バーバリー(BURBERRY)は、英国の代表的な株価指数であるFTSE100種総合株価指数(以下、FTSE100指数)の構成銘柄に復帰した。グローバルな指数プロバイダーのFTSEラッセル(FTSE RUSSELL)によれば、9月19日の取引終了後にFTSE100指数に組み込まれ、22日から取引されている。
同指数は、ロンドン証券取引所に上場する企業のうち時価総額上位100銘柄で構成されており、企業価値が一定の水準を下回ると外れることとなる。バーバリーは2002年に同証券取引所に上場し、09年にFTSE100指数の銘柄に選定されたが、ここ数年は業績が芳しくなく株価が低迷。24年9月に同指数の構成銘柄から外れて中型株扱いとなっていたため、1年ぶりの復帰となる。
“最もホットなブランド”ランキングにも復帰
ここ数年、バーバリーは一段階上のラグジュアリーブランドへの転身を図りつつも、マクロ経済の悪化や社会情勢の変化などもあり、2024年3月期決算では減収減益となるなど苦戦。同年7月には、新たなトップとして、コーチ(COACH)やマイケル・コース(MICHAEL KORS)など“手が届くラグジュアリー”ブランドを率いていたジョシュア・シュルマン(Joshua Schulman)最高経営責任者(CEO)が着任した。
その際、ジェラルド・マーフィー(Gerald Murphy)=バーバリー会長は、「『バーバリー』が英国版『コーチ』になることはない」としつつも、「今後は『バーバリー』の主な顧客にとってよりなじみのある、新鮮でありつつタイムレスでクラシックな魅力にあふれた、“日常的なラグジュアリー”を提供していく」と語っている。
その言葉通り、シュルマンCEOは前任者らが推進していた高額なレザーグッズに代わり、定番のトレンチコートやアイコニックなチェック柄をフィーチャーしたアイテムを強化。英国の俳優やアーティストを起用したスタイリッシュな広告や、ホテルをジャックした大々的なキャンペーンなどの新たなマーケティング戦略も奏功し、若年層を含めた幅広い顧客層を引き付けることに成功したという。
なお、業績面では25年3月期決算で赤字に転落しているものの、25年4〜6月期(第1四半期)の既存店ベースでの売上高は前年同期比1%減となり、アナリスト予想の同3%減を上回るなど回復の兆しも。また、英ファッションECのリスト(LYST)が四半期ごとに発表している“最もホットなブランド”ランキングで「バーバリー」は25年4~6月版で17位にランクイン。1年ぶりにトップ20に復活した。
消費者の“ラグジュアリーブランド離れ”が追い風に?
「バーバリー」の追い風となっていることの一つに、消費者の“ラグジュアリーブランド離れ”があるようだ。原料や輸送費などコストの高騰により、ラグジュアリーブランドは強気な値上げを続けてきたが、景気停滞や地政学上の先行き不透明感などの影響で中間層の消費意欲や購買力が減退。富裕層以外にとっては手の届かない高嶺の花となったラグジュアリーブランドに代わり、頑張れば手の届く価格帯の“アフォーダブルラグジュアリー”が台頭している。アナリストらによれば、こうしたことを背景に、「バーバリー」がラグジュアリーブランドの中では相対的に低めの価格帯であることがプラスに作用しているという。