
花王のプレステージブランド「エスト(EST)」は10月10日、ベーシックラインでブランドを象徴する“ザ ローション”と乳液をリニューアル発売する。刷新は8年ぶり。乾燥が進行する日本で、“砂漠スキンケア”としてアプローチする。
“ザ ローション”は、2000年のブランド立ち上げと同時に発売されたシグネチャーアイテムで、過去に04年、17年と計3回のリニューアルを重ねてきた。現行モデルは米・モハベ砂漠での実験を通じ、極度の乾燥環境下でも潤いを保持することを確認。「究極の保湿化粧水」として展開し、高い支持を獲得している。
「砂漠スキンケア」を
アタカマ砂漠で実証
新製品は「潤いを超えた肌」として、水を留めて潤いとハリに満ち続ける肌を目指し新成分を開発。エジプト砂漠の塩湖に生息する極限環境生物と、極度の乾燥下で干からびても生き続ける生物「ネムリユスリカ」が生み出す成分、さらに花王が長年研究してきた保水技術を融合した。
製品開発に際して、開発担当者や清原麻紀子ブランドマネジャーら4人で、世界で最も乾燥した地としてギネス世界記録に認定されている南米チリのアタカマ砂漠での実証試験を敢行した。現地の湿度はわずか9.2%、気温20度という条件下で化粧水と乳液を塗布し、6時間後の水分保持力やキメ、ハリの変化を測定した。
「塗布前の目はシワシワ、頬はパキパキ。体感としても水分が蒸発するのがわかった。身の危険を感じた」(担当者)という過酷な環境下でも、新製品は6時間後まで高い水分量を維持したという。帰国後はアタカマ砂漠の環境を国内で再現し、繰り返し実験。従来品と比較しても明確な水分保持力の向上が確認された。「実証結果は、これ以上ない確信に変わった」と自信をのぞかせる。
清原ブランドマネジャーは、「進化し尽くした化粧水研究の中で、あえて原点に立ち返り、なおかつその限界を超えることができた」と手応えを語る。
新“ザ ローション EX”は、キメを整えるタイプ、明るさタイプ、もっちりタイプの3種(140mL、各6930円/レフィル130mL、6380円)をそろえる。“ザ エマルジョン EX”は、乾燥、明るさ、ハリに対応する3種(120g、7370円/レフィル120g、7040円)を用意する。
初年度の売上目標は前年比1.3倍。新規顧客数では同10倍増を掲げる。“ザ ローション”は中国の消費者にも認知度が高く、越境ECでの販売拡大にも取り組む。