入れている人をたくさん見かけました。Rikaさんもそんな流行から?
Rika:私はじゃら付けチャームがはやる前から、キーチャームとして使っていました。ガシャポンやキーホルダー集めが昔から大好きで、自然と増えていった感じです。気づいたらどんどん増えてしまって、ほかにも家に大量にあります(笑)。
——中でも「これがお気に入り」というキーホルダーは?
Rika:コジコジのキーホルダーです。コジコジが好きなのはもちろん、これを眺めていると、作中のポジティブな言葉を思い出せるのも好き。ずっと付けてたら、少し黒ずんできちゃいましたけど(笑)。あと、私はXGのファンなので、モフモフのビッグテイルチャームも外せません。
——「RKRN」とアルファベットがついているロープキーホルダーも気になります。
Rika:これは原宿のアクセサリーショップで作ったもので、6000円くらいでした。原宿に通い詰めていた“デコラ族”だった頃から現在まで、ずっと使っているニックネームが「りかりん」なので、そのアルファベットの頭文字を入れて、好きなパーツを詰め込みました。
——Rikaさんの“好き”を集結したじゃら付けですね。統一感がありますが、決まりはある?
Rika:ルールはありません。じゃら付けは自分らしさや個性、推しを表現する一つの手段だと思っているので、好きなものを、好きなだけ組み合わせていいと思います。ただ、その日のファッションに合うようにボリューム感や色味のバランスを調整することもあります。
——今後もアップデートする予定はありますか?
Rika:気づいたらガシャポンしたり、キーホルダーを買ったりしているので、自然に増えていく&アップデートすると思います。かわいいの衝動には勝てませんから!
BEST3:
「自分が一番リアルに履いている」バルーンパンツ
——3つ目のアイテムを教えてください。
Rika:私がプロデュースしているアパレルブランド「サイトーキョー(SCAI TOKYO)」のバルーンパンツです。価格は1万1000円で、カラーは5色展開。写真の赤チェックと黒チェックは私もリアルに愛用していて、今日も履いてきちゃいました。自分で作っているからこそ、逆に一番シビアに履いています(笑)。
——デザインする上で意識したことは?
Rika:ムエタイパンツをイメージして、刺繍を“あえて前”に大きく配置したところ。そこにバレエコアのテイストをミックスした、唯一無二のデザインにしてみました。私らしいデザインに仕上がったので、満足しています!

——実際に履いてみて、魅力は?
Rika:1枚で履くときも、レースタイツやルーズソックスなどレッグウェアとの組み合わせを楽しめるところ。レッグウエア次第で表情が変わるのも、飽きずに履ける理由です。あとは、本当に楽なのにかわいい。程よいボリューム感のあるシルエットが足を細く、お尻をコンパクトに見せてくれるんです。
——トレンドはあまり意識しないのでしょうか。
Rika:もちろんトレンドもチェックしますし、かわいいと思えば採用します。でも、それをそのまま着るというよりは、一度自分の中に落とし込んでから選ぶ。はやっているから着る、というより「今の私が着たいかどうか」。そこがブレなければ、結果的にトレンドと自然につながっていく気がしています。
妹のYukaが選んだベスト3
BEST1:
みんなの視線を独り占め!犬型バッグ
——Yukaさんが今年1番使い倒したアイテムは?
Yuka:移動式のセレクトショップ、クラウンマーケット(crown market)で購入したダックスフンド型のバッグです。最近、アニマルモチーフのバッグをコレクションブランドでも見かけるようになりましたが、これは他にない“べた塗りピンク”に引かれて即決。購入したのは25年の夏頃で、価格は約2万5000円。実用性よりも「好き!」という直感でビビッときて、姉妹で割り勘しました(笑)。
——お気に入りのポイントは?
Yuka:コーディネートのアクセントになる存在感ですね。派手なスタイリングにも負けないバッグをずっと探し求めていて、やっと出合えた主役級バッグです。あと、この子を持っているだけで会話が生まれるんです。「それどこの?」って聞かれることも多く、人との距離を縮めるきっかけにもなるんだなと感じました。
——どんなシーンで活躍している?
Yuka:「今日は気合いを入れておしゃれするぞ!」という日の相棒。仕事でも持ち歩きたいけど、パソコンやガジェットが入らないから完全にプライベート用です。

——荷物はあまり入らなさそうな気がしますが……。
Yuka:それが意外と入るんですよ。財布、iPhone、ペットボトル、ミニポーチくらいはいけます。ただ、詰め込みすぎると太って見えるのでほどほどに(笑)。
——26年も出番はありそう?
Yuka:もちろんです!流行に左右されず、自分の“好き”で選んだバッグなので。この前クラウンマーケットのポップアップに行ったら、黄色の子も見つけちゃって……もう1匹お迎えしようかな、なんて2人で考えています。
BEST2:
365日分のフォントと思い出が詰まった日めくりカレンダー

