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“ポスト・フィービー”市場で期待 「ポーツ1961」ディレクターが語る「女性による女性のための服」

 フィービー・ファイロ(Phoebe Philo)が「セリーヌ(CELINE)」を去り、“大人の女性のためのひねりのきいた日常着”のマーケットが空白になっている。“ポスト・フィービー”として期待できるブランドの一つが「ポーツ1961(PORTS 1961)」だ。「ステラ・マッカートニー(STELLA MCCARTNEY)」「ランバン(LANVIN)」などで経験を積んだナターシャ・チャガール(Natasa Cagalj)が2014年からクリエイティブ・ディレクターを務めている。来日したナターシャに、19年春夏コレクションやデザインへのアプローチについて聞いた。

WWD:19年春夏のテーマは?

ナターシャ・チャガール(以下、ナターシャ):夏をどう過ごすかをテーマに、ワードローブを表現しました。バケーションなどもある夏は、普段はできない優雅でリラックスした時間の過ごし方ができる。女性が過ごすあらゆる時間、あらゆる場所を考えてデザインしました。シーズン毎のテーマはデザインチームと日々話す中で生まれることも多いですが、私にとって最も大切なのは素材選びです。イタリアの素材工場に行って、そこからインスピレーションを得ることを大切にしています。19年春夏物では、表がチェック、裏が無地といった配色のファブリックを使用しました。すべて手仕事で作られているマクラメ編みも重要な要素です。マクラメ編みは新しいレースのような感覚で襟元などにも使いました。

WWD:“ポスト・フィービー”市場を狙えるブランドであるともいえるが?

ナターシャ:大人の女性の日常着を作りたいと思っているので、そういった市場と重なる部分はあるかもしれません。女性のデザイナーが女性のために作るブランドという点や、いい素材を使った上質な商品という点で、(フィービー時代の「セリーヌ」と)共通する点もあるでしょう。

WWD:いつもどのようにデザインしているのか?

ナターシャ:コレクションは日常生活と地続きで、アイデアは自然発生的に生まれてきます。例えば、仕事に行くときや息子を学校に送るときに渋滞にはまったら、その状況でいろいろと観察して、それをデザインに生かします。デザインチームのメンバーも、国籍や年齢は皆異なりますが、ほぼ女性なんです。世の女性が直感的に何を求めているか、ということはチームで常に話し合っています。

WWD:「ステラ・マッカートニー」「ランバン」などで働いてきたが、そこではどんなことを学んだ?

ナターシャ:いろんなデザイナーの下でさまざまなことを学びましたが、最終的に大切にしているのは自分自身の感覚です。ただ、「ステラ・マッカートニー」では非常に長い期間働いていたので、とても貴重な経験になりました。ステラと働き始めてから、何をデザインしたら女性は心地よくいられるかを考え、女性のクローゼットを追求するようになったんです。

WWD:自身のクローゼットはどんな感じ?

ナターシャ:私自身は毎日ユニフォームを着ている、という感じ(笑)。シャツ、ジャンパー、トラウザー、たまにはヒール、でも基本はスニーカーです。フィッティングなどで忙しいときはほとんどスニーカーです。「ポーツ1961」としても新しいスニーカーを出していますが、スポーティーなスニーカーというより、普段から履けるスニーカーをイメージしています。私もジムに行くときは機能いっぱいなスニーカーを履くけど、仕事に行くときはもうちょっとしっかりしたスニーカーを履きたいと思うので。

WWD:今の時代、ブランドやデザイナーに求められることとは?

ナターシャ:自分には常に正直でありたいけれど、世の女性たちの求めているものを読み取ることも大切です。ブランドやデザイナーにとって欠かせないのは、一貫性を持つことと誠実であること。また、この産業で働く全ての人が、サステイナビリティーに対して責任があるとも思います。例えば、素材を買いすぎたり使いすぎたりしないように注意しています。まだ若いブランドですが、今後はできればバッグや靴にも力を入れていきたいと考えています。