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「ゼム マガジン」出身の編集者が新メンズ誌 わずか2カ月で制作した渾身の264ページ

 メンズ誌「ヒュージ(HUGE)」(講談社)で経験を積み、「ゼム マガジン(Them magazine)」(Righters)を2014年の創刊から18年まで右近亨編集長とともに制作してきた編集者の大城壮平(30)は、新たなメンズファッション・カルチャー誌「ヴォストーク(VOSTOK)」を3月25日に創刊した。青山ブックセンター本店、代官山 蔦屋書店、銀座 蔦屋書店、オンラインストア「Magazine isn’t dead」で販売する。価格は1500円。

 前半はファッションシューティングがメインの構成。写真家のホンマタカシとスタイリストの林道雄によるファッションストーリーや、写真家の奥山由之が高田勇人がスタイリングした「サンローラン(SAINT LAURENT)」をポラロイドで撮影するなど、著名クリエイターが多く参加し、個々の感性を発揮する。また「セリーヌ(CELINE)」や「ディオール(DIOR)」にフォーカスしたページは、写真家の川村優人や白石晋一郎、スタイリストの吉田周平や深海佳宏ら若手によって撮影が行われた。大城は「自分と同年代のクリエイターに多く参加してもらった。若手が才能を素直に発揮できる場にしていきたい。ファッションに憧れる10代や20代は昔に比べて少なくなっているけれど、若手の写真家やスタイリストの活躍を見てもらうことでファッションに憧れる人が一人でも増えるかもしれないから」と期待する。大城と同郷の先輩でもある工藤司「クードス(KUDOS)」デザイナーがディレクションしたファッションページも設けている。

 後半はアートやカルチャー系のコラムなど、読み物のページが続く。「ワイアード(WIRED)」日本版元編集長の若林恵や「スタジオボイス(STUDIO VOICE)」「トキオン(TOKION)」元編集長の松村正人、元「ヒュージ」エディターの田口悟史らがライターとして参加する。ニューヨーク在住の作家エイミー・ボナフォンズ(Amy Bonnaffons)の短編小説のほか、アーティストや作家へのインタビューも行っている。

 誌名「VOSTOK」は和訳すると“極東”だ。大城は18年10月にRightersから独立し、「日本から『本物』のファッション・カルチャー誌を世界中に発信していきたい」という思いで創刊を決意した。「独立当初はこんなにすぐ創刊する予定はなかった。でも学生時代から右近さんの下で編集業に携わってきたので、雑誌に対する思いは常に持っていた。結局、がまんできずに作ってしまった」。

 18年12月に創刊を決意し、わずか2カ月で264ページを完成させた。短期間での制作だったため広告はなく、自費での出版。資金集めは楽ではなかったが、誌面に掲載するアート作品やファッションの美しい色が映えるように、紙選びにも決して妥協しなかった。「インターネットが発達して世の中は情報で溢れているけれど、紙でしかできない表現は絶対になくならない。作り手の思想や哲学を、紙面を通じて伝えたい。そのためならたとえ紙代が高くても、妥協したくなかった」。

 今後は創刊号と同等のボリュームを維持し、3月と9月の年2回の発行を予定する。広告営業も積極的に行ってまずは継続させることを第一に掲げながら、誌面では著名人へのインタビューや海外の若手クリエーターらも巻き込んでコンテンツの幅を広げていく。「誰も知らないような情報が載っていることも大事だけど、世に出す以上は編集者の自己満足になってはいけない。手にとった人に楽しんでもらえる、世界基準のファッション・カルチャー誌を目指したい」。