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グンゼの国内4工場閉鎖 背景に量販店縮小とユニクロ台頭

グンゼは、アパレル事業の構造改革を発表した。国内4工場を閉鎖するとともに、物流拠点も集約する。間接部門と営業部門で希望退職も募る。事業構造改善費用として特別損失34億円を2025年4〜6月期に計上する。男性向け下着「ボディワイルド」、女性向け下着「キレイラボ」、ストッキング「サブリナ」などを展開する同社は苦戦が続いていた。背景には下着市場の競争環境の変化がある。

自社運営の梁瀬工場(兵庫県)と生産子会社の養父アパレル(兵庫県)を26年3月末に、東北グンゼ(山形県)、矢島通商(秋田県)を同年12月末にそれぞれ操業停止する。これにより製造加工の拠点は、国内の宮津工場(京都府)とタイ、ベトナムの関係会社に集約する。

物流も拠点も縮小する。子会社のグンゼ物流の京都物流センター綾部事務所(京都府)を25年12月末に、同福知山事務所(同)を26年12月末にそれぞれ閉める。国内物流は拠点を7カ所に再編する。

希望退職者は間接部門と営業部門の40歳以上の従業員を対象にする。募集人数は未定としている。

グンゼは1896年に郡是製絲(ぐんぜせいし)として創業した老舗繊維企業だ。一般消費者には「ボディワイルド」など下着を中心にしたアパレル事業が知られているが、繊維の技術を生かしたプラスチック素材やメディカル素材のBtoBのウエイトも大きい。25年3月期連結業績の売上高1371億円のうち、アパレル事業は構成比で44%の607億円を占めるものの、営業利益は7%の7億円に過ぎない。コロナ前の20年3月期は売上高694億円、営業利益27億円だった。コロナを経ても利益が低水準のままで、構造改革が待ったなしになっていた。

長期的な不振の背景には、アパレル事業の中心であるインナーウエアやレッグウエアの売り場の縮小がある。量販店や百貨店の平場への卸を主販路としてきたが、この平場自体が大幅に減っている。一方でマーケットではこの10数年で「ユニクロ」や「無印良品」に代表されるSPAの下着の存在感が増していった。特に下着のトップスでは、「ユニクロ」のエアリズムやヒートテックにシェアを大きく奪われている。グンゼもEC(ネット通販)や直営店など直販に力を入れるものの、卸の落ち込みをカバーするまでには至っていない。

同様の傾向はインナーウエアやレッグウエアの専業メーカーにほぼ共通する。女性下着最大手のワコールは昨年、国内3工場の閉鎖・譲渡などのリストラを発表した。ストッキング大手のアツギは22年に国内2工場を閉鎖し、生産を完全に海外に移した。いずれも老舗の専業メーカーが販売不振を受けて国内の自社工場の構造改革を迫られたケースだ。

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