
ZOZOとアンドエスティホールディングス(旧アダストリア以下、アンドエスティHD)がタッグを組み、インクルーシブウエアのプロジェクトをスタートする。ZOZOのインクルーシブウエアの受注生産プロジェクト「キヤスク with ZOZO」とコラボレーションし、「ローリーズファーム」の6アイテムを、最大69通りのサイズで展開する。アンドエスティHDは、特例子会社のウィーアー(WeOur)が「Play fashion! for ALL」を通じてインクルーシブファッションのプロジェクトを行っており、今後は他のブランドにも拡大する。
「キヤスク with ZOZO」は24年8月にスタート。ZOZOが「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」の出店ブランド向けに提供する最大69サイズのアイテムを短納期で受注生産できるサービス「メイドバイゾゾ(MADE BY ZOZO)」から派生したサービスで、サイズに加え、車椅子の人や寝たきりの人にも着やすくするためにボトムスの脇にファスナーを付けるなどの設計や仕様変更を加えている。
ウィーアーは、2023年からインクルーシブファッションプロジェクト「Play fashion! for ALL」をスタート。定期的に当事者と一緒にイベントやワークショップを実施してきた。プロジェクトを推進するウィーアーの大谷知加子「Play fashion! for ALL」マネジャーは「ファッションを楽しむということを考えると、障害を持つ当事者にとって重要なのは、『着やすい服』より『着たい服』を選べること。そうした中で、ZOZOの『キヤスク with ZOZO』に行き着いた」という。
「ローリーズファーム」はもともと「メイドバイゾゾ」を活用して約50アイテムを販売しており、ウィーアー側がその中から一部のアイテムを着やすくするための設計や仕様を加えて販売する。今回はスキニーやフレアなどのジーンズとショートパンツ、ハイウエストのテーパードパンツなど6型を、9500〜1万円で販売する。レギュラータイプに比べて2000円ほど高くなる。
インスタグラムで15.7万フォロワーを抱える車椅子のファッションインフルエンサーの鳥居百舌(とりい・もず)さんは「母がアパレルだったこともあり、昔から意地でも好きなファッションや服を着ることをモットーにしてきた(笑)。それでも、車椅子だと例えばジーンズのようなゴワゴワした生地だと褥瘡(じょくそう)になりやすいので避けがちになるなどの制約はどうしてもある」という。
「今はグランジや地雷界隈系のファッションが気分なので、実は今回の『ローリーズファーム』で出てジーンズはあまり興味がなかったけど、実際に試着してみて驚いた。様々な工夫が凝らしてあってはきやすいことはもちろんだけど、すごく柔らかい生地でストレッチもきいているので着心地もいい。これなら褥瘡も気にしなくていいかもと気付いた。着れない服は多いけど、実際には探すことも楽しんできた。ただ、選択肢が広がることで、新しいファッションに挑戦するきっかけになったのは新しい感覚だった。インクルーシブウエアという誰もが着やすい服が広がることで、ファッションはもっと楽しくなるし、楽しめる人が増えると思う」。