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ライター兼インフルエンサー、熱狂的なファンを持つ“トレンドライター”高井香子は何者か

 韓国のファッションビジネスを調べる中で、「韓国のトレンドについてなら、高井香子ちゃんに聞けばいい」という話を何度も聞いた。彼女は“韓国トレンドライター”という肩書きで活躍していて、韓国好きの女性から圧倒的な支持を集めているという。フリーライターでありながらインスタグラマーでユーチューバー。しかも、洋服の買い付けや雑誌制作まで行っているという。高井香子とは何者なのか。そんな多様な働き方とともに、本人に話を聞いた。

WWD:高井さんは“韓国トレンドライター”という肩書きですが、現在の主な仕事内容について教えていただけますか。

高井香子(以下、高井):基本の軸はフリーライターで、「魔法のiらんど」(KADOKAWA アスキー・メディアワークス)と「ナイロン(NYLON)」「シェルビー(SHELBEE)」の3媒体で執筆をしています。それぞれターゲットが10、20、30代と分かれていて、あらゆる年代に対して韓国の記事を届けられればと思っています。いろいろとお声掛けはいただくのですが、今は媒体を絞って“韓国トレンドライター”というキャラを定着させたいと思っています。

WWD:そもそも、韓国に興味を持ったきっかけを教えてください。

高井:もともと高校2年生の時にカナダに留学をしたんですが、すぐにホームシックになっちゃって。そんな時に声をかけてくれたのが韓国の人でした。それでコリアンタウンに連れて行ってもらって、いろいろと知るうちに興味を持ちました。帰国後に韓国に行ってみたら、“カタツムリクリーム”とか“涙袋アイテム”とかキャッチーなものばかりで。日本ではまだBoAが出てきたくらいのタイミングだったんですが、こうしたトレンドを日本に伝えたいと思いました。

WWD:高校卒業後はどのような仕事をしていましたか。

高井:高校を卒業して、求人サイトを使ってなぜかアパレルに就職しました(笑)。109から渋谷パルコに移って、店長やVMDのようなお仕事までさせていただいたんですが、やっぱり韓国に関わることがやりたいという思いが強くて。高校は海外で卒業しちゃっていたので、大検をとって、大学に入りました。

WWD:大学では何を?

高井:英語科です。でも、改めてやりたいことがあったので、親には就職はしないと言いました(笑)。

WWD:なるほど(笑)。でも、どうやってライターになったんですか。

高井:当時から韓国の観光本を出すのが夢で。それで、大学生の時にまずは読者モデルみたいなことをやればいいかなと思って、雑誌の読者アンケートで韓国が好きなことをアピールしまくりました(笑)。そうしたら「エスカワイイ(S Cawaii!)」で取り上げてもらえて、2回目には韓国の特集を1ページがっつりやらせてもらいました。「エスカワイイ」では読モユニットみたいなものまで参加させてもらったのですが、そのまま主婦の友社で出版を少しだけ学ばせていただき、読モを卒業しました。

WWD:その頃から今につながるフリーライターとしての道を歩むわけですね。

高井:次に何しようと考えてたんですが、やっぱり文字を書いて大人に認めてもらいたくて。縁あって、「109ニュース」のライターとしてある程度自由にやらせてもらっていました。でも初めはそれだけだとお金が稼げなくて、カフェでアルバイトもやっていました。その頃、今から3〜4年前くらいですが、インスタグラムを始めて、紆余曲折あってユーチューブも始めました。ライターだけじゃなくて、インスタグラムもユーチューブも全てで数字が取れていたら強いんじゃないかと。はじめユーチューブも編集制作を編集会社に依頼していたんですが、今年に入ってアカウントを買いとって、自分で運用するようになりました。

WWD:なぜ、フリーでやっていこうと考えたのですか。

高井:もともとこだわりが強くて、会社と一緒にやっていると自分が気を使ってしまうなと。失敗も成功も自分で納得したいんです。あと、フリーでもここまで仕事できるんだよっていうのを証明したいんです。私すごくネガティブで、ライティングに関しても自分から売り込みとかできなくて。それでもここまで頑張れるんだよっていうのを見せたいんです。今はライティングだけでも一応食べていけるくらいにはなりましたし。

