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“ミレニアル世代の代弁者”、ちゃんみな 「痛みは美しくもなる」

 ラッパーでシンガーのちゃんみな(20)がミレニアル世代を中心に人気を集めている。“ペイン(痛み)”を題材とした共感を呼ぶリアルなリリックや、日本人離れしたパフォーマンスと音楽性で注目を集める彼女は、17歳の頃に出場した「高校生RAP選手権」(2016年大会)で一躍脚光を浴びると、翌年アルバム「未成年」で高校生のうちにメジャーデビュー。今年に入っても「サマーソニック(SUMMER SONIC)」への出演や、9月の20歳の誕生日に2000人以上収容するZepp ダイバーシティ東京で記念ライブを行うなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いを見せている。

 そんな彼女が、20歳を迎えてから初となる楽曲「PAIN IS BEAUTY」を11月30日にリリース。音楽との出合いから、「PAIN IS BEAUTY」に懸ける思い、そしてファッションアイコンとしても熱い視線が注がれる胸の内を語ってもらった。

WWD:音楽との出合いは?

ちゃんみな:TVで女の人がキラキラ歌っているのを見て、1歳半の頃には歌手になりたいと母親に話していたみたいです。幼い頃から音楽が好きで、家では常にK-POPが流れていて、ピアノを習っていたからクラシックもよく聴いていてチャイコフスキーが好きでした。それから小学生の頃にBIGBANGが流行ったのでヒップホップダンスにハマって、そのあとはレディー・ガガ(Lady Gaga)でしたね。

WWD:ヒップホップを中心としたブラックミュージックばかり聴いていたイメージでした。

ちゃんみな:実は、ブラックミュージックはあまり通ってないんです。一番好きなアーティストもアヴリル・ラヴィーン(Avril Lavigne)で、彼女のずっと老えない感じとか、魂がロックな感じとかが好きです。

WWD:デビューのきっかけにもなった「高校生RAP選手権」には、どういった経緯で出場することになったんでしょうか?

ちゃんみな:もともと韓国でデビューするのが夢だったんですが、韓国の事務所に曲を送っては落ち、オーディションを受けては落ちを繰り返していました。でも最終的に事務所に入ることになったんですけど、「韓国でデビューでいいの?日本で勝ちたくないの?」って思いとどまったんです。それで自分でできることが何かないかと1カ月探していたらたまたま「高校生RAP選手権」を見つけました。日本語でラップなんか全然やったことがなくて、フリースタイルもできなかったんですけど、自分の限界を知ってみようと思い参戦したらオーディションに受かっちゃって、「死んだ」って思いましたね(笑)。でも受かったからには頑張ろうと思って、他の出場者を蹴散らす気持ちで参戦したら“No.1フィメールラッパー”の称号をいただいて、私のストーリーが始まりました。

WWD:もともとサイファー(複数人が輪になって即興でラップをすること)やフリースタイルをしていた経験はないんですね。

ちゃんみな:そんな経験は全然なくて、BIGBANGを聴いていたからできたんだと思います。

WWD:その後は?

ちゃんみな:高校2年生で「高校生RAP選手権」に出たんですが、その後「未成年」と「プリンセス」の2曲をユーチューブにアップしたら、今のディレクターに「アルバムを作ろう」って言われて、高校3年生の2月にメジャーデビューしました。

WWD:「未成年」の作詞作曲はご自身ということですが、幼い頃から作詞作曲していたのでしょうか?

ちゃんみな:作詞のようなものは、小学生の頃からやっていました。パソコンに打ち込んだり、レコーディングをしたりと音楽として形になったのは高校1年生になってからです。ただ誰に教えられたわけでもなく、見よう見まねで打ち込んで作っていました。

WWD:リリックのインスピレーションはどこから?

ちゃんみな:全部実体験です。多くが“ペイン”からきているんですけど、悔しさだったり、悲しさだったり、怖さだったり、ネガティブなものを歌にしてポジティブにしています。ネガティブな言葉の方が、良くも悪くも言葉に“気”が宿ると思っているんです。最近はSNSやネットが蔓延して、簡単に悪い言葉を発せられる環境ができていて、みんなの沸点が低くなってる。これが本当に良くないことだと思っているからこそ、私の曲が生まれます。共感を求めて作詞しているわけではないですが、「めっちゃ同じ」みたいなコメントをSNSでもらうことが多くて、心強いですね。

WWD:9月にリリースした「Doctor」は、現代社会に対するリリック、そして日本では珍しい歌とラップを融合したスタイルを見せていますね。

ちゃんみな:私自身も初のスタイルだったし、制作した当初は日本では受け入れられにくい曲だと思っていました。でもプロデューサーと曲を考えていた時に、「絶対無理だけど面白いトラック作った」と聞かせてくれたのが「Doctor」のビートだったんですけど、「なにこれ……コアだけど好き!」って(笑)。それで歌詞をのせてみたら出来上がりがよくなったんです。MVは、ちょっとハードな曲調だからこそコミカルなものにしてバランスを取りました。世界観は小学生のときに見た夢を再現しています。

WWD:10月には二十歳を迎えましたが、これまでのリリックとの変化はありましたか?

ちゃんみな:いつもテーマとしてあるのは、「今しか書けないこと」。ちょっと早くても遅くても絶対に書けないリリックで、ナウな曲をナウな感情とナウな状況でリリースするのを心がけています。だから成長していくたびに、リリックや表現の仕方は変わっていきますね。

WWD:それでは20歳を迎えてからの初作品「PAIN IS BEAUTY」に懸けた思いを教えてください。

ちゃんみな:「20歳を迎えての初めての新曲です!聞いてください!」といった感じではなく、“20歳になった証”として残しておきたくて制作しました。“PAIN”といっても、全部の曲がネガティブなわけではなくて、親友でお互い絶対好きなのに伝えられない気持ちがあるあの歯がゆい気持ちが“PAIN”の一種なように、“痛みは美しくもなる”が20年間生きてきて一番感じたことだったのでタイトルにしました。