ファッション

オケージョン服の最新トレンドは賢く着回す、自分らしく装う 脱・一回きりのフォーマル

卒業・入学式のような節目イベントでまとうセレモニー服に異変が起きています。冠婚葬祭用の装いは“オケージョン需要”と呼ばれて、長く売り上げの柱となってきましたが、近ごろはラインアップが様変わり。着回しにくいオーソドックスなタイプに代わって、普段使いに向く進化形を、人気ブランドが相次いで発表しています。1年に1度あるかないかの着用機会をもったいないと感じる人が増えたのが最大の理由。セレモニー服自体も旧来のイメージからの“卒業”を求められつつあるようです。

コスパやタイパなど、いろいろなパフォーマンスを重んじる流れはファッションにも及んできました。セレモニー服に望まれるのは、マルチに着回しやすい“マルパ(マルチパフォーマンス)”。いかにもかしこまったフォーマルな装いは、普段のシーンでは場にそぐわない印象を与えることもあり、ほどよく力の抜けたデザインに支持が集まっているようです。

「プラステ」は着回しニーズにとことん応える

東京モードを引っ張るデザイナーの1人、村田晴信がウィメンズ クリエイティブディレクターを務める「プラステ (PLST)」。もともと持ち味だったシンプルで洗練されたデザインに、村田デザイナー流の磨きが加わりました。「毎日きちんときれい」をかなえる提案はセレモニールックに品格を与えます。

「プラステ」が国内のママに尋ねたアンケートの結果では、セレモニー服を着回すことを想定していた人は6割を超えました。一方、実際の着用回数は「1回未満」が過半数。式典以外での着用を想定していた人のうち、実際に「想定どおり着回せた」と答えた人は3割未満にとどまりました。こうした失敗体験は着回しやすいセレモニー服を求める下地となっているようです。

「プラステ」はこうした結果を踏まえ、着回しニーズにとことん応えるデザインに進化させました。例えば、ジャケットとパンツのハンサムなセットアップでも、襟なしにすることで汎用性の高いデザインに。なめらかな表面感が軽やかな印象です。洗濯機で洗えて、シワになりにくい楽ちんケアも普段使いには嬉しいポイント。パンツの2タックとセンタープレスが折り目正しい雰囲気に。オールシーズン対応もマルパを高めてくれそうです。

2枚目の写真は布帛見えして、実はホールガーメントで丸ごと編み上げたニットワンピースです。ほのかに柔和な風情を帯びています。ボディーを締め付けないので着心地も抜群。フィット&フレアのシルエットがルックに抑揚を加えています。ハリと弾力を兼ね備えたポリエステル100%のニットは何かと立ったり座ったりの動きが多いセレモニーでも安心です。

3枚目の写真はインナーキャミソール付きのセットアップです。ジャケットのペプラム裾下に、キャミソールのプリーツがあふれてレイヤードが決まる仕掛け。キャミソールをはずして、着方をアレンジできます。セットアップのパンツは足首がのぞくレングスで動きやすさもかなえます。ペプラムとセンタープレスの組み合わせでハンサムレディー感を醸し出します。上下がそろったセットアップはばらして単体で使えば、着こなしレパートリーをぐっと増やせますね。

キャリアブランドの「23区」は着映えと品を両立

ファッション業界で長く使われてきた「オケージョン」の代わりに使われるようになってきた言葉が“セレモニースタイル”です。「TPO」(Time、Place、Occasion)が和製英語だという理解も広がってきました。“セレモニーにもデイリーにも自分スタイルで着こなしやすい服”という位置付けを示す言葉が“セレモニースタイル”。そういったアイテムを打ち出すブランドや店舗も増えてきました。

オンワード樫山の基幹ブランド「23区」は“気品と知性を装う”と掲げて、セレモニースタイルをサイトで特集しました。ツイードや、新・セットアップ、ネイビーワンピースなどを提案。2026年3月25日には旗艦店「サロン 23区 アオヤマ(SALON 23区 AOYAMA)」をオープン。長く支持されてきた「キャリアブランド」のイメージを超えたイメージづくりも推し進めています。

