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タグを付け替える洋服の“リネーム”再販はアパレルの在庫問題に一石を投じるか

 アパレルの買取・販売などを行うFINEが、買い取った洋服のタグ・洗濯表示タグを付け替えて再販する新業態ブランド「リネーム(RENAME)」の自社ECサイトをオープンした。主に国内ブランドやOEMメーカーの在庫を買い取り、ネームタグを外してブランドバリューをなくすことで定価より安く販売する仕組み。商品によっては定価の3割程度で販売されるものもある。トップスが1000円台〜、アウターでも2000円台〜と安価で、消費者にとってはクオリティーを担保しつつ、お値打ち価格で商品を購入できることが大きなメリットになりそうだ。

 FINEは08年創業の、愛知県に本社を置く企業。アウトレット事業などを経て、16年からアパレルリネーム品の販売を行ってきた。2017年からはファッションEC「ロコンド(LOCONDO)」でも同様の“リネーム”アイテムを販売してきたが、“リネーム”による再販という手法はアウトレットでもブランド古着でもない2次流通の新しい形といえる。

 同社が仕入れる洋服はここ3〜4年で年間約100万着まで増えた。ブランドとしては在庫処分をせずに済む他、タグを付け替えることでブランドイメージを毀損することなく新しい場所での再販が可能になるわけだ。実際に過去の事例として、セレクトショップから約6万点(上代金額3億5000万円)の買い取り実績や1カ月以内でのアパレル製品約52万点の在庫処分などをあげており、アパレル業界から相当のニーズがあることがうかがえる。

 最近では「ゾゾ(ZOZO)」のようにテクノロジーを活用した受注生産(マス・カスタマイゼーション)だったり、AIによる在庫予測などの技術も進歩してきたが、アパレル商材にはシーズンやトレンドがあるため、狙った通りに在庫を消化することはほぼ不可能に近い。こうした状況に対して、「リネーム」のような仕組みによって、これまで販売ができなかった客層に対して商品を届けることができたり、焼却をせずに済むという側面があることはたしかだ。しかし、結局は消費者の購買量にも限界があるわけで、これだけでは在庫問題の根本的解決は見込めない。

 FINEの担当者も「『リネーム』は在庫問題を軽減する解決策のひとつではあるが、完璧なソリューションではない。これまでとはちょっと違うアプローチが全体の流れにうまく組み込まれ、全体が循環していくことで解決に近づくはずだ」と話すとおり、「リネーム」もマス・カスタマイゼーションもAI在庫管理も、ソリューションのひとつでしかない。こうしたサービスを契機に、アパレル企業が生産面の抜本的な企業努力に取り組むことこそが、在庫問題解決の糸口になるのだろう。