WWD:そこまでキャラを確立できた理由は何ですか。

高井:自分の強みはライティングとインスタグラムとユーチューブという3つがあることだと思っています。当時は韓国に特化したライターは全然いませんでしたし、ブームで終わるかもしれないと思った時は他の国も調べたりしました。でも、“韓国”という軸も、ブームからカテゴリに定着したと思います。

WWD:トレンドライターという仕事で、気をつけていることはありますか。

高井:日本での流行って、韓国より遅いんです。だから、韓国の最先端すぎるトレンドは受けなかったりします。だからといってマストレンドに合わせてばかりでは、一部のファンからダサいと思われちゃうので、そのバランスをすごく意識します。

WWD:現在は、さらに多岐にわたる仕事をしていますよね?

高井:「こうこりあさんぽ」というZINEを自費出版で作っています。もともと、リアルでおしゃれな観光本を作りたくて、デザインも自分でやりながら販売をしています。1冊目は素人っぽさをテーマに彼が写真を撮ってくれて、16年12月23日の2人の記念日に発売しました。誰得だよって感じですけどね(笑)。それで、発売後すぐに自分の服とZINEを売るフリマを開催しました。マスクやミラーのようなオリジナルアイテムも作りました。

WWD:フリマは大盛況だったとか。

高井:販売もそうですが、ファンの方との交流の場にしたかったんですよね。ファンが気になっていることとか知りたいことを聞けば、そのあとの仕事の参考にもなりますし。実際カメラマンさんに場所を紹介してもらって1人でイベントをやろうとしたんですが、500人くらい来てただいて、もう、パニック(笑)。でも、ファンの方とはつねに近い距離にいたくて。だから先日阪急うめだ本店でもイベントをやらせていただいたんですが、“いくら買えばチェキが撮れる”みたいなことはしたくないとお願いしました。あと、フリマをやって感じたのは、インスタグラムも数字(フォロワー数)じゃないなって。

WWD:直接の交流があれば、ファンの深度がわかりますよね。実際に500人も来ているわけだし。阪急をはじめ、洋服の買い付けもされていますよね?

高井:もともと仕入れには興味がなかったのですが、ある会社からお声掛けいただいた時に、仕入れ現場を知りたいなと思って。最初は会社と一緒に買い付けをしたんですけど、自分のイメージで服をチョイスしすぎたせいか、あんまり売れなくて。そんなタイミングで渋谷109の「イマダ・マーケット(IMADA MARKET)」でポップアップの打診をいただきました。その際は完全に1人で買い付けに行って、1人でビニール袋背負って帰りましたよ(笑)。今は洋服の販売も続けたいなって思っています。今年も阪急でやらせてもらったり、4月にはアクセサリーに特化してネットで販売する予定ですし、毎月何かしらイベントを用意したいなと。

WWD:でも、フリーでフリマに自費出版に買い付けにとなれば、かなりコストがかかりそうですが。

高井:そうですね。でも、フリマはすごく売れるんです。2回目は自分で場所探しからやりましたが、赤字にはならなかったです。まあ、交流の場にしたいので、少し赤字になってもやるかもしれませんが(笑)。ZINEはたしかに、そこそこお金がかかります。1冊目は怖くて50部しか刷らなかったんですが、そうしたらすぐ売れ切れちゃって。

WWD:フリマには500人来たんですもんね。

高井:その時地方から来てくれたファンもいて、申し訳なくて、そのあと再刷して送料無料でみなさんに送りました。1冊1000円なんですが、若い人にとっての1000円って結構なお金です。だから、ちゃんと手紙もつけて、住所も自分で手書きをして。2冊目からは500部くらい用意するようになりました。

WWD:そうなると、在庫の管理も大変そうですね。

高井:実家に置いてあるんですが、買い付けた商品に雑誌に付録にと、足の踏み場がなくなりそうです(笑)。

WWD:最後に、今後の夢について教えてください。

高井:まずは観光本を作ることです。すごく先の夢としては、オフィス兼店舗を持ちたいんです。ライティングをしつつ、自分のZINEや買い付けた商品を売って、自分も絶対そこにいるみたいな。もともとカフェで働いていたこともあるので、カフェもやっちゃうみたいな。これを企業に属すのではなくて、個人でやりたいです。

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