アートトイ市場で急速に成長を遂げている中国発のブランド「ポップマート(POP MART)」の日本法人ポップマートジャパンは、日本最大の直営店を大阪・難波に9月6日オープンする。関西では初の路面店となる。
4日に行われたメディア向け発表会には、俳優の三吉彩花がトークショーのゲストとして登壇した。「大人になってからも子供心をくすぐられ、夢中になれるのが素敵。ポップマートのキャラクターは、かわいいだけでなく、ストーリーやアーティストなどいろんな背景があり、日本の文化とも融合しながら魅力を放っている。大きな店舗で存分に世界観を味わってほしい。海外の友人もここにつれてきたい」と話した。
地下1階から地上2階までの3フロア構成で、売り場面積は約580㎡と国内最大級を誇る。世界的に人気のキャラクター「ラブブ」を中心に、初期から展開する「モーリー」、日本でも人気が高い「スカルパンダ」「クライベイビー」など世界中のアーティストが生み出すIP(知的財産)が国内最多規模で並ぶ。地下には大型フィギュアや限定アイテムもそろい、ポップマートが展開するキャラクターのほぼ全てが集まる店になる。頭からヌードルを浴びる巨大ラブブのディスプレイなど各階にはフォトコーナーも設けられ、その世界観を味わえる。
日本の売り上げ 2年で6倍
ポップマートは2010年に北京で創業。18年にグローバル展開を開始し、24年7月にはインドネシア・ジャカルタで100店舗目の海外店舗を開設した。
現在30カ国以上の地域に550以上の直営店と2500以上のロボショップを展開するグローバルブランドに成長した。23年には北京に初のテーマパーク「ポップランド」を開園し、24年6月には初のオリジナルモバイルゲームをリリースした。北京、上海、シンガポールではトイショーも開催し、国内外から多くのファンを集客している。日本では22年に1号店となる原宿本店をオープンして以降、現在10の直営店と18カ所でロボショップを運営する。
直近の業績は、25年度上半期の売上高が139億元(約2860億円)に達し、前年同期比3倍に伸びた。「ラブブ」を含むザ・モンスターズシリーズは同7倍の48億1000万元(約1000億円)で、全体の34.7%を占める。ポップマートは香港で上場しており、時価総額で日本のサンリオの4倍とされている。日本国内でも22年度と24年度比で約6倍と急成長を遂げている。
100以上のIPを作品として展開
ポップマートジャパンの大河内元基ゼネラルマネージャーは「ラブブシリーズがきっかけでソーシャルメディアでも多く取り上げられ、日本でも人気に火がついた。今年の2月頃から売り上げも急上昇している。現在は、安全性の面から主に抽選販売の形をとっている」と話す。
ポップマートはラブブだけでなく、世界中のアーティストによる100以上のIPを作品として展開しているのが大きな特徴だ。ラブブは香港人デザイナーで絵本作家の「カシン・ロン」、スカルパンダはコンセプトデザイナーの「スカルパンダ」、クライベイビーはタイ出身アーティストの「モリー」が生み出した。それぞれのキャラクターにはストーリーがあり、デザインのかわいさだけでなく、メッセージ性に共感した多くのファンを引きつけている。
クライベイビーのぬいぐるみをバッグにつけて愛用する大河内ゼネラルマネージャーは、そのメッセージ性がポップマートの魅力であり、事業の強みにもなっているという。「アーティストが生み出した素敵なアートピースを日常生活の中に取り入れてほしい。そうすれば、より豊かな気持ちになれるという考えに感銘を受けた。男女、年齢問わず、かわいいものをかわいいと思えて、抵抗感なく身につけられるような社会になれば、という願いも込められていると思う」。
箱を開けるまで中身が分からないブラインドボックス形式での販売も特徴で、サプライズ感やドキドキ感が消費を喚起する手法は日本のガチャガチャに近い。ぬい活や推し活ブームといった日本の文化やトレンドと合致したことが需要を大きく押し上げた。
現在、中国本土、香港、マカオ、台湾以外の国・地域で140店舗を展開するが、近い将来、200店舗まで拡大する予定。中東やヨーロッパなどでも出店を加速し、日本では世界観を表現できる大型店を主要都市に出店していく計画だ。