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「ザ・リラクス」の在庫を持たない路面店 新たなビジネスモデルへの挑戦

 「ザ・リラクス(THE RERACS)」は6月30日、初の路面店「ザ・リラクス フィッティングハウス(THE RERACS FITTING HOUSE)」を東京・神宮前にオープンする。場所は1964年の東京オリンピックのために建てられたデザイナーズマンションで、明治通りに面したビラ・ビアンカの2階。店舗面積約150平方メートルの広々とした内装デザインは同ブランドのPRやメンズのディレクションを手がけるアルファ(alpha)の南貴之が監修した。

 “フィッティングハウス”の店名通り、同店は店頭では在庫を持たないショールーミングストアだ。メンズとウィメンズの全商品をラインアップし、来店客が試着して気に入ったアイテムを店頭のiPadか、手持ちのスマートフォンから注文するシステム。商品は後日指定の住所へ届ける(希望によっては店頭での商品受け取りも可能)。販売員を“ショッププレス”と呼び、一般客向けのPRとショールームとしての機能を重視する。秋冬商品の場合、6~10月中旬を受注期間とし、7月末~12月(商品によって異なる)がすぐ買える通常販売期間。路面店ではセールを行わない。

 「ザ・リラクス」は2010年にスタート。素材から縫製までの全て工程をメード・イン・ジャパンにこだわり、生地やボタンなどの付属品をオリジナルで製作しているのが特徴だ。現在ウィメンズで約60社、メンズで30社の約90アカウントの卸先を持ち、ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)やビームス(BEAMS)、伊勢丹など有力店、地方の個店での取り扱いがある。

 なぜショールミングストアという形態で初の路面店を開くのか、デザイナーの倉橋直実とディレクターの倉橋直行ザ・リラクス社長に聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):初の直営店を開こうと思ったきっかけは?

倉橋直実「ザ・リラクス」デザイナー(以下、直実):ブランドをスタートして7年が経ち、セレクトショップや百貨店、自社ECで販売してきました。フィッティングハウスは弊社の倉橋(直行・社長)がもともとアパレルメーカーに勤めていた14年前から構想していた店舗形態で、それを「ザ・リラクス」で実現したいと思っていました。

倉橋直行ザ・リラクス社長(以下、直行):14年前、アパレルメーカーで事業開発を担当していた頃、「人口動態が大きく変化をする中でアパレルが生き残るためには、事業モデルを変えなければならない」と言う話を聞かされてきました。eコマースの台頭で、小売りのマーケットが変化してしまった中、新たなビジネスモデルに挑戦したいと考えました。

WWD:なぜ、在庫を持たない“フィッティングハウス”なのか。

直行:継続可能であることを意識しました。従来のショールミングストアは、“経費削減”で在庫を持たず、メーカー側の都合だったと思います。ECだけで展開するブランドは、店舗を持たずにコストダウンをして安く販売し、店舗を持つコンペティターも商品の値段を下げ、生地屋も値段を下げなければいけないという悪循環を作ってきました。そうならないためにもブランドのロイヤリティーも大切にするべきだと考えました。この路面店は基本的にブランドの世界観を表現する空間で、「ザ・リラクス」を知っていただくPRが目的です。

直実:ショールームとECが連動していて、お客さまが自宅に帰られてからでも購入が可能です。また他と異なるのは、ストックリストへの案内ができること。商品在庫がなくなってしまった場合には、スタッフが卸先の在庫を確認して紹介します。

WWD:アルファの南(貴之)ディレクターと取り組んだきっかけは?

直実:もともとバイヤーとして買い付けていただいたことから付き合いが始まりました。2年前には私たちのオフィスもデザインしてもらい、店を開く時に内装をお願いするのは南さんしかいないと思っていました。

直行:南さんは仕事に対する絶対に妥協しない姿勢があり、いつも依頼以上を提案してくださる。ブランドの世界観を理解している南さんが、ビラビアンカの元々の建物のよさを生かして店のデザインしてくださいました。

WWD:セールを行わない理由は?

直行:値段が高くても購入した商品が値下げしたらショックですよね。お客さまをがっかりさせたくないので、直営店での値下げは行いません。セール期にはサンプルを入れ替えて、来季の商品の受注を開始します。

WWD:世の中では暖冬の影響で「コートの先物買いが減った」と聞くが。

直実:「ザ・リラクス」は先物が売れるブランドです。地方の卸先にお客さま向け受注会を行う際には、卸先が発注した半分以上の商品がお客さまにオーダーして頂けています。

WWD:「ザ・リラクス」のモノ作りへのこだわりは?

直実:間に人を入れずに工場とダイレクトに取り組むことで、高品質な商品を適正価格で提供することです。素材は直接産地へ行き、計画的に紡績と話し込んで、1年後に販売する商品の素材を仕込んでいます。ドメスティックブランドでは珍しいことですが、スーパー140の糸などの原料などはわれわれブランドがリスクを持って調達をしています。縫製工場も工場長と直接お話をし取り組んでいます。

WWD:商品の特徴は?

直実:ブランド内でマスターピースと呼んでいるアイテムがあります。モッズコート、ピーコート、チェスターコート、トレンチコート、ワイドイージーパンツ、ジャケット、Tシャツなど。これらの商品はシーズンに100枚以上生産するほど、安定感があります。このマスターピースは、大きくデザインを変えずに、続けていることから毎シーズン精度が上がってきていると実感しています。

WWD:今後の目標は?

直行:まずはこのビジネスモデルを成功させることです。しかし、直営のビジネスだけではなく、今までお付き合いのある卸先やお客さまを大切にしていきたいです。そして、長期的にはお客さまに選ばれ、飽きられないモノづくりをしていくこと。常にブランドが継続可能であるように見極めていきたいです。

■ザ・リラクス フィッティングハウス
住所:東京都渋谷区神宮前2-33-12 ビラビアンカ2階
営業時間:11:00~20:00
定休日:不定休