ファッション

日本ジーンズと英国靴で完全武装! 徹頭徹尾アマノジャクなカリフォルニア支度

 「WWDジャパン」8月5&12日合併号は、デニム特集です。今年はジーンズの生まれ故郷であり、作業着からファッションへ生まれ変わった地でもあるアメリカ西海岸を取材しました。デニム特集を担当して3年。海外取材の必要性を訴え続けて、まさに念願かなった渡米となりました。当然、“装備品”選びにも熱が入ります。

 これまでに調光レンズ入りの跳ね上げ式眼鏡と、LAでしっかり傾(かぶ)くためのジャパンブランドのウエアを手に入れたわけですが、渡米最大の目的はジーンズの取材であり、デニム担当である僕としてはジーンズも新調せざるを得ません。濃厚なビンテージジーンズの世界にどっぷりつかった僕ですが、少しでも“今”の女子たちの気持ちを理解しようと助けを求めたのが、ビームス(BEAMS)やフリークス ストア(FREAK'S STORE)、伊勢丹新宿本店で取り扱いのある日本のジーンズブランド「ウエストオーバーオールズ(WESTOVERALLS)」の大貫達正デザイナーです。

 ひと目ぼれしたのがビンテージライクなライン“スターウエスト(STA-WEST'S)”の“デニム ランチ パンツ”(3万円)です。最大の特徴は抜染で表現したセンタークリースで、後ろ身頃にもあります。ウエスタンな仕様の太めのベルトループも特徴で、もちろんコーディネートは“今”っぽさを意識してTシャツをタックインしました。これって四十路男子にとってはなかなかに冒険ですが、カリフォルニアの素晴らしい天気が背中を押してくれました。ハイウエストパンツって個人的には初めてで、寄る年波とともに肥大化するおなかを意識せざるを得ず、ダイエットを実践するよいきっかけにもなりそうです……。

 パンツを新調したら、それに合わせるシューズも必要!というわけで、アマノジャク目線で選んだのはアメリカ西海岸とは真逆なポジショニングにも見える英国靴です。ずっと気になっていた「トリッカーズ(TRICKER'S)」の“チャーチルスリッパ”にしました。名前の通り本来は室内用の履き物ですが、ラバーソールを付けて外履きするスタイルがファッション関係者の間で人気となり、4月に東京・青山の骨董通りにオープンした「トリッカーズ」青山店は店舗別注としてデフォルトでラバーソールを付けた“チャーチルスリッパ”を発売していました(4万5000円)。トウの刺しゅうはスカル&ボーン、王冠、獅子など4パターンでしたが、さんざん迷った結果ロイヤルワラント(英国王室御用達の紋章)にしました。ロサンゼルスからサンフランシスコへと取材を続けましたが、ローカルたちの足元はほぼトングタイプのサンダルで、少なくとも英国製スリッパを履いている人はおらず、しっかりアマノジャク感を堪能できました。

 さてシューズつながりで番外編を。ベニスビーチ近くのアボット・キニーは、ロサンゼルスを代表するおしゃれエリアですが、数年ぶりに訪れるとすっかり様変わりしていました。以前は小さいながらも個性的なショップが軒を連ねる印象でしたが、マスなブランドショップに宗旨替えしていました。現地に住むクリエイティブエージェンシー社長の友人に話を聞くと、「地価の上昇がハンパない。これじゃ先住者も出て行かざるを得ないね」とぽつり。そんな中でも気を吐いていて、ついうれしくなってしまったのがメンズセレクトショップのストロングホールド(THE STRONGHOLD)です。英国製のライダースジャケットで知られる「ルイスレザーズ(LEWIS LEATHERS)」や、1865年創業の米国のハットブランド「ステットソン(STETSON)」など武骨なアイテムをそろえており、およそビーチ近くの観光客向けのショップとは思えないたたずまいにアマノジャク精神をビンビン感じました。

 マイケル・パラダイス(Michael Paradise)=オーナーは相変わらず元気で、雑談している間も来店者は絶えず、商売もまずまずの様子。そんな中で僕以上に目を輝かせたのが、日本から同行してもらった鈴木規仁フォトグラファーでした。ずらりと並んだ米国靴「オールデン(ALDEN)」に興味津々。そのほとんどが別注品で、日本では見かけないものばかりでした。あまり熱心に見ているので、「履いてみたら?」とそそのかしました。彼が当初気になっていたのはグレインレザー製のグリーンのブーツでしたが、端から試し履きして最後に決定したのはコードバン製のブラウンの短靴(795ドル、約8万4200円)。日本で買うのに比べて3割ほど安く、さらにちょっと“お勉強”してもらったみたいです。これが鈴木フォトグラファーにとって、“ファースト・「オールデン」”となりました。

 僕も鈴木フォトグラファーも妻子ある身。何かきっかけがないと、値の張る買い物はできません。そんな時、旅(今回は出張ですが)は有効だと思います。何より(アイテムによっては)一生モノの思い出になります。あれこれ書きましたが、これを読んでいるだろう妻への言い訳として筆を置きたいと思います。

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