素肌をしっかりカバーする長袖のミモレ丈ワンピースは節度を保って、品よく着映えするウエアです。地味に見えすぎないのは、生地がわずかに光沢感を帯びているから。胸元のカッティングや、スカートのランダムプリーツなどに、さりげない意匠を施しました。ウエストは後ろ側がゴム仕様になっており、楽な着心地も意識。洗えるのも好ポイントで、ビジネスシーンにもなじみそう。ベージュとネイビーのワントーンは1枚でも品格を印象付けてくれます。

お客さまからは、「オケージョンの際のインナーとして使用すると、コーデが華やかになって良い」「適度なシアー素材なので、通年で着用可能」「シンプルなデザインでありながら、オケージョンやビジネス、使用まで汎用性が高い」といった声が届いているそう。フロントタック&切りっぱなしのフリルが大人かわいいのも人気の理由。昨年も好評で追加販売され、今年はピンクが新色で追加されています。

セパレート派が台頭 ジレとパンツのモダンなセットアップ

「THE FIRST LADY」をコンセプトに掲げるマッシュスタイルラボ発の「セルフォード(CELFORD)」。ブランド5周年の際は、アンバサダーに滝川クリステルさんを起用したことでも話題を集めました。ジャケットやドレスのほかに、ジレ(ベスト)を組み入れた装いを打ち出している点が目を引きます。端正さとエレガンスの調和を重んじているのが「セルフォード」らしいところ。構築的な美しさと快適な着心地を兼ね備えた装いを多彩にそろえています。

ジレとテーパードパンツの組み合わせは、これまでのセレモニールックではなかなか見られなかったコンビネーションです。着丈が長めかつダブルブレスト仕立てで立体的な着映え。凜としたキャラクターを描き出します。フリルをあしらったボウタイブラウスに重ねれば、フェミニン感がアップ。セットアップのテーパードパンツはクールな印象に。トップスを差し替えれば、自分好みにムードを変えやすい、マルパ度高めのセットアップです。

プレスによれば、近年は上下セパレートのセレモニー服を買い求める人が増えているそうです。「ジレも人気のアイテムの一つ」だそう。ウエストラインがシャープに見える、メリハリの利いたシルエットが好評といいます。オケージョン用途ではセーラーカラーやベルト付きなど、デザイン性がより際立つアイテムが好まれる傾向にあるのも近ごろの傾向のようです。

3大ポイントは着回し、着心地、着る機会

アンタイトル(UNTITLED)」は、「ハレの日にふさわしい特別な装い」と「いつもの延長線上にあるおしゃれ」をグッドバランスで融け合わせたスタイリングを幅広いアイテムで用意しました。

推しは、上質なツイードでボクシーなシルエットのノーカラージャケット。ラメ糸を織り込み、ちょうど良い塩梅で特別感を演出します。ボウタイブラウスやプリーツワンピースに重ねてたおやかに整えるほか、ワイドパンツでミックステイストに仕上げる着方も選べます。昨年よりも少し着丈を長くして、パンツとの相性をさらに高めました。

オンとオフを相互乗り入れしやすいジレは進化形セレモニー服の代表的なアイテムとなりつつあります。2枚目のバルキーな質感のツイード生地で仕立てたジレは、さらに高級感がプラスされています。ボリューミーなボウタイを配したブラウスが気品を添えています。普段はデニムパンツのようなボトムスで合わせてカジュアルアップのキーピースに。ジレのかさばらない量感がきれいな縦落ちイメージを引き出してくれます。

「アンタイトル」のプレスからも「セレモニーだけでなく、通勤にも着回せる、単品使い可能なアイテムが動いている」という店頭リポートが届いています。「柔らかい素材のボウタイブラウスの反応が良い」そうです。ツイードジャケット見えする、柔らかいニットカーディガンが買われているのも今の“着回し、着心地、着る機会”という“3着”を優先するお客さまのマインドを映しています。

かつては機能性や着回し余地などは縁遠い感じのあったセレモニー服ですが、どうやら時代は変わってきたようです。普段着と同じように着心地の楽ちん感や、手持ち服との相性、出番の多さ、自宅洗いの可否などが選ばれる条件となりつつあります。昔風の冠婚葬祭ムードを遠ざけた“日常の非日常”テイストが望まれるようになったのも近年の変化。シーンフリーのうねりがセレモニー服にも押し寄せてきたと言えそうです。モード界から広まった、フォーマルのデイリー化が今の流れを加速させているところがあり、これから先も“脱・オケージョン”化の勢いは続きそうな気配です。

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