毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2026年5月11日号からの抜粋です)
林:取材していてIPという言葉を聞く機会が増えました。日本語の「知的財産」だと権利を“守る”という意味合いを強く感じますが、IPだと権利を積極的に“使う”印象があります。科学技術の特許まで含むので、すごく広範な権利になりますが、ファッション業界ではキャラクターのIP活用の文脈で使われることが多いですよね。このあたりでまとめようと、特集を企画しました。
鴨井:ナルミヤ・インターナショナルのキャラクターが、かつてナルミヤの子ども服を着ていた大人たちにとってエモ消費の対象になっていますし、大阪・関西万博のミャクミャク、アニメ化決定のしろたんなど、キャラクターといってもかなり幅広いですよね。
アパレルが売れないことの裏返し
林:なぜファッション業界でIPが注目されているのか。その背景を考えると、一つはアパレルが売れないことの裏返し。今や“暑い”“寒い”では服は売れないし、マスが動くような大きなトレンドはありません。魅力的なポップカルチャーに結びつけて、消費を促す狙いがあります。もう一つは、キャラクター自体に年齢の垣根がなくなったこと。もはやサンリオも子どもだけのものではありません。ハイブランドのアニメコラボも増えていますし、男女もあまり関係なくなってきています。そして、海外を見据えると、日本のキャラクターはやはり強い。売り上げ累計ランキング上位10位のうち半分が日本のキャラクターです。ディズニーを抑えて堂々1位はポケモンです。
鴨井:ラグジュアリーブランドのキャラクターコラボもモデルケースの一つになっているようです。例えば「ロエベ(LOEWE)」のバッグに落とし込まれた「スタジオジブリ」の世界観は、作品ファンの多い日本で特に話題を集めましたよね。そうしたファッションとの接点やファンに出合いの場を創出していく「UT」やパルコの取り組みも面白かったです。カルチャーが豊富な日本だからこそ生まれるビジネスモデルだなと実感しました。
林:加えて、自社IPを持つのが最近の特徴だね。
鴨井:そうですね。IPカンパニーに転換したグラニフは、ゼロから作った個性豊かなキャラクターのストーリーを膨らませ、さまざまに変化させて、ファンを飽きさせないんですよね。推し活にもなっています。各社共通して、キャラクターやそのカルチャーに愛情も熱量も高いことが印象的でした。