
サンリオは、創業当初からキャラクタービジネスを手掛けていたわけではない。それまでは一体どのようなカワイイを生み出していたのか。そこから垣間見えるサンリオの強みは何か。6月21日まで六本木の森アーツセンターギャラリーで開催している「サンリオ展 FINAL ver.」での取材を通して解説する。(この記事は「WWDJAPAN」2026年5月11日号からの抜粋です)
1960年、サンリオの前身となる山梨シルクセンターが創業した。当時は、戦後復興も進んで人々が豊かな生活を享受し始めたころ。ダッコちゃんやバービー人形が一世を風靡するのを目の当たりにした創業者の辻信太郎氏は「これからは実用品だけでなく、毎日の生活に余興や遊び心をもたらす商品が求められるようになる」と考えた。しかし、当時は雑貨や文具といえば実用性が第一で、ファンシーグッズなどなかった時代。試行錯誤の末にたどり着いたのが、“カワイイ”を付加価値として付けることだった。こうして誕生したのが、大ヒットシリーズ“いちごシリーズ” ❶ である。
“いちごシリーズ”が大ヒット
いちごの柄を付けた雑貨は瞬く間に評判となった。カップやノート、ペンケース、財布、エプロン、バッグ、サンダルと、あらゆる日用品に小さないちごを散りばめた。辻氏が自らを「いちごの王さま」と名乗ったこと。機関紙を「いちご新聞」と名付けたこと。これらの事実からも分かるように、サンリオは全ての始まりである“いちご”を大切にしている。「いちごは漢字で書くと『苺』。サンリオはみんなの母のような存在になりたい。つらいとき、苦しいとき、いつも温かく包んでくれる、優しい思いやりに満ちた存在になりたい」。戦火を経験した辻氏なりの平和への願いが込められていた。
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