
素材の調達から制作まで数年かかるものもあるハイジュエリーは、ラグジュアリーの真骨頂といえる存在だ。そのため、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「グッチ(GUCCI)」といったラグジュアリー・ブランドも、年々ハイジュエリーを強化。今年も各社から新作が登場したが、その多くにカラーストーンが使用されている点に注目だ。品質の高い色石の希少性は非常に高く、富裕層からも注目されている。ここでは、パリ・オートクチュール・ウイーク中に発表された新作をはじめ、各社えりすぐりの新作ハイジュエリーを一挙に紹介する。(この記事は「WWDJAPAN」2025年8月4日号からの抜粋です)
幾何学模様で描くモダニティー
モダニティーを追求するハイジュエリーのデザインに共通するのがグラフィカルなアプローチだ。ブランドを象徴するモチーフから自然、アートまで多岐にわたるテーマにコンセプチュアルな解釈を加え、幾何学モチーフを用いてダイナミックなデザインに落とし込む。一見ミニマルな印象だが、小さなパーツを組み合わせて表現するものが多く、その構造は気が遠くなるほど複雑だ。シンプルで洗練されたハイジュエリーの佇まいとしなやかな着用感を実現するには、デザインはもちろん、それを可能にする極めて高度なクラフツマンシップが必要だ。
「カルティエ(CARTIER)」
幾何学模様のコントラストが美しい
迷宮のようなネックレス
「カルティエ」の新作ハイジュエリーは、同ブランドの本領を発揮したコレクション。ボリューム、シェイプ、カラーなどでコントラストを利かせながら調和をもたらす、そのテクニックは「カルティエ」ならではだ。“トラフォラト”は、イタリア語の“トラフォラート”が由来で“オープンワーク”を意味する。まるで迷宮のように複雑なメッシュ構造が特徴で、3石のエメラルドを中心に、さまざまなカットのダイヤモンド、オニキス、エメラルドを左右対照にリズミカルに施して模様を描いている。一見シンプルだが、計算し尽くされたデザインと精緻な職人技が融合してこそ実現する立体感と躍動感、軽やかさがある。
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