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ロジャー・フェデラーとアダム・スコット テニス界とゴルフ界の雄が語る「ユニクロ」とのコラボ

 史上最も多くグランドスラムを獲得した男性テニスプレーヤーで、世界ランキング第5位のロジャー・フェデラー(Roger Federer)が、昨年「ナイキ(NIKE)」との年間30億円の10年契約が満了を迎え、新たに「ユニクロ(UNIQLO)」と同じ条件で10年契約を締結したことは大きな話題となった。「ユニクロ」は同選手の引退後もその栄光を称えたライフスタイルブランドを作り、コート上だけでなくオフコートでもスタイルのサポートをするという。

 一方、2013年のマスターズで優勝を果たしたプロゴルファーのアダム・スコット(Adam Scott)選手は「ユニクロ」と契約してすでに6年が経つ。

 「ユニクロ」との商品企画の打ち合わせのためにマイアミに集まった両者の夢の同時取材が実現した。

 「スイス、オーストラリア、ニューヨーク、ウィンブルドンなど、『ユニクロ』のチームは私が行く先々へ話し合いのために、その都度東京から来る。スケールがとても大きい」とフェデラー。今回は全仏オープンと全米オープンのためのウエアをチェックする。コラボレーションアイテムは、「ユニクロ」のもう一人の顔である日本人プレーヤーの錦織圭からインスピレーションを得ているという。「錦織選手がかつて使った素材を『ユニクロ』が採用しようとしていることは知っている。しかし彼らは、私が望む製品を用意するために何か特別なことをしたいと考えているようだ。『ユニクロ』チームが良しとすることが私にとってはそうでもなかったりする。だから素材やデザインではテストをたくさんすることにした。どこで何を着るか、何ができるか、型にはまらず考えるのが楽しい」とフェデラーは語る。

 スコットは今年のマスターズ用のウエアについて打ち合わせるという。「ただのゴルフパンツじゃなく、『ユニクロ』が“ライフウエア”と呼ぶ、服とスポーツの機能とのバランスを考えて製品を開発するのは面白い。私たちは誰でも着られるものを作らないといけない。人々のゴルフウエアへの偏見をなくそうというのは私にとって楽しい試みで、いつもそのことを意識して、心地よく機能性もある製品を考えている。自分が大会でゴルフコースを歩く際に着るものには自信を持っているよ」と付け加えた。

 自身のスタイルについて、フェデラーは「コートの上での自分のスタイルがベストであってほしいね。正直に言って、時おり少々ひどいウエアの選手もいる。ファンキーなグラフィックが描かれていたり、テニスシャツをモダンに見せようとし過ぎていたり、間違った方向に行ってしまっている人たちが。テニスは豊かな歴史を持つスポーツでポロシャツはとてもアイコニックなアイテムだ。そういったものをリデザインして、すっきりとフレッシュなデザインにすることは私にとって重要だ。テニスウエアとしてのレベルを高めようとしていて、それが次世代とも共鳴してくれることを願っている。クリエイティブなインパクトをたくさん込めることができるからディテールにもこだわっているよ」と語る。

 スコットは「私のポリシーは、言うなれば、さりげないエレガンスにある。私は自分をある一定のスタイルやポロシャツなどのアイテムに決め込んだりしない。『カーキに白のポロシャツというシンプルなスタイルなのに、すごくカッコいいね』と他のプレーヤーに言われると最高にうれしいね。今年のマスターズのように『ユニクロ』を着ることにはちょっとした楽しみがある。何年も前の大会で何が起きたかを振り返るきっかけにもなるから」と大会でのスタイルについてコメントした。

 近年、他の選手たちもセンスに磨きをかけてきているという。フェデラーは「テニス界は良くなってきているように感じる。多くの異なるスタイルを見せつつ、世界中のクールな都市でプレーしている。プレーヤーの多くが上手くやっていると思うが、派手すぎたりネオンカラーに走ることもあるだろう。すべてのクレイジーなカラーを試してベーシックに帰ってくるものだから、そういうことはあるだろうと思う。みんなが違ったフィーリングやスタイルに挑戦するのは良いことだ」とコメント。スコットは「ゴルフでは間違いなく若いプレーヤーたちが自信にあふれていて、ファッションにおいて良くも悪くも自分を表現している」と語った。

 「人のこと言えるかね?」とフェデラーが茶化すと、「自分の昔の写真を掘り返したくはないよ!」とスコット。「髪を伸ばしたりしてたよね、私もだけど」とフェデラーは笑った。

 フェデラーは「ナイキ」の名を出すことはなかったが、袖をロールアップしたシャツとジーンズ姿で「こういう格好で記者会見に出たいよ。もうコート以外の場所でジャージーを着る必要はないからね」とざっくばらんに語った。

大根田杏(Anzu Oneda):1992年東京生まれ。横浜国立大学在学中にスウェーデンへ1年交換留学、その後「WWD ジャパン」でインターンを経験し、ファッション系PR会社に入社。編集&PRコミュニケーションとして日本企業の海外PR戦略立案や編集・制作、海外ブランドの日本進出サポート、メディア事業の立ち上げ・取材・執筆などを担当。現在はフリーランスでファッション・ビューティ・ライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を行う。