「ディプティック(DIPTYQUE)」は10月24日、日本初の旗艦店を表参道にオープンした。キャットストリートに面した同店のテーマは、“パリと日本の対話”。香水やホームフレグランス、ステーショナリーがそろう同店は、パリのアパルトマンと日本の古民家を融合した内装が特徴だ。ショップデザインを手掛けたのは、「ディプティック」のアレクサンドル・ルサール=アーキテクチャー&ビジュアル・エクスペリエンス クリエイティブ・ディレクター。日本初の旗艦店の見どころについて、来日したルサールに話を聞いた。
パリと日本の伝統的なモチーフの折衷が見どころ
旗艦店の場所は、キャットストリートに面したジャイルの裏側。元イタリアンレストランがあった場所だ。広々とした旗艦店は、ボルドーの艶やかなフロアとまろやかな光を放つ白い天井の対比が印象的。ルサールは、「天井は日本の障子をイメージした。それとは対照的に、1970年代のパリのアパルトマンに見られたフロアをレジンで再現。天井や什器がフロアに反射して空間が拡張するイメージに仕上げた」と語る。店内に置かれた木製の什器は、日本のビンテージ家具から着想を得たという。
エントランスを入ると、左手には壁画に彩られたバスルームを彷ふつとさせるボディーラインのためのスペース、奥には暖炉があるサロンのような空間が広がっている。壁画は、「ディプティック」人気の香りの一つ“ドソン”のラベルにあるベトナム・ハロン湾の風景をパノラマ風に描いたものだ。ルサールは、「キャットストリートに面したショップなので、アーティストに頼んでカラフルかつ黒い線でアクセントを効かせて漫画チックに仕上げた」と語る。天井のモールディングや大理石のシンクなどは、パリのオスマン様式のアパルトマンに見られるディテールだ。一方、フロアは日本的な木の手彫りで、そのテクスチャーが足の裏から伝わってくる。
オリジナルで制作したアートは必見
暖炉の上の鏡の部分には、ウォールナッツを掘り出したイチョウのモチーフで描いたアールデコ風の見事な装飾が施されている。暖炉の前には竹製のチェアについては、「イタリア製の70年代のビンテージチェア。家具もこの旗艦店のために買い付けたものばかりだ」。ショップの奥のステンドグラスもオリジナルでフランスで制作した。江戸がインスピレーションのユズの香り“オイエド”のラベルに描かれている木がモチーフだ。「オリジナルのアートでこの広い空間を彩りたかった」とルサール。フランスと日本の伝統工芸をはじめ、70年代のレトロモダンな要素を散りばめた旗艦店は、異国情緒満載のサロンのようで、見どころ満載。一つ一つ旗艦店のために制作され、選りすぐられたアートや家具が置かれた特別なショップになっている。