——2つ目のアイテムを教えてください。
Yuka:ドイツの出版社が発売している日めくりカレンダー“タイポダリウム”です。インスタグラムで見つけて、マイナーな雑貨屋さんのオンラインストアで3500円で購入しました。365日フォントが違って、毎朝めくるのが楽しみなんです。もう26年分も買いました。
——全てフォントが違うというのは、なかなか珍しい。
Yuka:世界中のフォントを使用しているそうで、タイポグラフィーのサンプルブックとしても活躍するんです。著作権などの関係で実際デザインに落とし込むことはあまりできないのですが、アイデアのヒントとして重宝しています。
——これはカレンダーをめくるのが楽しみになりますね。切り取ったら捨てている?
Yuka:切り取ったら、この箱に収納しています。私はさらに、めくったカレンダーに日記を書くようにしていて。余白の空いているスペースいっぱいに書いて、その日何があったのか、どんな気持ちになったのか。いつか読み返したら面白いかもと思って、書き留めておいているんです。
——なぜ日記まで?
Yuka:丁寧な暮らしがしたくて始めました。朝1枚カレンダー切り取るところからスタートして、夜日記を書いて1日を終える。そんな“面倒くさい時間”がとっても愛おしいんです。これまでは忙しくて自分の時間が取れない日も多かったので、せめて1日の終わりだけでも自分と向き合いたいなと思ったんです。日記は書いていても、風呂キャンセルするときもあるんですけどね(笑)。
BEST3:
ようやくかなった手元のおしゃれ

——では、3つ目は?
Yuka:一軍のアクセサリーたちですね。ネックレスもお気に入りですが、今年は特にリングの存在が大きかったです。
——一番思い入れのあるものを教えてください。
Yuka:「ジャスティン デイビス(JUSTIN DAVIS)」のピンキーリングです!エッジの効いたジュエリーブランドなのですが、珍しいキュートなイチゴデザインにお店で一目惚れしてしまって。別のリングを目当てにお店に行ったのですが、気づいたら両方お迎えしていました。
——リングを集めるのが趣味とか?
Yuka:いえ、もともとあまり持っていなかったんです。というのも、前の部署ではダンボールなどの手作業が多くて、どうしても実用性優先の毎日でした。せっかくかわいくしたネイルはすぐに取れてしまうし、指輪も作業の邪魔になるので、自然と手元のおしゃれからは距離を置いていました。
ですが、25年春にグラフィックデザイナーの部署に移動になり、ようやく楽しめるようになったんです。それからはリングを爆買いして、毎月ジェルネイルをするように。手元って、自分から一番目に入るパーツじゃないですか。だから、かわいいとそれだけで気分が上がるんです。

——仕事以外なら付けられたのでは?
Yuka:邪魔だし作業中に外すのが面倒で、手に何かをつけるのがあまり好きじゃなかったんです。でも、手元のおしゃれに目覚めてからは、もうやめられませんね。これからもかわいいアクセサリーを追い求めたいと思います。
2025年、2人が手にした心の変化
——25年は、どんな1年でしたか?
Rika:私にとっては整えることができた1年でした。フリーランスって、気を抜くと働く時間が曖昧になってしまって、仕事とプライベートが混在しがちになるんです。友達と遊びながら仕事のメールを返しちゃうとか、逆にだらけて土日まで仕事がずれ込んだり……。
25年はそれを見直して、「タイムスケジュールを組む」「タスクを整理する」「自分の中で締め切りを決める」ことを徹底したら、心も体も軽くなって、仕事のミスも減ったんです。この1年で“心地よい働き方・休み方”をようやく掴めた気がします。
Yuka:この1年を漢字で表すと「革新」。ずっと目指していたクリエイティブ職に就けて、新しいことに挑戦できた年でした。大変な時期もあったけど、それを乗り越えてから心に余裕が生まれて、外に出る時間が一気に増えました。
というのも、グラフィックデザイナーって基本パソコンに向かうインドアな仕事で、在宅も多いんです。チーム制でもないから、1日誰とも話さない日もあるくらい。だからこそ、週末は外に出て誰かとご飯に行ったり、一緒に出かけたりするのがすごく楽しくて。人とのつながりがぐっと広がった一年でした。
2026年に見据えるのは、未来の私と次のステップ
——26年はどんな年にしたいですか?
Rika:これまでは目の前の仕事に全力で向き合うことで精一杯で、3年後、5年後みたいな少し先の未来を考えるのがすごく苦手でした。与えられた仕事を必死にこなして、疲れたら休んで、また走り出して……という繰り返しで1年が終わってしまう感覚がずっと続いていました。でも最近はいろいろな人と関わることで、「私は本当は何がしたいんだっけ?」と立ち止まって考える瞬間が増えてきたんです。
だから26年は、“働き方と少し先の自分”をちゃんと考える1年にしたいと思っています。自分は何ができて、何をしたくて、どんな場所で、誰と仕事をしていたいのか。その軸を一度整理して、もう少し働くことにもコミットしたい。次に進むにしても、今の仕事を広げるにしても、そのための力をしっかり身につけて自信を持って選択できるようになりたい。キャスティングの勉強もまだまだなので、そこも深めたいですね。
Yuka:来年はクリエイティブの仕事を、もっと幅広くトライしていきたいです。現在は広告写真のアートディレクションや、映像内(タイトルなど)のデザインを中心に手掛けていますが、パッケージやエディトリアルデザインなど、興味を持っていたのに踏み出しきれていない領域がまだまだあるなと感じていて。これからは自分の得意分野を極めつつ、表現の幅を意識的に広げていきたいと思っています。
特に、ファッションやビューティの案件にも、もっと関わっていきたいですね。ただ“好き”を追いかけるだけじゃなくて、そこに自分のクリエイションを重ねられるようになりたい。自分の世界観や感性をちゃんと仕事として届けられるように、各方面にアピールしたり、相談したり、自分から動く年にしたいですね。

CREDIT
PHOTOS:TAMEKI OSHIRO