ファッション

日本でも大ヒットの“−5kgジーンズ”を生み出した韓国ブランド「チュー」に直撃取材

 日本でも人気のテリ(Taeri)が専属モデルを務める韓国ブランド「チュー(CHUU)」を知っている人は多いだろう。すでに日本でも数多くの取り扱いがあるブランドだが、テリを起用したインフルエンサー・マーケティングをはじめ、“−5kgジーンズ”というキャッチーなアイテム、韓国でも大人気のカフェ「オニオン(onion)」の運営など、実はビジネス視点でも興味深いブランドだ。今回、ほとんどメディア露出がないという運営元のホン・ジェボムppb studios最高経営責任者(CEO)にソウルで話を聞くことができた。

WWD:まず「チュー」を始めた経緯は?

ホン・ジェボムppb studios CEO(以下、ホン):「チュー」はもともと私が作ったブランドではなく、今は理事をしているク・ギルが2012年に立ち上げたブランドです。私はこれまでブランドの海外展開を支援する会社をやっていて、「チュー」の事業拡大に合わせていくつかの会社を統合し、今のppb studiosになりました。われわれはECサービスの構築をはじめ、「アイスクリーム12(ICECREAM12)」と「モスビーン(MOSSBEAN)」といった他ブランドも展開する複合企業なんです。

WWD:現在の従業員数は?

ホン:全部で200人くらいいて、台湾や中国にも15人ずつ従業員がいます。スタジオのあるここ(取材を行った本社)にはコンテンツ制作をメーンに約70人、そのほか物流倉庫に70人くらいいます。

WWD:売り上げは?

ホン:売り上げは非公表ですが、毎年30%程度の成長を続けています。今年はいろいろと投資をした年なので成長が鈍化していますが、来年はその分さらなる成長を見込んでいます。昨年は売り上げの半数が韓国。その他、中国や日本、台湾、アメリカなどですね。最近では香港やシンガポール、カナダでも売れています。

WWD:香港のSHIBUYA109にも出店をしたばかりですが、店舗はどのくらいある?

ホン:現在は韓国では弘大(ホンデ)と明洞(ミョンドン)、香港、台湾、ベトナムなどに1店舗ずつあるイメージです。オンライン、卸も合わせると、販売先は30カ国程度です。来年は中国と日本に旗艦店を出したいと考えています。

WWD:出店数はそれほど多くないんですね。

ホン:店舗は販売のためではなく、オンラインでの購入をアシストするショールーム的な場所だと考えています。だから、たくさんの店舗は必要なくて、各国の主要都市に1店舗ずつ出したいと考えています。特に、韓国のお店に来る顧客は外国人がほとんどです。ここで体験をしてオンラインで買ってもらえればいいと思います。

WWD:知名度が拡大した要因の1つが専属モデル・テリの起用だと考えますが、なにかインフルエンサー戦略のようなものがあったのでしょうか。

ホン:テレビもアイドルや芸能人を発掘するでしょう。アパレルにおいてもモデルの発掘は重要な役割だと思っています。今流行っているものごとではなく、今後どういったコンテンツが必要になるのか。その1つがモデルの選定です。日本ではテリが有名ですが、実は他の国では全く別のモデルを起用し、人気になっています。

WWD:“−5kgジーンズ”というヒットアイテムも話題です。

ホン:もともとワンピースなどがメーンのブランドだったので、デニムカテゴリーはなかったのですが、外部の知人から「デニムをやったらどうだ」と提案をもらい、「チュー」らしいデニムを作ろうと考えました。西洋圏にはデニムブランドはたくさんありますが、アジアの人には形が合わないものが多いんですね。だから、着た時のシルエットにこだわったデニムを作りました。パターンの開発から生地選定、工場管理まで、かなりこだわりましたが、結果として雑誌などに大きく取り上げられ、アジアで大ヒットすることができました。

WWD:韓国ではカフェ「オニオン」の運営もしています。「チュー」と同じ会社がやっているとはあまり打ち出していませんが、なぜカフェ事業を?

ホン:この本社に引っ越してきた時、隣にスペースがあったからなんです(笑)。もともとは社内ミーティング用のカフェくらいにしか考えていなかったのですが、芸能人が来たりSNSで話題になって、有名になりました。とはいえ、やるからには本気でやりたいと、社内のコンテンツチームが内装などに注力してくれたおかげだと思います。

WWD:最近2店舗目も出したばかりですが、カフェ事業は拡大する予定ですか。

ホン:2店舗目は物流倉庫の建物なんですよ(笑)。ただ、こちらもコンテンツチームや外部のデザイナーなどが主軸となって本気で作っています。カフェ事業と銘打っているわけではないですが、拡大の余地はあると思います。

WWD:その他、アパレル以外の事業展開もありうる?

ホン:われわれの会社はファッションと流通、コンテンツを中心に置いています。会社の本質から外れることをやるつもりはありませんが、すでに「ベージュ(BEIGE)」という化粧品や補正下着をやっているように、ターゲットの女性が綺麗になりたいと思った時に必要なものは用意したいと考えています。

WWD:そうなると、もはやアパレル企業ではありませんね。

ホン:私たちは“コンテンツ会社”だと考えています。顧客とのコミュニケーションを大切にして、そこからにニーズを汲み取り、コンテンツに落とし込みます。例えば、いい洋服を作っても売れなかった場合に伝え方が悪かったのではないかと考え、写真を撮り直して再度販売したりします。シーズンが変われば洋服も増えるので、過去のアイテムを再度コーディネートに使って販売することもあります。こうしたサイクルを早くするためにMDからデザイン、スタイリング、撮影チームまで全てをインハウスで用意しているのです。

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