アダストリアの「ハレ(HARE)」が好調だ。ウィメンズの成長や訪日客の増加、強力なコラボレーションが追い風となっている。8月には4年ぶりのショーを開催し、話題を呼んだ。
今季のテーマに掲げたのは「霽(ハレ)」。ブランド名と同じこの漢字は、「雨がやみ、空が晴れわたる」を意味する。好調のさなか、一体なぜこのタイミングでショーに踏み切ったのか。このテーマに込められた思いは何か。
ウィメンズ絶好調、メンズも過去最高
「ハレ」は2003年、メンズブランドとして誕生した。当時はエディ・スリマンによる「ディオール オム(DIOR HOMME)」がファッションシーンを席巻していた頃。ショート丈のジャケットやスキニーに憧れる若者が多かった。一方、モードなデザインを手に入れるには、それなりの金額を払う必要があった時代でもある。中価格帯のブランドがそれほど多くなかった中、デザインと価格の“いいとこ取り”をした「ハレ」は、ファッション感度の高い学生や美容師など、若者からの支持を獲得した。プレスの原田純氏は、「堀江(大阪)の店舗はめちゃくちゃ並んでいた。あの店は行列のイメージがある」と、その列に並んでいた自身の姿を思い出す。初売りで数千万円を売り上げるなど、立ち上がりから好調だった。
その後、しばらくは成長の踊り場が続いていた。その突破口となったのがウィメンズの飛躍だった。20〜23年にかけて、売上高は3倍に伸びた。コロナ禍だったことを踏まえると、ECの売り上げが爆発的に伸びたことがうかがえる。ウィメンズ自体は10年にスタートしており、新規事業というわけではない。なぜ10年後に「ハレ」の成長をけん引するまでになったのか。村岡秀紀営業部長は、「お客さまはどんな人なのか。顧客像がクリアになってから、お客さまに届くようになった」と分析する。
「ハレ」のウィメンズの顧客は、20代後半から30代前半がボリュームゾーン。一般にイメージされるモードの中でも、少し影があるようなテイストを求めている。こうしたペルソナを捉え、手に届く価格帯を維持しながら、デコラティブなデザインを増やしていった。「この商品は誰に届けたいのか」を明確にしたからこそ、「ハレ」にしかできないデザインを突き詰められたのだろう。デザインに特徴があれば、EC上でも目を引きやすい。
こうしたデザインが評判を集め、メンズが54%、ウィメンズが46%(9月現在)と売上高が拮抗するまでになった。しかし、ウィメンズの成長を語る上で、メンズの存在は欠かせない。ウィメンズという新たな取り組みに投資できたのも、メンズの下支えがあってこそ。急成長したウィメンズばかりが注目されがちだが、メンズも26年2月期には過去最高の売上高を更新している。
海外人気とコラボで成長を底上げ
さらに売り上げを底上げしているのが、海外での人気の高まりだ。リアル店舗は現在、売上高の約20%を訪日客が占める。26年2月期の訪日客による売り上げは、前年同期比で2倍以上に伸びた。特に、原宿のキャットストリートにある旗艦店が、観光客を引き付けている。茶室や黒松を通りからも見えるよう手前に配置し、ベタなまでに日本らしさを打ち出している。「『ハレ』って、動きがある服が多い。歩くとヒラヒラするような。海外の人が見ると、和服を現代風にアレンジしたように見えるらしい」(村岡営業部長)。袴のシルエットを取り入れたパンツが売れている。
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