2012年12月、学生時代から「JJ」編集部に携わってきた原さやか氏が新編集長に就いた。女子大生をメインターゲットに、コンサバスタイルや“おしゃP”など独自の提案を行ない、その時代をけん引するファッション誌として愛読されてきた。最近では13年12月号以降の実売部数が5号連続前年比100%超えと好調だ。今年秋からは、コアターゲットを25歳に上げ、さらなる進化を目指す。女子大生に絶大な支持を得る「JJ」の魅力を原編集長に聞いた。
WWDジャパン(以下、WWD):13年3月号から編集長として指揮を執り、どのような誌面作りに取り組んでいるか?
原さやか編集長(以下、原):「JJ」読者とはどんなことを考えている人たちなのか?をもう一度、じっくり読者に向き合うことから始めました。とにかく読者と会って話を聞く機会を増やそうと、編集部に遊びに来てもらったり、いつも読者たちが行くカフェに出向いたり……。私が大事にしているのは、ファッションもマインドも背伸びが大好き、品の良さだけはいつでも忘れない20代女性が今、知りたいこと・知っておいてほしいことだけを取り上げることです。編集部全員で読者と会う機会を増やし、リアルなネタを拾っていくことに注力したのがこの1年半でした。ここから生まれたファッションの大きなテーマが、13年10月号から打ち出している「大人見えカジュアル」です。「JJ」読者は子どもっぽく、ギャルっぽく見えることをとても嫌います。とは言っても、昔のようなコンサバ一辺倒にも見せたくない。そんな彼女たちが目指す、今ドキのクリーンな大人カジュアルの作り方を徹底的に紹介するようにしています。
WWD:新生「JJ」の読者層とは?
原:コアなターゲットは、学生から社会人になり、ライフスタイルが変わった25歳です。1年前は、大学生の読者が多かったのですが、明朝フォントと余白を活用したシンプルで大人っぽいデザインに変えたり、社会人向けのページを増やし、「大人」や「働くJJガール」などのキーワードを打ち出したりすることで、読者層が上に広がりました。今の20代半ばの「JJ」読者たちは働いている女性がほとんどです。昔は、大学を卒業していち早く結婚し、専業主婦になる読者が多かったのですが、今は仕事への意識も高く、結婚しても仕事を続けたいと考えている読者が多いです。彼女たちは自分で収入を得ている分、自分磨きや良いものに早くから投資しています。そんな“稼げるJJガール”は「JJ」読者の新しい形ですね。女性が社会で活躍するようになって、恋愛もより男性と対等な付き合い方に変わってきたと思います。誌面でも以前は男性がリードするシーンを切り取ることが多かったのですが、今は男性と対等に並んで歩いているようなカットを選んだりしています。
WWD:誌面での人気企画は?
原:「大人見えカジュアル」の企画に加え、ラグジュアリーブランドの連載「憧れブランドの永遠LIST」に予想以上の反響がありました。“ 永遠のスタンダード”といえるハイブランドを1つ取り上げ、ブランドの歴史から名品を紹介します。20代から少しでも名品の良さやモノ作りの背景を知ってほしいと始めた企画(2P)ですが、毎月の読者アンケートで1位を取るほど、反響がありました。読者の多くは、ハイブランドを取り扱うセレクトショップのあるファッションビルや百貨店で買い物することが好きで、自分が本当に気に入ったものであれば少々高くても買うようになっています。誌面でも今のトレンドをいち早く伝えることよりも、なぜそのブランドやアイテムが良いのか?をきちんとわかりやすく説明することを大切にしています。
WWD:読者の声はどのように拾っているか?
原:一番は読者と会ってじっくり話す時間ですが、SNSもかなり活用しています。LINEでは代表読者たちとのホットラインがあり、気になることを気軽に聞いたり、会うアポを取り付けるのに使っています。彼女たちは、人とのつながりが深いフェイスブックよりも、気軽に交流できるツイッターや写真重視のインスタグラムを活用しています。彼女たちが興味を示していることをタイムラインでキャッチするとともに、SNSで知り合った人や拾ったネタはどんどん誌面に取り上げていくようにしています。この間は、学生ライターが教えてくれた海外在住のオシャレな女の子にインスタグラムで声をかけて、実際に会ってきました!今度、誌面に登場してもらう予定です。読者の悩みから欲しいものまでの細かく拾った声は、「JJ」独自のマーケティング力として、企画作りやブランドコラボに役立てています。自分で作ったマーケティングデータを調査票としてブランドに提出し、これまでもそれに基づいた商品企画でコラボ商品を多数制作しました。「JJ 」編集部のフットワークの軽さとマーケティング力は大きな強みです!(笑)
WWD:誌面以外に取り組んでいることは?
原:「JJ」1冊を体験できるようなイベントを開催しています。例えば、今年で3回目の開催になった朝日新聞主催のイベント「冬の学園祭」では、「JJ」モデルによるルミネのファッションショーやアナウンサーによる話し方講座などのステージ、美や食、ライフスタイルに関する協賛ブースを多く設けました。来場者数は、過去最多の約2000人を記録しました。イベントは、読者に対し、より「JJ」を体感してもらうためにも、媒体の枠を超える発信力として注力していくつもりです。今後は、読者とのファンミーティングやモデルの誕生日会など規模の小さなイベントを多く開催して、読者に「JJ」を身近に感じてもらえる場を用意したいと思っています。
WWD:来年で創刊40周年を迎えるにあたって、目標は?
原:もともと「JJ」がパイオニアであった“赤文字系”というジャンルに留まらず、新しいことにチャレンジしてきたいです。今の時代を生きる20代の女性たちがこの先、もっとすてきな大人になるための近道が載っているライフスタイルのネタ帳=「JJ」という位置づけになったらいいなと思っています。今秋からは、コアターゲットを25歳に上げ、より「大人」を意識したコンテンツに刷新していく予定です。読者の今だけではなく、転職、結婚など、一歩先のライフプランをサポートできる誌面作りを目指します。
我が編集部の自慢は?
二人三脚で誌面を作るライターは皆「JJ」育ち
毎月の企画出しから誌面作りに関わる「JJ」ライター。元読者で学生時代からずっと続けている人が多いのが特徴です。「JJ」を愛して、肌でわかっている彼女たちがいること自体が編集部の強みです!