ファッション

サステナビリティって何? 専門家が答えます。 番外編「WWD JAPAN.com」読者に環境意識をSNS調査

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――とはいうものの、具体的に何をどうしたらいいのか分からないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞きその解決策を探る。今回は番外編として、「WWD JAPAN.com」の読者がどれほどこのトピックを身近に捉えているのかを知るべく、公式インスタグラムとツイッターを通してアンケートを行った。

 世界各国で記録的な熱波やハリケーンによる甚大な被害がもたらされている。日本でも今年10月には大型台風19号が関東を直撃し、甚大な被害をもたらした。これらは私たちが直面している気候変動の深刻さを物語っている。そこでまず、「自分の生活が気候変動に影響していると感じる?」という質問を投げかけたところ、6割が「はい」と回答。半数以上が自分の消費行動が今まさに起こっている気候変動につながっていると危機感を持っているようだ。

 ツイッターでは主に読者の消費行動に関する質問を投げかけた。すると7割以上が、ファッショングッズを半年に6アイテム以上購入し、半数以上が5万円以上消費しているという。やはり、「WWD JAPAN.com」の読者はファッション消費に積極的な人たちが多いことが分かった。

 実際にファッション製品購入時に環境に配慮されている商品であるかどうかを考えたことがある読者は4割弱(38%)だった。最近、さまざまなブランドがリサイクル繊維を用いた商品や水の使用量を減らした商品を打ち出しているが、そのような取り組みに共感する消費者は着実に増えているようだ。

 アパレル産業が環境負荷が高いといわれる理由の一つに廃棄問題が挙げられる。1年間に廃棄される服の量は100万トンを超えるといわれている。アパレルメーカーの廃棄はもちろんだが、使い捨てのように服を消費することも問題になっている。読者はいらなくなった服をどうしているのだろうか。もっともメジャーだったのは、「メルカリ・古着屋などの2次流通」(57%)だった。残念ながら、次に多かったのが「ゴミ箱へ」(24%)という意見だった。

 ファーストリテイリングやワールドなど大手アパレル企業はこの廃棄問題に対して、古着回収ボックスを設置するなどの取り組みを始めているが、アンケートで回収ボックスを選択した割合は5%にとどまった。インスタグラムで「いらなくなった服を回収ボックスに入れてファッション製品をリサイクルしたことがありますか?」と問いかけてみたところ、使ったことがある人は3割強(36%)。回収ボックスは重い古着を持っていかなければいけないという不便さがあるため、より多くの人に利用してもらうためには運営側の工夫も求められる。

 2次流通をはじめ、リメークや寄付など、私たちにはただゴミ箱に捨てる以外の選択肢も多く提示されている。「一番楽な方法」ではなく、「一番服が長生きする方法」を選びたい。

 また、「注目しているサステナブル企業やデザイナーは?」という質問では、ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)がダントツの1位だった。「ステラがサステナビリティという言葉を知ったきっかけになった」という意見も聞かれた。続いて2位が「パタゴニア(PATAGONIA)」、3位が「ユニクロ(UNIQLO)」、4位が「アディダス(ADIDAS)」、5位が「ザラ(ZARA)」という結果になった。「ユニクロ」や「ザラ」は、これまで大量生産・大量廃棄の代名詞のように扱われていたファストファッションとは別のサステナブルな企業イメージを持たれているようだ。そのほか、アクティビストとしても知られるデザイナーのヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)やサスティナブルブランドの「カーサフライン(CASA FLINE)」が挙げられた。

 最後に、読者が日常生活で実践しているサステナブルな活動を聞いた。そこではエコバッグや水筒の使用がもっとも多く挙げられた。マイストローやマイ箸などを用意して、これまで何気なく使用していた使い捨てアイテムを見直している人も見られた。そのほか「物が壊れても修理して使う」や「長く着られるものを買う」など、大量消費社会では忘れがちな1つのモノを大切にすることを心掛けている人もいた。

 今回のアンケートでは、読者のリアルな意見を聞くことができた。サステナビリティは今だけのトレンドでも、企業側が選択するオプションでもない。持続可能な方法を探っていくことは、アパレル産業が存続していくために避けては通れない課題だ。アパレル企業は今後どのように消費者を巻き込んでこの問題に取り組んでいくのかを真剣に考える時が来ている。

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